化学物質管理
国内外の化学物質規制への対応状況
東レ(株)では、全事業本部および国内・海外関係会社において化学物質管理推進体制を構築し、各国の法規制に基づく化学物質の登録や製造・輸入量などの管理および実績報告、禁止・制限物質の不使用確認など、法規制の遵守に努めています。
また、REACH規則における高懸念物質(SVHC)など、ヒトや環境への悪影響が懸念される化学物質を使用している製品については、より安全な化学物質への代替を進めています。
2024年度は、主に以下の活動を実施しました。
- 各国法規に則った化学物質登録、届出
- 労働安全衛生法(安衛法)の改正に対応した安全データシート(SDS)の改訂
- EUマイクロプラスチックス制限で使用が禁止されるポリアミド12微粒子の、海洋生分解性プラスチックポリアミド4への代替
- PFASフリー素材(撥水テキスタイル、ポリイミド材料、電解質膜、半導体向け離型フィルム)の開発
- カドミウムフリー素材による波長変換シート新製品の開発
なお、当社製品のうち、SVHC物質の含有率が0.1wt%を超えるものは、2025年6月現在で26製品あります。
含有化学物質管理の取り組み
東レ(株)では、製品の開発、製造、物流、使用、廃棄の全サイクルにわたり、地球環境への負荷を可能な限り低減することを目的として、「東レグリーン調達ガイドライン」(2004年6月制定、2022年6月最新版改訂)を制定しています。
このガイドラインに基づき、以下の法規制物質を禁止および管理物質として定め、管理しています。さらに、事業ごとに関連法規に基づいた管理物質を個別に設定し、管理を徹底しています。
禁止物質
- 化審法第一種特定化学物質
- 安衛法製造禁止物質
管理物質
- EU RoHS指令10物質
- 特定アミンを形成するアゾ化合物(家庭用品規制法)
- オゾン層破壊物質(オゾン層保護法)
- 放射性物質
上記以外の管理物質については、chemSHERPA※1の管理対象となっている法規を中心に設定しています。
- ※1 chemSHERPA:アーティクルマネジメント推進協議会(JAMP)が運営している含有化学物質情報伝達スキーム(https://chemsherpa.net/)
把握した含有化学物質の情報に基づき、当社製品に含有される全ての化学品について、世界調和システム(GHS)に基づく危険有害性の分類を行い、危険有害性を有する製品にはラベル表示を実施しています。また、危険有害性の有無にかかわらず、SDSにて含有成分の情報を提供しています。
さらに、糸やフィルムなどの素材製品についても、SDSと同様の様式を用いて、含有する化学物質の情報をお客様に提供しています。
東レグループにおける化学物質管理の強化
世界各国で加速する規制強化の動きに適切に対応するため、東レグループではシステムの活用や社内教育の充実などを通じて、管理体制の強化を図っています。
2019年度から運用開始した「東レ化学物質統合管理システム(TCMS)」を活用し、出荷先国における化学物質の登録や法規制の確認、各国法規に準拠したSDSの提供を、確実かつ迅速に実施しています。
さらに、化学物質管理の実務担当者の意識向上・レベルアップのために、新たに社内教育体系を構築しました。2024年度には、東レグループ内の希望者を対象に、韓国や東南アジアなどの化学物質管理制度やITツールの活用方法など、9つのテーマに基づく教育を実施し、延べ1,645名が受講しました。