社長メッセージ | 東レ株式会社 代表取締役社長 大矢 光雄 社長メッセージ | 東レ株式会社 代表取締役社長 大矢 光雄

 株主の皆様には、平素から格別のご支援を賜り厚くお礼申し上げます。

 2023年度の世界経済は、米国は堅調でしたが、欧州は低迷、中国が鈍化したこと等から回復に力強さを欠きました。国内経済については、緩やかな回復の動きが続いていますが、世界景気の先行き不透明感や半導体市場の調整長期化が下押し圧力となりました。

 このような事業環境の中で、当社グループは「持続的かつ健全な成長」を掲げ、2023年度からは「持続的な成長の実現」「価値創出力強化」「競争力強化」「『人を基本とする経営』の深化」「リスクマネジメントとグループガバナンスの強化」の5つを基本戦略とした中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”を推進しています。

 以上の結果、当社グループの連結業績は、売上収益は前期比1.0%減の2兆4,646億円、事業利益は同6.9%増の1,026億円となりました。また、炭素繊維複合材料事業において、風力発電翼用途の需要低迷に伴い減損損失を計上したこと等から、営業利益は同47.1%減の577億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同69.9%減の219億円となりました。この業績を踏まえ、期末配当金につきましては、1株当たり9円とさせていただきました。これにより、中間配当金9円を加えた年間配当金は、1株当たり18円となりました。

 また、今回新たに政策保有株式の縮減と、その売却代金を自己株式取得に充当する方針を決定しました。中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”で掲げた目標達成に向け、資本効率の改善を加速するため、2024年度から2026年度の3年間で50%、現在の時価で約1,000億円相当の政策保有株式を削減します。売却代金は、全額を株主還元として自己株式取得に充当します。

 今後、世界経済は、欧米での高金利による個人消費や設備投資の意欲低下、中国経済の足踏みにより、回復ペースは緩やかなものに留まると見られます。国内経済は緩やかな回復が見込まれます。ただし、中国での不動産不況の長期化、欧米での利下げ開始時期の遅れによる消費減速、中東情勢の緊迫化、日銀の金融政策変更や為替変動等が内外経済の下振れ材料として挙げられます。

 このような状況の下、当社グループは、中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”の基本戦略を推進し、不確実性に備えた事業運営を実行してまいります。

 株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご理解を賜りますようお願い申し上げます。

2024年7月