東レの強み

強み その1東レの「勝ちパターン」=「東レ価値創出モデル」

東レの価値創出モデルは、最先端素材の早期開発によって業界のリーダーとして、あるいは業界のリーダー企業と共に新たな市場を発掘・開発するアプローチから始まります。

そして市場開拓後は、「研究・技術開発力」「営業力」「生産エンジニアリング力」を価値創出エンジンとして、高い参入障壁を持つバリューチェーンをグローバルに構築します。これにより、他社が容易に追随できない高付加価値やスイッチングコストを生み出しています。また、市場が成熟期を迎えても、長期にわたって付加価値を高め続け、価値、ひいては価格を維持できるようにします。顧客企業との高機能性繊維の共同開発や、航空機における炭素繊維複合材料の長期採用などは、この価値創出モデルがもたらしている成果の例です。

強み その2研究・技術開発

1. 強み:「極限追求」 「技術融合」 「超継続」

東レは創業以来、「研究・技術開発こそ、明日の東レを創る」との信念に基づき、先端材料の研究・技術開発を技術センターが司令塔となって推進しています。

東レの研究・技術開発陣は、「深は新なり」、すなわち一つのことを深く掘り下げていくと新しい発明・発見があるという「極限追求のDNA」を受け継いでいます。 また、「超継続」という粘り強い取り組みを強みとし、長期視点で取り組みを続けています。そして、大きな時代観、社会の要請を踏まえ、社会的・経済的価値を備えたイノベーション創出を目指しています。

東レでは技術センターに全ての研究・技術開発機能を集約していることも大きな特長になっています。この「分断されていない研究・技術開発組織」からは技術融合による新技術が生まれやすく、また、元々は他の事業のために作られた先端材料が複数の事業に迅速に展開できます。更に、一つの事業分野の課題解決に多くの分野の技術・知見を活用することで、東レグループの総合力を発揮しています。

2. 4つのコア技術

東レグループの事業ポートフォリオを一見すると、異なるさまざまな事業セグメントを多角経営しているようにも見えるかもしれません。しかし、これらは全て共通の「4つのコア技術」から派生しています。創業以来培われてきた「有機合成化学」「高分子化学」「バイオテクノロジー」に、極限追求を代表する「ナノテクノロジー」を加え、これらの4つのコア技術をベースに、重合、製糸、繊維高次加工、製膜、有機合成など要素技術の深化と融合を進め、繊維、フィルム、樹脂、ケミカル、さらには電子情報材料、炭素繊維複合材料、水処理、医薬、医療機器とさまざまな事業分野で先端材料を創出し、事業化を実現しています。全てが共通の「4つのコア技術」に立脚しており技術シナジーも起こりやすく、コア技術から派生した革新技術・先端材料がさまざまな事業で融合し、さらに付加価値の高い素材を生み出しています。

4つのコア技術
コラム

高機能快適繊維素材に資する超精密複合紡糸技術

多種多様な繊維断面をナノスケールで精密に形作る、当社独自の複合紡糸技術NANODESIGN®は、従来は組み合わせることが困難であった複数種類の原料を用いた複合紡糸も可能です。精密に制御された繊維断面と原料特性のシナジーにより、従来技術では困難であった審美性や着用快適性に加え、各種の機能を複合的に備えた高機能快適繊維素材を次々に実現し、人々の安心・安全で、豊かな生活に貢献しています。

撥水ストレッチテキスタイルDEWEIGHT™は、 繊維断面を精密に制御したNANODESIGN®新原糸と、繊維表面にスパイラル構造を発現させる特殊な高次加工技術によって、撥水性に優れた天然素材と同様の構造を形成し、優れた撥水性とさらっとした心地よい着心地をPFASフリーで実現しました。

本技術は、高い将来性と社会的意義を有するものとして認められ、2022年度の日本化学会賞・化学技術賞に続き、2024年度・市村賞 市村産業賞「本賞」を受賞しました。

高透水性・高除去性・耐薬品性を有する長寿命逆浸透膜

逆浸透(RO)膜表面に付着した汚れを取り除く洗浄薬品(酸・アルカリ)に対する耐久性が低いと、構造が劣化し、得られる水の水質が低下する課題に対し、①酸・アルカリに対する構造安定性の向上、②水の選択的な透過を実現する孔のサイズ制御の両者が必要であることを見出し、これらを実現する製膜プロセスの精密制御に取り組みました。結果、高透水性・高除去性・耐薬品性を両立したRO膜の実用化に至りました。薬品洗浄後も高水質を維持できるため、交換頻度低減の効果もあります。
本技術を適用したRO膜は、世界100カ国以上で工業用水や農業用水、飲料水の製造に利用され、国際社会が直面する水不足の解消に向けた安全で安心な水の提供に貢献しています。本RO膜の発明が高く評価され、2024年度の全国発明表彰「WIPO*賞」を受賞しました。

