これまで、エンベロープ型ウイルスに対して効果を発現する抗ウイルス加工をポリエステル素材に使用する場合、薬剤の繊維への固定化が難しいことから洗濯耐久性が得にくいという課題がありました。そのため、薬剤の繊維への固定化が比較的しやすい綿混素材を使用したものが一般的であり、イージーケアやストレッチ性、吸汗速乾性といった合繊ならではの機能性と両立させることに限界がありました。また、ポリエステル素材を使用しながら洗濯耐久性を得るためには接着成分を使用するなどの手法がとられてきましたが、接着成分を使用するとテキスタイルの風合いが固くなることから、衣料用途での展開には制限がありました。
今回、東レは抗ウイルスの最適な薬剤の使用と、ポリエステル繊維への独自の薬剤固定化技術により、薬剤をポリエステル繊維内部まで吸尽させることに成功しました。このことにより「MAKSPEC® V」は、(一社)繊維評価技術協議会によるエンベロープ型ウイルスに対する抗ウイルス性認定(SEK抗ウイルス加工マーク)の取得に加えて、業務用洗濯での耐久性を実現しました。さらに今回開発した技術により、テキスタイル本来の柔らかな風合いを残すことが可能となったことで高い着用快適性を実現するとともに、一般的な衣料用テキスタイルに求められる染色堅牢度を備えているため、これらの特長を合わせ「MAKSPEC® V」を衣料用途に幅広く展開していきます。
東レは、高い機能性が求められるユニフォーム素材の開発で培った繊維加工技術を駆使し、快適性と安全性を合わせ持つ、高機能・高付加価値なテキスタイルの開発を通じて、より良い社会の実現に取り組んでまいります。
今回、開発した「MAKSPEC® V」の詳細は下記の通りです。