CSR活動報告(各CSRガイドラインの活動報告) - 安全・防災・環境保全

省エネおよび温室効果ガス排出削減

東レグループは社会のカーボンニュートラル実現に貢献するため、従来より温室効果ガス(GHG)削減に取り組んでいます。2018年7月には「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」を公表し、この中で2030年度の数値目標として、生産活動によるGHG排出量の売上収益原単位を、国内・海外関係会社を含む東レグループで基準年度の2013年度対比30%削減※1することを掲げました。「CSRロードマップ 2022」においては、この中間目標としてGHG排出量の売上収益原単位を、東レグループで2022年度に2013年度比20%削減※1することを設定し、プロセス改善による省エネルギー推進および再生可能エネルギーの活用、石炭利用の削減などを通じて、製造段階でのCO2削減を積極的に推進した結果、2022年度末に34.6%※2の削減を達成しました。
2023年3月には、「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」の2030年度数値目標について、生産活動によるGHG排出量の売上収益原単位を2013年度比30%削減から50%以上削減※1に大幅に引き上げました。また、日本国内のGHG排出量を2013年度比で40%以上削減※1する目標も掲げ、気候変動への対応を加速しています。
2023年度末の実績は、グループ全体でGHG排出量の売上収益原単位が36.0%削減、日本国内のGHG排出量が25%削減となりました。

  1. ※1 Scope1(直接排出量:自社の工場・オフィス・車両など)+2(エネルギー起源間接排出量:電力など自社で消費したエネルギー)を対象としています。
  2. ※2 2022年度までは国内・海外関係会社のGHG排出量および売上収益に当社の出資比率を乗じて算定していましたが、2023年度からは、国際的な算定ルールであるGHGプロトコルに則った、経営支配力を乗じた算定方法に変更しています。同算定方法では32.7%削減です。

省エネ活動

東レグループは、各社、工場ごとに毎年省エネ目標を設定し、月単位で省エネ実行状況を確認しながらグループ全体で省エネ活動を推進しています。

東レ(株)では、エネルギー原単位※3年率2%低減を努力目標として省エネ活動に取り組んでいます。
2023年度は、エネルギー利用の効率化とムダ・ロスの削減を推進したことによりエネルギー使用量は6.9%低減しましたが、生産量が13.0%減少したため、エネルギー原単位は7.5%悪化しました。一方、エネルギー原単位削減の基準年度として設定した1990年度対比では、8.2%の改善となっています。

  1. ※3 換算生産量当たりのエネルギー使用量。
エネルギー使用量および同原単位指数(東レ(株))※4
エネルギー使用量および同原単位指数(東レ(株))
  1. ※4 本グラフのエネルギー使用量は、再生可能エネルギーを含んでいません。

また、東レグループでは、毎年、省エネ活動の一環として、東レ(株)・国内・海外関係会社の工場で製造プロセス、設備に精通したメンバーで編成したチームでさらなる省エネアイデアを発掘する「省エネ診断」を実施し、積極的な省エネ活動を進めています。2023年度は東レ(株)1工場、国内関係会社2工場で実施し、その省エネ効果でGHG排出量約0.5万トン-CO2/年以上の削減を実施しました。

東レグループ全体のGHG排出量

GHG排出量売上収益原単位の削減率

■報告対象範囲
東レグループ
■目標値
2013年度比40%(2025年度)

実績値(2023年度)

36.0※5

東レグループは、GHG排出量(Scope1+2)削減目標として、「CSRロードマップ 2025」において「GHG排出量の売上収益原単位について、東レグループ全体で2013年度比40%削減を2025年度に達成」を掲げ、計画的な削減対策を実施しています。
2023年度の東レグループ全体のGHG排出量(Scope1+2)は、前年度比1.2%増の495万トン-CO2でした。売上収益原単位では、グループ全体での売上収益の増加、およびGHG排出量削減に向けた取り組み(プロセス改善による省エネルギー推進、再生可能エネルギーの活用、石炭利用の削減など)により、GHG排出量を最小限に抑えたことで、2013年度比では、36.0%減※5となりました。

