CSR活動報告(各CSRガイドラインの活動報告)

安全・防災・環境保全

原材料の調達から製品の製造、供給、廃棄に至るまでのすべてのプロセスにおいて、
社会と社員の安全と健康を守り環境保護に努めます。

環境保全に関する基本的な考え方

持続可能な社会の実現に向けた企業の取り組みがますます重要になる中、東レグループでは環境負荷低減の取り組みを強化・充実するための環境施策として、2000年度から「環境中期計画」を策定し、地球温暖化防止に向けたGHG排出量の売上高原単位削減、化学物質(PRTR法対象物質、VOCなど)の大気排出量削減、廃棄物削減などに関してKPI(重要目標達成指標)を設定して推進し、2020年度まで全5期に渡る中期計画を通じて継続的な取り組みを進めてきました。
2018年7月に公表した「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」では、2030年度に生産活動によるGHG排出量売上収益原単位を2013年度比で30%削減する目標や、用水使用量売上収益原単位を2013年度比で30%削減する目標を掲げました。
2020年度から2022年度までを対象とした中期経営課題“プロジェクト AP-G 2022”では、「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」の実現に向けて具体的な活動に取り組む全社プロジェクト「チャレンジ30プロジェクト」で全社横断的にGHG排出量売上収益原単位、用水使用量売上収益原単位の削減に取り組みました。また、CSRの中期計画である「CSRロードマップ 2022」においても3カ年のKPIを設定して取り組みを進めました。これらの取り組みの結果、2022年度に2030年度の目標値を前倒しで達成しました。そこで、東レグループとしてサステナブルな社会の実現に向けた活動をさらに加速すべく、「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」の数値目標について、GHG排出量の売上収益原単位と用水使用量売上収益原単位を2030年度に2013年度比30%削減から50%以上削減に大幅に引き上げました。また、日本国内のGHG排出量を2013年度比で40%以上削減する目標も掲げ、取り組みを加速しています。
これらの目標を達成するために2023年度から2025年度までを対象とした「CSRロードマップ 2025」でも3カ年のKPIを設定するとともに、これまでの全社プロジェクト「チャレンジ30プロジェクト」は「チャレンジ50+プロジェクト」に改称し、定常的な省エネ活動や再生可能エネルギーの導入、脱石炭などをより一層推進しています。また、「CSRロードマップ 2025」では、GHG排出量や用水使用量の売上収益原単位削減のほか、VOCの大気排出量削減や、廃棄物リサイクル率の改善に関する項目などについても引き続きKPIを設定し、特に影響が大きい重点対象会社・工場を定めて管理を強化するなど取り組みを進めています。
なお、東レグループでは、従業員一人ひとりの「環境」「サステナビリティ」に対する意識向上、知識の底上げを進めるため、さまざまなツールを使って社員教育・啓発を進めています。具体的には、東レグループ社内報「ぴいぷる」に環境関連トピックスの掲載、社内向けサステナビリティ関連レポート「SIレポート」の発行、環境事故・ヒヤリハット情報の共有などをグローバルで実施しています。また、新入社員研修や、(株)東レ経営研究所主催のセミナーなどで、各階層への教育を進めています。
2023年度からは、環境関連の知識底上げを目的として、eラーニングによる環境教育の中級編および上級編を、2022年度の基礎編に続いて実施しています(基礎編3講座の平均受講者数約12,000名)。

  1. 安全・防災における基本的な考え方や方針、環境の各課題に対する課題認識や方針は、以下の活動報告をご参照ください。

関連する方針等

環境10原則2000年1月制定・2011年6月改訂

  1. 1. 環境保全の最優先
    全ての事業活動において法規制・協定を遵守すると共に、生物多様性に配慮し、環境保全を最優先した製造、取り扱い、使用、販売、輸送、廃棄を行います。
  2. 2. 地球の温暖化防止
    省エネルギーを推進し、エネルギー原単位の低減および二酸化炭素排出量の抑制に努めます。
  3. 3. 環境汚染物質の排出ゼロ
    有害化学物質および廃棄物の環境への排出ゼロを最終目標に据えて、継続的な削減に取り組みます。
  4. 4. より安全な化学物質の採用
    取り扱い化学物質の健康および環境への影響について、情報の収集、整備および提供を行うと共に、より安全な物質の採用に努めます。
  5. 5. リサイクルの推進
    製品および容器包装リサイクル技術を開発し、社会と協調して回収および再商品化を推進します。
  6. 6. 環境管理レベルの向上
    環境管理技術・技能を向上すると共に自主監査などを実施して、環境管理レベルの維持・向上に努めます。
  7. 7. 環境改善技術・製品による社会貢献
    新しい技術開発にチャレンジし、環境改善技術と環境負荷の少ない製品を通じて社会に貢献します。
  8. 8. 海外事業における環境管理の向上
    海外での事業活動においては現地の法規制を遵守することを第一とし、更に東レグループの自主管理基準とあわせた管理を行います。
  9. 9. 環境に対する社員の意識向上
    環境教育、社会活動および社内広報活動などを通じて、環境問題に対する社員の意識向上を図ります。
  10. 10. 環境情報の社会との共有
    環境保護に関する取り組み内容および成果は、環境報告書などを通じて地域社会、投資家、マスコミなど広く社会に公表し、相互理解を深めます。