  • 世界知的所有権機関(WIPO)

強み その3マーケティング

強み:お客様とビジョンを共有し、市場を創造

革新的な素材を商品化するだけでは、新たな市場を作り出すことはできません。併せて、お客様の製品の価値を飛躍的に高める提案力が必要です。東レグループは、単に素材を納めるだけのメーカーにとどまらず、お客様とビジョンを共有した上で、お客様の課題に対するソリューションを提供しています。

私たちは1971年に炭素繊維の本格的な商業生産を開始しましたが、当初は市場がなく、加工方法や成形方法も含め、独自にあるいはお客様と共同で、ゼロからの市場づくりが求められました。まずは多少値段が高くても性能がよければ一定の需要を確保できるスポーツ・趣味の分野に着目し、釣り竿、ゴルフクラブ、テニスラケットでの市場を創出しました。

その一方で、私たちが本命と考えていた航空機用途では、1973年の第一次石油危機を受け、航空機メーカーが軽量化とエネルギー効率化を目指して材料探索を続ける中、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は方向舵など航空機の二次構造材に徐々に使用されていきました。この実績を踏まえ、ボーイング社は1980年に、777の一次構造材(破損すると墜落に直結する構造部材)にCFRPを使用することを企画し、より高性能な炭素繊維とCFRPの開発を世界中のメーカーに要請しました。各社による技術開発競争の結果、1990年、私たちの製品がボーイング社の提示するスペックをクリアする世界最初でかつ唯一の材料として認定されました。

航空機材としての信頼性、安定供給性、コストが認められ、両社は双方向での技術交流を通じ、次世代航空機開発を継続し、強い信頼関係を構築してきました。2003年にはボーイング社と次世代中型旅客機787向けCFRPの共同開発を開始し、2004年に供給基本契約を、2006年に16年間にわたる包括的長期供給契約を締結しました。炭素繊維が航空機に全面的に採用されることを夢見て開発を続けてきた東レグループと、ボーイング社のビジョンが結実し、2011年には787が世界ではじめて日本国内線に就航し、その後世界各地で就航路線を拡大しています。

炭素繊維の市場浸透に見られるように、私たちは「素材には、社会を本質的に変える力がある」という信念のもと、お客様とビジョンを共有し、それを実現するソリューションを幅広く提供できる力を強みとして、「材料が主役」となるモノづくりの市場を拡大させています。

コラム

世界最高強度の炭素繊維トレカ®T1200を開発

1971年に販売を開始して以来、圧力容器(CNG、CHG)や自動車、航空機、スポーツなどの用途に向けて高性能炭素繊維トレカ®を提供してきました。1986年には、当時世界最高強度のトレカ®T1000を開発するなど、高強度化において常に世界をリードしてきました。

2023年11月には世界最高強度を更新する、引っ張り強度8.0GPaの「トレカ®T1200」を開発したことを発表しました。独自のナノスケールでの構造制御技術を更に発展させ、破壊が起こりにくい内部構造を設計、実現したものです。また、2024年1月には高弾性率を特長とするトレカ®MXシリーズの最新グレードで、従来の製品と同等の高弾性率を維持しつつ強度を更に約20%高めた「トレカ®M46X」を発表しました。
カーボンニュートラル社会の実現への貢献度を高めるとともに、航空・宇宙用途、産業用途、スポーツ用途などで、よりハイエンドの領域へ広く展開していきます。

強み その4サプライチェーンマネジメント

強み:強力なパートナーと世界に類例のないサプライチェーンを構築

戦後間もない合成繊維市場の黎明期から、東レグループは素材を糸商、紡績などの一次ユーザーに提供するだけでなく、自ら問屋、流通に至るサプライチェーン全体に向けて、“ナイロン”や“テトロン”など新たな素材ブランドの浸透を図ってきました。そして1960~70年代にブランドアパレルメーカーの既製服市場が成長する局面では、織布、紡績、染色、加工糸、ニットなどの部門ごとに北陸産地を中心に国内の系列プロダクションチームを編成し、糸・テキスタイル一貫のビジネスモデルを確立しました。1980~90年代には東南アジアや中国で糸から染色までの一貫生産体制の構築を進め、グローバルオペレーションを加速しました。