  • ※5 2022年度までは国内・海外関係会社のGHG排出量および売上収益に当社の出資比率を乗じて算定していましたが、2023年度からは国際的な算定ルールであるGHGプロトコルに則った、経営支配力を乗じた算定方法に変更しています。
GHG排出量(Scope1+2)およびGHG売上高・売上収益原単位の推移(東レグループ)
GHG排出量(Scope1+2)およびGHG売上高・売上収益原単位の推移(東レグループ)
  • 2019年度までは日本会計基準を採用していたため売上高原単位でしたが、2020年度からは国際会計基準(IFRS)を採用したため売上収益原単位としています。
    基準年度である2013年度の値は、2014年度以降に東レグループに加わった会社分を含めて算出しています。
    また、基準年度である2013年度および2023年度は国際的な算定ルールであるGHGプロトコルに則った、経営支配力を乗じた算定方法に変更しています。
    2019年度から2022年度のGHG排出量は従来の出資比率を乗じた算定方法によるものです。
    なお、2023年度と同じ経営支配力を乗じた算定方法では、2022年度のGHG排出量は512万トンとなります。

海外工場石炭利用の削減

P.T.Eatsterntexのガスボイラ設備P.T.Eatsterntexのガスボイラ設備

インドネシアのP.T.Easterntexでは、2024年4月に石炭火力による発電を買電に、蒸気供給をガスボイラに切り替えを実施しました。これによるCO2の排出量削減効果は150千トン-CO2/年です。

東レグループのScope3排出量

東レグループでは、Scope1(直接排出量:自社の工場・オフィス・車両など)、Scope2(エネルギー起源間接排出量:電力など自社で消費したエネルギー)に加えて、Scope3(その他の間接排出量)を算出しています。

Scope3の排出量(東レグループ)

(万トン-CO2

カテゴリ1:購入した製品・サービス 859.7
カテゴリ2:資本財 51.8
カテゴリ3:Scope1、2に含まれない燃料及びエネルギー活動 95.6
カテゴリ4:輸送、配送(上流) 18.4
カテゴリ5:事業から出る廃棄物 0.9
カテゴリ6:出張 0.6
カテゴリ7:雇用者の通勤 2.1
カテゴリ8:リース資産(上流) 0.4
カテゴリ9:輸送・配送(下流) 3.0
カテゴリ10:販売した製品の加工
カテゴリ11:販売した製品の使用 274.6
カテゴリ12:販売した製品の廃棄 447.5
カテゴリ13:リース資産(下流) 1.1
カテゴリ14:フランチャイズ 0.0
カテゴリ15:投資
合計 1,755.6

Scope3の各カテゴリ算定方法

カテゴリ※6 算定方法
1. 購入した製品・サービス 購入した製品・サービスの購入量(物量データ・金額データ)に、それぞれの品目に関する排出係数(IDEA Ver2.3、サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出などの算定のための排出原単位データベースについて(Ver3.4)、サプライヤーから提供された排出原単位を参照)を乗じて算出しています。
2. 資本財 購⼊した資本財の⽀出額(設備投資額)に排出係数(サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出などの算定のための排出原単位について(Ver3.4)を参照)を乗じて算出しています。
3. Scope1、2に含まれない燃料及びエネルギー活動
<燃料>
購入した燃料の物量に燃料種別の排出係数(IDEA Ver2.3を参照)を乗じて算出しています。
<電力、蒸気>
電気に関しては、電力会社から調達した電気の⼊⼒データに全電源平均の排出係数(サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出などの算定のための排出原単位データベースについて(Ver3.4)を参照)を乗じて算出しています。
蒸気(熱)に関しては、調達した熱の⼊⼒データに排出係数(サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出などの算定のための排出原単位について(Ver3.4)を参照)を乗じて算出しています。
4. 輸送、配送(上流)
<原料>
輸送に関しては、重量と距離に、輸送手段別の排出係数(第7版 荷主の省エネ推進のてびき(経産省)を参照)を乗じる方法などにより算出しています。
なお、保管、荷役による排出の影響は軽微なため、対象外としています。
<製品>
輸送に関しては、重量、距離、積載率に、輸送手段別の排出係数(サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出などの算定のための排出原単位について(Ver3.4)を参照)を乗じる方法などにより算出しています。保管に関しては、寄託先から排出量の情報を得るなどして算出しています。
なお、 荷役による排出の影響は軽微なため、対象外としています。
5. 事業から出る廃棄物 廃棄物種別ごとの廃棄物発⽣量に廃棄物種別ごとの排出係数(サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出などの算定のための排出原単位について(Ver3.4)を参照)を乗じて算出しています。
6. 出張 従業員数(総数)に排出係数(サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出などの算定のための排出原単位について(Ver3.4)を参照)を乗じて算出しています。
7. 雇用者の通勤 従業員数(総数)と平均的営業日数に排出係数(サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出などの算定のための排出原単位について(Ver3.4)を参照)を乗じて算出しています。
8. リース資産(上流) 該当する建築物の床⾯積に 単位⾯積当たりの排出原単位(サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出などの算定のための排出原単位について(Ver3.4)を参照)を乗じる方法などにより算出しています。
9. 輸送・配送(下流) カテゴリ4で算出した製品輸送(上流)に関する排出量を用いて、自社が荷主の場合と第三者が荷主の場合の比率から算出しています。
なお、一次販売先までの輸送・配送に関する排出量のみを算出対象としています。
10. 販売した製品の加工 東レグループは、多種多様な材料、素材を多岐に渡る用途に主に中間製品として販売しています。東レグル-プでは、これらの材料、素材がどういった最終製品にどのように加⼯されているかの把握が困難で、排出量の合理的な推計が不可能なため、本カテゴリは算出対象外としています。
11. 販売した製品の使用 直接使用段階排出製品について、報告対象年の販売数量に生涯排出量(東レグループで製品ごとに標準的シナリオを設定し推定)を乗じて算出しています。直接使用段階排出製品の主な対象は、東レエンジニアリング(株)の各種プラント、設備、装置・機器、東レ・メディカル(株)の透析関連、血液浄化装置などです。
12. 販売した製品の廃棄 東レグループが第三者に販売した製品の販売量に、各製品に関係する廃棄原単位(完全燃焼焼却を前提)を乗じて算出しています。
13. リース資産(下流) 該当する建築物の床⾯積に 単位⾯積当たりの排出原単位(サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出などの算定のための排出原単位について(Ver3.4)を参照)を乗じる方法などにより算出しています。
14. フランチャイズ 東レグループでは、フランチャイズ加盟店は無いため、排出量ゼロとしています。
15. 投資 東レグループとは関連性が低いため、算出対象外としています。
  • ※6 カテゴリにより関係会社の対象社数が異なります。

