CSR活動報告(各CSRガイドラインの活動報告) - 安全・防災・環境保全

労働安全・防災活動

東レグループでは、労働安全衛生マネジメントシステム(OHSAS18001やISO45001など)に準拠した独自の安全活動を推進しています。東レグループの従業員を対象に、入社直後の導入研修の中で労働安全に関する具体的な手順や社内ルールを教育し、理解度を確認しています。中堅層や管理職に対しては、各種集合研修時に労働安全の「管理監督責任」に関する事項や、労働安全衛生マネジメントシステムについてのより実践的な事例研究などを交えた教育を実施しています。また、毎年、各社・工場を対象に役員などによる安全・防災・環境監査を実施し、安全・衛生・防災・環境の管理状況を統一した視点で評価し改善するとともに、優れた点をグループ内に展開しグループ全体のレベルアップに努めています。
そして、従業員は東レグループの重要なステークホルダーであり、安全が確保されて初めて能力を発揮できます。
“一人ひとりかけがえのない命を守る”との人間尊重の精神に則り、すべての役員・従業員が一体となり、ゼロ災害を目指して地道な安全活動に取り組んでいます。
このことを東レグループ全従業員に意識付けるため、「東レグループ安全スローガン」を毎年定めています。2023年は東レグループの従業員一人ひとりが一丸となり、安全最優先の意識を高め、安全基本ルールの遵守と作業の基本を現場で徹底して守ることができるよう、「安全最優先 ゼロ災追求 ―ルール遵守で 基本の徹底―」としました。2024年度も2023年度のスローガンを継続し、安全意識の向上とルール遵守の徹底を進めています。
また、防災については、ひとたび事故が起きれば社内だけでなく近隣へも多大なご迷惑をお掛けすることになることから、火災・爆発は決して起こしてはならないという強い決意のもと活動に取り組んでいます。
なお、東レグループでは、各国の労働安全衛生法に基づき、安全衛生委員会を設置し、労使一体となって従業員の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の整備に取り組んでいます。

東レグループ安全スローガン

安全最優先 ゼロ災追求
―ルール遵守で 基本の徹底―

2023年東レグループ安全大会(東レ総合研修センター)2023年東レグループ安全大会(東レ総合研修センター)

毎年、東レ(株)の社長や副社長など役員や各社・工場のトップが集合して、東レグループ安全大会を開催しています。活動方針や重点活動項目を周知し活動の方向性を合わせるとともに、各社・工場の安全活動報告や安全表彰を行うことで、安全意識の高揚や好事例の横展開を図っています。2023年は、4年ぶりに東レ総合研修センターをメイン会場とし、参加者が一堂に会する集合形式で、より多くの方が参加できるよう東レ各事業(工)場、国内・海外関係会社とはオンラインでつなぎ開催しました。
また、国・地域単位、および東レグループ各社・工場でも「安全大会(セーフティーサミット)」や「東レ役員による安全ラウンド」などを開催し、東レグループ安全スローガン、活動方針、重点活動項目を周知して、安全活動に取り組んでいます。
加えて、東レ(株)では経営と労働組合が、労使経営協議会を定期的に開催し、安全、衛生に関する課題について議論し共通認識を持ち、職場環境の向上に向け前向きな議論を重ねています。さらに、各事業(工)場の責任者および管理者と労働組合員が参加する安全衛生委員会を各事業(工)場で毎月開催し、安全活動方針の共有や東レグループで発生した直近の労働災害の再発防止の指示、その他労働安全衛生に関する事項の報告や討議を行っています。

  • 「2023年 安全衛生大会」開会宣言(スローガンの唱和)の様子(東レ建設(株))「2023年 安全衛生大会」開会宣言(スローガンの唱和)の様子(東レ建設(株))
  • 「中国東レグループ華東・華北地区安全大会」で基調報告をする東レ(株)環境保安部長(東麗(中国)投資有限公司)「中国東レグループ華東・華北地区安全大会」で基調報告をする東レ(株)環境保安部長(東麗(中国)投資有限公司)

