医薬研究所

基礎的研究によって全く新規な成長ラインの製品を創造することを目的に1962年(昭和37年)に設立された基礎研究所は、幅広い分野において多くの重要な成果を生み出し、東レの新事業拡大に貢献してきました。その後、基礎研究所は担当事業分野をライフサイエンスに特化し、さらに医薬分野とすることを明確にするために1999年(平成11年)に医薬研究所と改称されました。

東レの革新的新薬

医薬研究所は、「革新的新薬」を目指す当社の医薬研究理念のもと、世界に先駆けた画期的な製品を生み出してきました。フエロン®はB、C型肝炎や膠芽腫などの悪性腫瘍を治療する天然型インターフェロンベータ製剤として使用されてきました。ドルナー®は末梢循環障害、肺高血圧症を治療する世界初の安定型プロスタサイクリン誘導体経口製剤として使用され、さらに製剤工夫を加えた徐放性経口製剤ケアロード®としても製造販売承認を取得しています。レミッチ®は世界初の選択的オピオイドκ(カッパ)受容体作動薬として、透析および慢性肝疾患に伴う難治性そう痒の治療に用いられ、さらに独自で開発したフィルムコーティング技術を用いた口腔内崩壊錠の製造販売承認を取得しました。

ドルナー®

ドルナー®の有効成分ベラプロストナトリウムの構造式

レミッチ®

レミッチ®の有効成分ナルフラフィン塩酸塩の構造式

フエロン®

ビーズ細胞培養によるインターフェロンベータの産生 / インターフェロンベータの構造

東レの創薬の今後の展開

東レがライフイノベーション分野での事業拡大を意識した研究・技術開発力を強化する中、医薬研究所では、高齢化、難治性疾患の克服をキーワードに、重点領域を「神経疾患(痛み、痒みおよび神経変性疾患)」と「腎・自己免疫・がん」と定め、合成医薬と生物医薬の両面から、First-in-classの新薬を目指した創薬研究を行っています。その達成のため、強みである高度な有機合成化学、生体への深い理解に基づく総合科学としてのメディシナルケミストリー、および、バイオテクノロジー(遺伝子工学・蛋白工学・細胞工学)を活かすとともに、発展著しいオミクス技術、イメージング技術、iPS細胞技術の導入やトランスレーショナルリサーチ(標的の妥当性検証、バイオマーカー探索など)の強化、など、新薬創製能力の一層の充実を図っています。
また、新設したデジタルライフサイエンスグループでは、幅広くライフサイエンス分野のAI・インフォマティクス技術の開発・活用に注力しており、医薬分子設計はもちろん、実験画像解析の自動化による研究効率化やAIによる創薬標的探索等に取り組んでいます。
さらに、サンフランシスコのラボを拠点としたグローバルネットワークの構築、および、国内外の製薬企業やアカデミア、ベンチャーとのオープンイノベーションを進めるとともに、先端融合研究所と協同でバイオツールの創薬への応用やバイオマーカーの探索にも積極的に取り組んでいます。

最先端技術を取り込んだ創薬研究:創薬の確度向上

病態を模倣した細胞モデルの活用 (薬効、安全性)

ヒトiPS由来神経細胞の病態化(2D培養)

ヒトiPS由来神経細胞の病態化(2D培養)

病態化神経細胞によるスフェロイド形成(3D培養)

病態化神経細胞によるスフェロイド形成(3D培養)

ラット神経・シュワン細胞によるミエリン形成(共培養)

ラット神経・シュワン細胞によるミエリン形成(共培養)

AI・インフォマティクスの活用

ビッグデータ解析 / 画像解析 / シミュレーションによる医薬分子設計

研究・開発の歩み(抜粋)

1962 基礎研究所設立
1985 天然型インターフェロンベータ製剤 フエロン®の生産開始
1992 フエロン®のC型肝炎への効能追加
末梢循環障害治療剤ドルナー®の生産開始
1999 医薬研究所に改名
ドルナー®肺高血圧症効能追加
2006 フエロン®のC型代償性肝硬変効能追加
2007 肺高血圧症治療剤 ケアロード®の販売開始
2009 経口そう痒症改善剤レミッチ®の生産開始
2015 レミッチ®の慢性肝疾患患者における難治性そう痒症の改善に対する効能追加
2017 レミッチ®口腔内崩壊錠の販売開始
レミッチ®の腹膜透析患者における難治性そう痒症の改善に対する効能追加

※レミッチ®は鳥居薬品の登録商標です。