安全・衛生・防災・環境マネジメントシステム

「安全・衛生・防災・環境活動方針」と「重点活動項目」

東レグループでは、前年度の活動結果を顧みて毎年「安全・衛生・防災・環境活動方針」を定めており、それぞれに重点活動項目を掲げて取り組んでいます。

2023年東レグループ安全・衛生・防災・環境活動方針

方針 重点活動項目
安全 労働災害ゼロの追求
  • ルール順守の徹底
  • 類似災害撲滅活動の徹底
  • 事業分野別安全活動の深化
衛生 労働衛生管理の徹底
  • メンタルヘルス管理の充実・強化
  • 作業環境改善の推進
  • 化学物質管理の徹底
防災 火災事故ゼロの追求
  • 防災管理の徹底
自然災害リスクに対する危機管理強化
  • 大規模地震・水災に対する備えと対応力強化
環境 環境事故ゼロの追求
  • 類似環境事故撲滅活動の徹底
サステナビリティ・ビジョンの推進
  • チャレンジ50+プロジェクトの推進
  • 環境負荷削減に向けた取り組み
  • 海洋プラスチック問題への対応

体制

安全・衛生・防災・環境保全の推進体制

東レグループの安全・衛生・防災・環境保全活動を推進するため、安全・衛生・防災・環境統括(生産本部長※1)が全社の安全・衛生・防災・環境方針・重点活動項目を毎年決定・指示し、各社・工場においてはPDCAサイクルに基づき各種委員会や監査を通じて進捗管理しています。

安全・衛生・防災・環境保全の推進体制(2024年度)
取締役会
生産役員会
安全・衛生・防災・環境統括(生産本部長)
安全担当(担当工場・事業・分野の安全衛生
環境防災に関して全責任を負う役員等)
各安全主管部署
環境・保安担当
全社事務局
(環境保安部)
東レ(株)事業場・工場
国内関係会社
海外関係会社
業務執行機能
●安全・衛生・防災・環境委員会
●安全・衛生・防災・環境監査
●環境保安管理委員会
●製造部長相互査察
●安全・衛生・防災・環境委員会
●安全・衛生・防災・環境監査
●安全・防災相互ラウンド
●安全・衛生・防災・環境委員会
●安全・衛生・防災・環境監査
●国・地域別セーフティサミットなど
監督・
意思決定
報告
指示・報告
指示・報告
安全・衛生・防災・環境保全の推進体制(2024年度)
  1. ※1 2024年7月時点では取締役 副社長執行役員が生産本部長を務めています。

「安全・衛生・防災・環境監査」での活動結果フォロー

毎年の東レグループ各社、事業場・工場の活動結果をフォローするために、「安全・衛生・防災・環境監査」を実施しています。これは、製造業各社、ならびに事業(工)場の活動状況や管理状況を客観的に評価し、改善するために行っているもので、グループ統一の調査書を利用して内部調査した後に、役員・他社管理者などが直接現地で取り組みを確認・指導しています。
2023年度は、東レ(株)全13工場・1研究所、国内関係会社27社27工場、海外関係会社64社83工場を対象に「刃物作業の安全化対策」「電気火災および保温材での蓄熱による自然発火の防止」「改正安衛法への対応状況」「環境事故防止対策の徹底」などに重点をおいて実施し、各拠点で設備や管理上の問題点を抽出し、計画的な改善を図りました。

