社長メッセージ | 東レ株式会社 代表取締役社長 大矢 光雄 社長メッセージ | 東レ株式会社 代表取締役社長 大矢 光雄

 株主の皆様には、平素から格別のご支援を賜り厚くお礼申し上げます。

 2024年度の世界経済は、米国は堅調に推移し、欧州は一部に足踏みがみられましたが、持ち直しが続きました。中国は景気刺激策の効果もみられたものの回復は足踏み状態となりました。国内経済については、緩やかな回復が続きました。

 このような事業環境の中で、当社グループは「持続的かつ健全な成長」を目指し、2023年度からは「持続的な成長の実現」「価値創出力強化」「競争力強化」「『人を基本とする経営』の深化」「リスクマネジメントとグループガバナンスの強化」の5つを基本戦略とした中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”(以下、AP-G 2025)を推進しています。

 2024年度の当社グループの連結業績は、売上収益は前期比4.0%増の2兆5,633億円、事業利益は同39.1%増の1,428億円となりました。営業利益は同121.1%増の1,275億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同255.8%増の779億円となりました。

 この業績を踏まえ、期末配当金につきましては、1株当たり9円とさせていただきました。これにより、中間配当金9円を加えた2024年度の年間配当金は、1株当たり18円となりました。なお、2025年度は3年連続となる増益を計画しており、AP-G 2025で収益基盤の強化が進んでいることを踏まえ、年間配当金は前期比2円増配し、1株当たり20円を予定しています。

 また、資本効率の改善を加速するため、政策保有株式の縮減を進めています。2024年度は1,098億円の政策保有株式を売却し、資本合計に対する比率は5.4%となりました。売却代金は全額自己株式の取得に充てる方針で、2024年11月に1,000億円の自己株式取得を決議し、取得を進めています。政策保有株式については2025年度も追加の売却を予定しており、この売却代金も自己株式取得に充当する方針です。

 世界経済は、米国の相互関税発動もあって不透明感が強い状況が継続すると見ています。当社はグローバルに拠点を有することから各国が保護主義へ傾倒する状況に対して高い耐性を持っていますが、各政策やサプライチェーンの変化に細心の注意を払い、不確実性に備えた事業運営を行ってまいります。

 また、次の中長期計画について社内で活発な議論を開始しました。2026年度以降も持続的な成長を果たしながら、企業理念「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」を具現化する「真のサステナブルな会社」を目指し、たゆまない努力を続ける所存でございます。

 株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご理解を賜りますようお願い申し上げます。

2025年7月