関連情報

東レ(株)と海外関係会社のScope1、2および東レグループのScope3のカテゴリ1、2、3、4、5、6、7、8については、LRQAリミテッド社から第三者保証を受けています。

東レ(株)および国内関係会社の取り組みとGHG排出量(Scope1+2)

東レ(株)および国内関係会社のGHG排出量(Scope1+2)はエネルギー利用の効率化とムダ・ロス削減により2023年度には前年対比0.8%減少しました。GHG排出量(Scope1+2)の売上収益原単位は売上収益の増加、およびGHG排出量削減に向けた取り組みにより前年比4.2%改善し、2013年度比では36.0%低減しました。

GHG排出量およびGHG売上高・売上収益原単位の推移(東レグループ(国内))
GHG排出量およびGHG売上高・売上収益原単位の推移(東レグループ(国内))
  • 2019年度までは日本会計基準を採用していたため売上高原単位でしたが、2020年度からは国際会計基準(IFRS)を採用したため売上収益原単位としています。
    基準年度である2013年度の値は、2014年度以降に東レグループに加わった会社分を含めて算出しています。
    また、基準年度である2013年度および2023年度は国際的な算定ルールであるGHGプロトコルに則った、経営支配力を乗じた算定方法に変更しています。
    2019年度から2022年度のGHG排出量は従来の出資比率を乗じた算定方法によるものです。
東レ(株)のGHG排出量推移(Scope1+2)
東レ(株)のGHG排出量推移(Scope1+2)

再生可能エネルギーの導入

太陽光発電設備能力の増加率

■報告対象範囲
東レグループ
■目標値
2022年度比10%(2025年度)

実績値(2023年度)

101

東レ(株)滋賀事業場の太陽光発電設備東レ(株)滋賀事業場の太陽光発電設備

東レグループでは、「CSRロードマップ2025」で太陽光発電の設備能力増加率をKPIとして設定し、再生可能エネルギー設備の導入を推進しています。
2023年度は東レ(株)滋賀事業場と海外関係会社の中国、ハンガリーの工場で太陽光発電設備を導入したことで、101%の増加率となりました。今後も太陽光発電設備設置の推進に向けた取り組みを進めていきます。
また、2017年度からは東レ(株)東海工場にて、ボイラー燃料としてカーボンニュートラルである汚泥燃料の混焼を実施しています。