2023年度の各職場での取り組み事例

安全衛生に関する受賞事例

東レエンジニアリング(株)は、「安全設備供給体制構築による安全・安心な機械設備の提供」を行っており、日頃の活動が評価され、第8回向殿安全賞の「奨励賞」を受賞しました。向殿安全賞は、日本における製品安全や労働安全などの第一人者である明治大学名誉教授の向殿政男氏の業績をたたえて2015年に創設され、産業分野における安全の維持向上と進歩・普及に貢献した個人・団体に贈呈されるものです。
東レコムズ岐阜(株)は、厚生労働省岐阜労働局が決定する令和5年度安全衛生優良事業場の「優良賞」に選ばれました。労使が協力して労働者の安全と健康確保に積極的に取り組み、安全衛生の水準が良好で他の模範であると認められての受賞となりました。

  • 向殿名誉教授(左)と製品安全・品質保証統括室室長(右)(東レエンジニアリング(株))向殿名誉教授(左)と製品安全・品質保証統括室室長(右)(東レエンジニアリング(株))
  • 表彰状を手にする社長と作業部門長(東レコムズ岐阜(株))表彰状を手にする社長と作業部門長(東レコムズ岐阜(株))

東海旅客鉄道(株)との安全交流会の実施(東レ(株)岐阜工場)

意見交換の様子意見交換の様子

東レ(株)岐阜工場は、東海旅客鉄道(株)(以下、JR東海)の安全対策部の方に来場いただき、安全交流会を2024年1月26日に開催し、安全活動の紹介とフィルム製造部の見学や意見交換を行いました。岐阜工場からは、1989年の重大災害を起点とする各種安全活動とその変遷、現在の安全活動の概要・取り組み方などについて説明を行いました。また、JR東海からは、「安全綱領」の理念のもとに安全・安定輸送の確保に取り組んでいること、人・しくみ・設備の三本柱の安全活動などについてご紹介いただきました。JR東海からは、岐阜工場の安全に対する意識の高さや風土の醸成の取り組み、徹底した現場の安全対策などについて高い評価をいただきました。

労働災害を基にした活動報告会や安全大会の開催(東レ(株)三島工場)

自主特別安全活動終結報告会の開催自主特別安全活動終結報告会の開催

三島工場で2023年12月に発生した労働災害に対する自主特別安全活動の終結報告会を2024年3月に開催しました。オンライン参加を含めて約150人が参加し、発災部署のフィルム生産課ほか、代表4部署から活動結果を報告しました。また、三島工場では、毎年「東レ三島工場総合安全大会」を開催しています。2023年度は12月18日に東レ総合研修センターにて、構内関係会社・協力会社約60社およびオンラインを含めて約120人参加の下、開催しました。各部課・各社の安全成績の報告および優秀事例の表彰や代表部署と代表協力会社による安全活動の発表を行いました。

海外関係会社への安全監査の事例(Toray Composite Materials America, Inc.)

現場査察の様子現場査察の様子

安全監査のため、東レ(株)副社長がToray Composite Materials America, Inc.のDecatur工場およびSpartanburg工場を3月20~22日に訪問しました。
現場査察では、安全の基本である3S/5Sに加え、作業の自動化など、さらなる安全化に向けた指導が行われました。

東レグループの安全成績

重大災害件数

■報告対象範囲
東レグループ
■目標値
2023年(暦年) / 0件

実績値(2023年)

1

火災・爆発事故件数

■報告対象範囲
東レグループ
■目標値
2023年(暦年) / 0件

実績値(2023年)

1

世界最高水準の安全管理レベル達成
(目安:休業度数率0.05以下)

■報告対象範囲
東レグループ
■目標値
2023年(暦年) / 0.05以下

実績値(2023年)