レスポンシブル・ケア(RC)活動

RC活動は、化学物質を取り扱う事業者が、化学物質の開発、製造、物流、使用、廃棄に至るまでの全ライフサイクルにおいて、自主的に安全・健康・環境面で対策を実施し、活動の成果を社会に公表して社会とのコミュニケーションを図る活動です。
東レグループは1995年に日本化学工業協会の中に設立された「日本レスポンシブル・ケア協議会」に発起人として参加し、RC活動を基本とした化学物質の安全な取り扱いおよび環境保全に取り組んでいます。
東レグループは「RC世界憲章」※2に沿ってグループ全体のRC活動計画を策定し、その実行状況のフォローを行っており、これらの実施計画および結果について「レスポンシブル・ケア実施計画書/報告書」としてまとめ、日本化学工業協会に毎年提出しています。

2023年度実績/2024年度計画はこちらをご覧ください。

  1. ※2 RC世界憲章:2005年に制定された「RC世界憲章」は、外部ステークホルダーにわかりやすく、具体的な行動につなげるべく、2014年に改訂され、東レ(株)もこれに署名しました。

ISO14001認証取得

東レグループでは、各社、事業場・工場が環境マネジメントシステムISO14001の認証を取得し、環境管理の改善に生かしています。東レ(株)は2000年末までに全13工場で取得を完了し、関係会社では、2023年度までに国内23社32工場、および海外50社68工場が認証取得しています。
2023年度は、海外でComposite Materials (Italy) s.r.l.が新たに認証を取得し1社1工場増加、Penfabric Sdn. Berhad(マレーシア)のM3工場が収束し1工場減少したことから、合計で1社の増加となりました。

「CSRロードマップ 2025」の目標

CSRロードマップ目標

  1. 安全最優先を掲げ、基本を徹底して守り、災害、火災・環境事故防止に努めます。
  2. 「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」に基づいて、気候変動対策を中心とした環境負荷低減や水資源の有効活用、及び環境・生物多様性の保全に取り組みます。

主な取り組みとKPI実績

KPI
安全
(1)重大災害件数ゼロを目指します。
3-❶
(2)世界最高水準の安全管理レベルを達成します。
3-❷
(3)従業員の安全と健康を確保し、安全衛生水準の向上を図るため、快適な職場環境の整備に取り組みます。
-
防災
(4)火災・爆発事故件数ゼロを目指します。
3-❸
環境保全
(5)環境事故件数ゼロを目指します。
3-❹
(6)GHG※3排出量売上収益原単位を削減します。
3-❺❻
(7)用水使用量売上収益原単位を削減します。
3-❼
(8)高い廃棄物リサイクル率を目指します。
3-❽
(9)VOC※4大気排出量を削減します。
3-❾
(10)各国・地域の規制や周辺環境との調和に配慮し、各拠点の緑化を推進します。
-
KPI(重要目標達成指標) 目標値 2023年度 実績
2023年度 2024年度 2025年度
0件 0件 0件 1件
0.05以下 0.05以下 0.05以下 0.40
0件 0件 0件 1件
0件 0件 0件 4件
2013年度比 40%(2025年度) 36.0%※5、6
2022年度比 10%(2025年度) 101%
2013年度比 40%(2025年度) 35.3%※6
86%以上 87%以上 87%以上 87.0%
2000年度比 70%以上 2000年度比 72%以上 2000年度比 72%以上 72.5%
  1. 報告対象範囲:東レグループ
  1. ※3 GHG : greenhouse gas(温室効果ガス)
  2. ※4 VOC : volatile organic compounds(揮発性有機化合物)
  3. ※5 2022年度までは国内・海外関係会社のGHG排出量および売上収益に当社の出資比率を乗じて算定していましたが、2023年度からは、国際的な算定ルールであるGHGプロトコルに則った、経営支配力を乗じた算定方法に変更しています。
  4. ※6 基準年度である2013年度の値は、2014年度以降に東レグループに加わった会社分を含めて算出しています。

■関連マテリアリティ

  • 気候変動対策の加速
  • 循環型社会実現への貢献
  • 自然環境の回復への貢献
  • 安全・防災の徹底
  1. マテリアリティから見た「CSRロードマップ 2025」はこちら(PDF:1.17MB)PDFをご覧ください。

今後に向けて

東レグループは引き続き、ISO14001やレスポンシブル・ケア活動などの国際的な枠組みや中長期、単年度の目標をもとに、社会と社員の安全と健康を守りつつ、環境に負荷を与えないよう安全・防災・環境保全の活動を進めていきます。

「CSRロードマップ 2025」(対象期間:2023-2025年度)におけるCSRガイドライン3「安全・防災・環境保全」の主な取り組みやKPIはこちらをご覧ください。

活動報告および環境データ

2023年度の活動報告をご紹介します。