2023年度 再生可能エネルギー発電実績
100,770MWh

なお、東レグループにおける太陽光発電設備の設置拠点は下記の通りです。

東レ(株)
  • 滋賀事業場
  • 瀬田工場
  • 愛媛工場
  • 岡崎工場
  • 三島工場
  • 那須工場
  • 基礎研究センター(鎌倉)
国内関係会社
  • 東レ・テキスタイル(株)
  • 東レプラスチック精工(株)
  • 東レKPフィルム(株)
  • 東レフィルム加工(株)
  • 曽田香料(株)
  • 東レ・ファインケミカル(株)
  • 東レ・カーボンマジック(株)
  • 東レエンジニアリング(株)
  • 東レエンジニアリング西日本(株)
  • 東レエンジニアリング中部(株)
  • 東レ建設(株)
  • 東レ・プレシジョン(株)
  • 東洋実業(株)
海外関係会社
米州
アメリカ
  • Toray Resin Co.
  • Toray Plastics(America), Inc.
  • Toray Membrane USA, Inc.
欧州
イタリア
  • Delta-Tech S.p.A.
ハンガリー
  • Zoltek Zrt.
アジア
東アジア
  • 東麗合成繊維(南通)有限公司
  • 東麗高新聚化(佛山)有限公司
  • 東麗高新聚化(南通)有限公司
  • 東麗酒伊織染(南通)有限公司
  • 東麗塑料科技(蘇州)有限公司
  • 東麗塑料精密(中山)有限公司
  • 東麗薄膜加工(中山)有限公司
  • 儀化東麗聚酯薄膜有限公司
  • 東麗膜科技(佛山)有限公司
  • TAK Advanced Film (Nantong) Co., Ltd.
  • Toray Advanced Materials Korea Inc.
東南アジア
  • Thai Toray Synthetics Co., Ltd.
  • Penfabric Sdn. Berhad

東レ(株)における実質的な再生可能エネルギー電力の導入

東レ(株)は、三井不動産(株)と、東レ(株)本社が入居する日本橋三井タワーにおける「グリーン電力提供サービス」※7に関する契約を締結しました。
三井不動産を通じて、電源開発(株)が所有する風力発電設備で創出される環境価値を活用することで、東レ(株)本社で使用する全ての電力について、2022年4月から実質的に再生可能エネルギー100%電力に切り替えました。これにより、グローバル基準で概算年間1,500トン-CO2程度の温室効果ガスの排出削減が見込まれます。
さらに、2023年4月から、名古屋三井ビルディング新館に入居する東レ(株)名古屋支店、2024年4月からは、中之島三井ビルディングに入居する東レ(株)大阪本社でも「グリーン電力提供サービス」を導入し、実質的に再生可能エネルギーによる電力を調達しています。

  1. ※7 グリーン電力提供サービス:オフィスビルなどで使用する電力を非化石証書の活用によって実質的に再生可能エネルギーとして提供する三井不動産が独自に構築したサービス。

「ふくしまゼロカーボン宣言」事業の取り組み(東レフィルム加工(株))

福島県知事(中央)と福島工場長(右から二人目)福島県知事(中央)と福島工場長(右から二人目)

東レフィルム加工(株)は、福島工場での「ふくしまゼロカーボン宣言」事業の取り組みについて、「ふくしまゼロカーボンへの挑戦表彰制度(事業所版)表彰式」の製造業等部門(中級編)で優秀賞を受賞しました。

海外事業所での省エネ・設備効率化の取り組み(Toray Advanced Materials Korea Inc.)

同僚と受賞を喜ぶ動力1チーム課長(左端)同僚と受賞を喜ぶ動力1チーム課長(左端)

Toray Advanced Materials Korea Inc.は、設備の効率化とリサイクル率の向上により、省エネと効率的かつ安定的な設備管理で地域のエネルギー産業発展に寄与した功績が認められ、「2023年慶尚北道エネルギー大賞」の授賞式において慶尚北道知事表彰を受けました。

オゾン層保護への取り組み

東レ(株)は、1994年に製造工程での特定フロンの使用を全廃し、あわせて冷凍機補充用フロンの購入も全廃しました。特定フロン使用の冷凍機については、計画通り、2019年度中に更新を完了しました。

関連情報

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD : Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言に沿った気候変動関連の情報開示は、東レグループの気候変動への対応をご覧ください。

「CSRロードマップ 2025」におけるCSRガイドライン3「安全・防災・環境保全」の主な取り組みはこちらをご覧ください。