0.40

東レ(株)では1980年から、東レグループとしては1990年からすべての労働災害統計を取っています。統計開始当初に比べ、全労働災害件数、休業度数率ともに減少しています。 2023年の東レグループ全体の休業度数率は0.40でした。日本の製造業の休業度数率(1.29)と比較すると良好な成績ではあるものの、東レグループが目標としている世界最高水準の安全管理レベルである0.05以下に対しては大きく未達となりました。その要因の一つに、関係会社の休業災害が多いことが挙げられます。そこで、東レ(株)国内工場(マザー工場)による支援・指導などによって、関係会社の安全管理強化に取り組んでいます。
東レグループでは、引き続き個々の災害の本質原因を究明して再発防止を図り、得られた教訓をもとに類似災害・類似事故の防止に努めるとともに、すべてにおいて「安全最優先」を実行するように、一人ひとりの意識を高めていきます。
また、安全活動はシンプルなことの繰り返しであり、「安全の基本」を徹底すること、またそれを全員が例外なく常に実践することが重要と考えています。そのためにまず、3S/5Sの徹底に取り組んでいます。本活動を通じて、清潔(職場を保つ気持ち)と躾(ルールを守る気持ち)を全員が身につけるとともに、動線の見直しなども実施し作業の安全化を図っています。管理者は繰り返し現場を回り、良い行動を褒め職場モラルの向上に努めています。
次に、日常行動災害の撲滅にも取り組んでいます。いかなる状況でもどのような結果(事故)になるかを考え、常に安全最優先で行動することを管理者が言い続け、各職場の緊張感を維持するよう努めています。そして類似災害撲滅活動では、東レグループ内で労働災害発生時に発行する災害連絡書を元に、職場ごとに掛長・主任層がリーダーとなり、災害の原因を自職場の具体的な危険に置き換えて議論することで、全員の安全意識を高め「基本の徹底」を図っています。
2023年度は海外関係会社で通勤バスの自損事故により従業員が複数負傷する災害が発生し、社内の規定で重大災害として対処しました。災害への対策として、運転手の体調管理や乗車する従業員のシートベルト着用を徹底しました。
火災・爆発事故については、東レ(株)および国内関係会社では0件でしたが、海外関係会社で1件発生しました。事故の内容は、揮発性有機化合物(VOC)処理設備での爆発でした。発災会社では、爆発防止の対策として、東レ(株)防災技術基準をトラブル時にも満たすように設備改造時の判定基準の見直しを行いました。また、類似火災事故撲滅を図るため、東レグループでは、火災事故などの重要情報を迅速に共有化するとともに、得られた知見や防災対策、統一した防災管理基準などを展開することで、類似の事故撲滅に取り組んでいます。

「(例)不要物撤去による動線改善で作業安全化」

「(例)不要物撤去による動線改善で作業安全化」

全労働災害発生件数※1の推移
全労働災害発生件数の推移
  1. ※1 非正規社員(パート、嘱託、アルバイト、派遣社員)も含む(なお、海外は派遣社員を含まない)。
労働災害度数率※2の推移(東レグループ)
労働災害度数率の推移(東レグループ)
  1. ※2 労働災害度数率:100万労働時間あたりの労働災害による死傷者数

危険性(ハザード)の特定、リスク評価、事故調査

1. 危険性(ハザード)の特定、リスク評価

東レグループでは、従業員が各職場で潜在危険を発見した場合は管理者に報告し、管理者は対策・改善をフィードバックするシステムがあります。また、作業前は危険予知やヒヤリ・ハット報告、安全提案制度などのリスクアセスメントを行い、リスクの低減対策を実施しています。
また東レグループでは、労働災害防止のシステムや対策実施状況について、社内の監査者による監査を実施し、不備がある場合は改善指導を進めています。

2. 事故調査

労働災害発生時は災害応急対策検討会および災害対策会議を開催し、災害に至るまでの事実・経緯を明確にし、原因究明を行い、対策を決定して実行しています。また、災害内容は東レグループ内に水平展開し、再発防止対策を推進しています。

3. 重点化したリスク低減活動

2022年の東レグループ労働災害の主原因のうち、誰もが守るべき基本ルールを守らなかった「安全基本ルール違反」による災害が11%、横着などで作業標準書通り作業しなかった「作業手順違反」による災害が7%を占めていました。
2023年は「安全基本ルール違反」や「作業手順違反」による災害撲滅に向け、曖昧なルールの撲滅や、管理者によるルール遵守教育、「守らないとどうなるか」「何のためのルールか」を理解させる「ルール遵守徹底活動」を展開しました。2023年の「安全基本ルール違反」による災害は20%、「作業手順違反」による災害は8%でしたが、これらの活動を展開した結果、2024年の上期は「安全基本ルール違反」と「作業手順違反」による災害は発生しておらず、活動の効果が発現しているものと考えます。
2024年も、2023年に発生した災害をさまざまな観点で分析し、災害撲滅に向けた改善活動を、PDCAサイクルを回しながら推進しています。