2000年以降、ファストファッション/SPA(製造小売業)が急成長する時代となりました。SPAのビジネスモデルは、それまでのように各段階で一定量を生産しておくプロダクトアウト型とは大きく異なり、中間流通を経由せず店頭での消費者データを即座に生産に反映させ、販売機会を逃さず余計な在庫も抱えずに商品を売り切るものです。東レグループには、こうしたSPAの仕組みに対応できる、グローバルな繊維事業の戦略と高品質の商品を大量生産できる生産技術力、そしてユニークな商品を開発するR&Dの総合力がありました。

2006年、東レはユニクロとの「戦略的パートナーシップ」に合意し、その後繊維の流通構造を一から見直すとともに、素材メーカーとSPAの境界線を越え、素材から商品までの企画・開発・生産・物流までを両社一体のバーチャルカンパニーとして運営するという、世界に類例のないビジネスモデルを確立していきました。この取り組みの中で、中国に加えてASEAN各国やバングラデシュでの生産拠点を拡充するなどグローバルな供給体制を整備し、糸綿・テキスタイル・縫製品一貫型事業の事業拡大を進めてきました。コスト・効率性を追求した最適地生産で、さまざまな加工段階を有機的に結び付け、均質な製品をタイムリーに届けることのできるワールドワイドなサプライチェーンを構築し運営しています。こうした東レの世界に類例のないサプライチェーンの構築は、日本の流通構造の抜本的な改革や、ジャパンテクノロジーの世界への訴求へとつながり、繊維産業に新たな価値を提供しています。

コラム

繊維産業の流通構造を抜本的に改革

2006年にユニクロと合意した「戦略的パートナーシップ」に基づき実現した「素材から商品までの企画・開発・生産・物流までを一体のトータルインダストリーとして捉える」垂直連携は、日本の繊維産業が抱えていた流通構造の非効率性の問題を一気に解消しました。それまでの流通構造は、多段階の商流が素材別・用途・アイテム別に複数存在する多重構造で、サプライチェーンが長いことから、小売段階の消化率が読めず、各段階の思惑によって流通在庫も上積みされ、ロスの増大をまねき、国際競争力を損ねていました。東レグループの繊維事業は、ユニクロとの連携をきっかけに、こうした多重構造のサプライチェーンを統合し、実需動向に連動したシンプルで柔軟な生産体制への変革を進め、グローバルに生産・流通コスト、在庫リスクの抜本的な削減を実現しサステナブルな経営を目指していきます。

強み その5グローバル生産体制

強み:有機的な拠点連携

東レグループの海外生産活動は「長期にわたってその地に根を下ろし、その国・地域の経済発展に貢献すること」を基本方針とし、1963年にタイで紡績・織布・染色一貫製造会社を設立したのが第一歩です。日本企業としては極めて早い時期からの現地生産で、1960~70年代には東南アジア、80年代には欧米、90年代には韓国・中国に展開し、繊維から始まり、フィルムや炭素繊維などの生産拠点を設立していきました。そして現在、東レグループでは海外拠点と国内拠点が有機的に連携し、市場動向や為替などの事業環境変化に応じて、グローバルな最適生産・供給体制を敷いています。また、どの地域でも高品質な製品を安定・継続して供給できる生産体制を構築しています。

東レグループは、2025年度末において海外に関係会社を195社有しており、海外売上収益は約1兆5,400億円、海外売上比率は約60%となっています。このようなグローバル生産体制を大きな強みの一つとして、最先端の革新的な研究・技術開発を日本のマザー工場で行い、需要とコスト競争力の観点から現地生産体制を迅速・柔軟に構築する戦略によって、グローバル規模で持続的な成長サイクルを回しています。さらに各拠点で現地ニーズに対応した用途開発を推進し、新たな収益機会を獲得しています。

コラム

グローバルな一貫生産体制で「エアバッグ基布」No.1を目指す

エアバッグ市場が、新興国での自動車販売台数拡大や搭載率上昇により急成長しています。東レグループのエアバッグ用繊維事業は、メキシコにおいて2018年より、原糸から基布までの一貫生産を開始し、グローバル生産体制を一層強固にしています。現在東レグループではエアバッグ用繊維を3ヵ所、エアバッグ用基布を6ヵ所でグローバル生産しており、全ての拠点から同品質のエアバッグ基布をタイムリーに供給できるグローバル生産体制を構築しています。このような取り組みはBCP(事業継続計画)の観点からも高く評価されており、厳しい品質管理と信頼性の求められるエアバッグ基布市場で、東レグループは世界シェアNo.1を目指しています。