2022年/2023年 東レグループの労働災害(休業+不休業)の主原因内訳
2022年/2023年 東レグループの労働災害(休業+不休業)の主原因内訳

安全・防災教育の充実

東レグループでは安全防災教育はもとより、危険感受性(危険を危険と感じる力)を高めるため、種々の体感教育を各社・工場で工夫を凝らして実施しています。安全面では、ロールへの巻き込まれ、感電・残圧などの危険性を擬似的に体験できる装置だけでなく、最近では、現場をVR化して、よりリアルに事故の怖さを体感する教育も取り入れています。また防災面では、火災・爆発のデモンストレーション実験から爆発の恐ろしさを体感する教育や、防災基礎知識教育を社員教育体系に組み入れて実施しています。
さらに、東レグループの社内報「ぴいぷる」に身近な安全・防災に関しての情報を掲載し、防災基礎知識の周知に努めています。

  • 疑似体験教育(東レ(株)三島工場)疑似体験教育(東レ(株)三島工場)
  • 疑似体験教育(東レ(株)名古屋事業場)疑似体験教育(東レ(株)名古屋事業場)
  • 火災・爆発デモンストレーション実験教育(東レ(株)岐阜工場)火災・爆発デモンストレーション実験教育(東レ(株)岐阜工場)

協力会社と一体となった安全管理

東レ(株)では、構内の殖産会社※3や関係会社の請負業務においても、当社と同じ安全活動に一体となって取り組んでいます。毎月の安全衛生委員会や安全協議会において、安全活動の取り組み状況などを報告し合い、請負会社とのコミュニケーションを深めて、活動の方向性をそろえています。また、フォークリフト作業や刃物作業などを現場実査し、改善すべき点があればアドバイスを行い、より安全で作業しやすいように改善しています。請負会社から作業や設備の改善要望などを提案いただき、ハード面での安全化も推進しています。

  1. ※3 殖産会社:東レ(株)出資の工場運営付帯業務請負会社
  • 作業実査(東レコムズ名古屋(株))作業実査(東レコムズ名古屋(株))
  • 構内でフォークリフト作業を行っている関係・協力会社の方(7社21人)にも参加いただいたフォークリフト安全教育会(東レ(株)愛媛工場)構内でフォークリフト作業を行っている関係・協力会社の方(7社21人)にも参加いただいたフォークリフト安全教育会(東レ(株)愛媛工場)

協力会社の安全管理

安全協議会(東レ(株)石川工場)安全協議会(東レ(株)石川工場)

構内でともに働く多くの協力会社の方々の安全を守ることも東レグループの使命と考えています。同じ職場で働く仲間として、東レグループのルールを周知し、遵守いただいており、月1回実施する安全衛生委員会に協力会社の代表者にも参加いただいています。また、定期的に開催する安全協議会や連絡会などで協力会社の意見や要望を伺うとともに、東レグループの方針、施策などを共有しています。また、非常駐の協力会社に対しても、作業前に東レグループのルールについて教育を行い、安全管理を徹底しています。各工場では安全ポスターや安全標語への応募、安全提案などを含め、安全活動全般にわたり協力会社の方々とともに推進しています。

防災訓練による事故への備え

各社・工場では、それぞれ特有の火災・爆発に備えた防消火訓練を実施して防災力の向上に努めています。放水訓練はもとより、怪我人の救助や、薬液が流出した場合の対応、さらには緊急時の官庁や地域住民への速やかな通報についても訓練を実施しました。
また、2012年から大規模地震発生時に備えた「全社対策本部設置訓練」を毎年実施しています。その中で、従業員の安否確認、設備の被害状況およびサプライチェーンの確認などの訓練を実施しています。2023年は「東日本大震災相当の大地震と首都直下型地震の同時発生により東京本社では全社対策本部が設置できない状況」を想定し、関西地区(大阪本社・滋賀事業場)で全社対策本部を設置して対処する訓練を実施しました。各社・工場では、大規模地震の初動対応訓練を行い、さらに、海に隣接する工場では、津波を想定した避難訓練も行いました。

  • 防災訓練(丸一繊維(株))防災訓練(丸一繊維(株))
  • 消防訓練(大垣扶桑紡績(株))消防訓練(大垣扶桑紡績(株))
  • 愛知県石油コンビナート等防災訓練(東レ(株)東海工場)愛知県石油コンビナート等防災訓練(東レ(株)東海工場)
  • 本部初期消火班による放水訓練(東レ(株)岡崎工場)本部初期消火班による放水訓練(東レ(株)岡崎工場)

防災力強化への取り組み

東レグループの防災力をより一層強化するため、2023年は火災防止プロジェクト活動(FP※4プロジェクトPartⅡ)の一つとして、東レ(株)および国内関係会社で現場の要となって防災点検と対策を推進するFPキーパーソンの認定教育を実施し、計223名を新規認定しました。さらに、東レグループ内の防災専門部署が現地査察や検証が必要と判断した火災事故や火災ヒヤリ・ハットなどについては、本質原因の究明や再発防止対策の支援・指導を行いました。
また、地震対策としては、従業員の人命確保と地域社会への影響防止を最優先として、被害の拡大防止に努めることとしています。そのため、地震発生時の緊急対応、その後の事業継続・復旧活動等について、「東レグループ大規模地震に対する事業継続計画(BCP※5)」にまとめ、東レグループとしてなすべきことを明確化し平常時からの備えに努めています。特に、重要製品については、サプライチェーンを含めたBCPを策定し、継続してリスク低減を図っています。

  1. ※4 FP : Fire Prevention(火災防止)
  2. ※5 BCP : Business Continuity Planning(事業継続計画)

2023年度の各職場での取り組み事例

救急救命講習の実施

東レグループでは、日本赤十字社や地元消防署などの協力をいただき、人体模型やAEDを使用した救命訓練を、関係会社の方々とともに実施しています。

  • 心臓マッサージの実演(東レ(株)瀬田工場)心臓マッサージの実演(東レ(株)瀬田工場)
  • 救急救命士のリアルな体験談に聞き入る(東レ(株)基礎研究センター(鎌倉))救急救命士のリアルな体験談に聞き入る(東レ(株)基礎研究センター(鎌倉))

物流安全への取り組み

東レ(株)では、危険有害性物質を輸送する際の安全管理に関して、お客様や原料メーカー、運送業者との間で具体的な責務と役割を定めた保安協定を締結し物流安全に努めています。

化学物質による従業員への健康影響の低減の取り組み

東レでは従業員(嘱託、パート、派遣を含む)の健康リスクを考慮し、化学物質の取り扱いについて以下のとおり対応しています。

  1. 化学物質の取り扱い状況調査
    東レグループでは、毎年各社、事業場・工場にて取り扱っている化学物質について、年間取扱量や保有量を調査し、把握しています。また、それぞれの化学物質について労働安全衛生法に定められた変異原性などの危険性を明記し、リスクを共有しています。
  2. 化学物質リスクアセスメントの実施
    東レグループでは、取り扱っている化学物質に関して作業環境測定、ECETOC-TRA、CREATE-SIMPLE、コントロールバンディングなどを活用してリスクアセスメントを実施しています。リスクアセスメントの結果を受け、必要に応じて作業者への有機溶媒や粉塵などの暴露対策を徹底し、従業員の健康を守っています。
  3. 内部監査によるフォロー
    東レグループでは、毎年の「安全・衛生・防災・環境監査」において、化学物質の取り扱い方法や作業環境状況について客観的に評価し、抜けや洩れの有無を確認するとともに、必要に応じて改善対応を実施しています。
  4. その他
    東レグループでは、取り扱い物質のリスクに応じて、作業環境測定や作業実査による作業環境の維持・改善等を図るとともに、健康診断による健康状態のフォローを継続的に実施しています。また、取り扱い薬品の危険性教育、ならびに作業実施記録の作成、保管を通じて作業従事者の健康被害の防止に努めています。

石綿による健康影響と対応について

東レグループでは、過去に石綿を含む建材などを製造・輸入・販売したことがあり、また、建屋や設備の一部に石綿を含む建材・保温材などを使用していました。石綿による健康被害が社会問題化した2005年度から設備対策などを推進するとともに、過去に多少とも石綿を取り扱った東レグループの社員・退職者で希望する方について石綿健康診断を実施し、所見が認められた方については、労災申請への協力や継続検診の実施など、誠意をもって適切に対応しています。なお、近隣住民の方からの健康影響に関する相談はありません。
2024年3月末現在で確認している東レグループ社員および退職者の方への健康影響(累計)は次のとおりです。

石綿の取り扱いによる東レグループ労災認定者130人(2024年3月末までに亡くなられた方 111人)
東レグループの石綿健康被害救済法受給者数8人(2024年3月末までに亡くなられた方 8人)
東レグループ石綿健康診断受診者数4,041人

「CSRロードマップ 2025」におけるCSRガイドライン3「安全・防災・環境保全」の主な取り組みはこちらをご覧ください。