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第68回大河内記念技術賞受賞
「電動自動車向け高耐熱コンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルムの開発」
-HEV、PHEV、EV、FCV等の中核部品であるPCUの軽量化・高出力化に貢献-

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2022.03.23

東レ株式会社
 

 東レ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:日覺 昭廣、以下「東レ」)は、「電動自動車向け高耐熱コンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルムの開発」について、公益財団法人大河内記念会より「第68回(令和3年度)大河内記念技術賞」を受賞しました。
 この度の受賞は、東レが革新的な延伸製膜技術の創出により、高耐熱コンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)の開発・工業化に成功し、電動自動車(xEV)の高性能化に大きく寄与したことが評価されたものです。
 東レの「大河内賞」受賞は、第63回(平成28年度)に続き、今回で15度目となります。
 
(授賞式の写真)

 近年、環境問題への対応から、CO2排出量削減を目的にxEVが急速に拡大しています。東レは、革新的な製膜技術により高耐熱コンデンサ用二軸延伸OPPフィルムの開発・工業化に成功し、それによるコンデンサの小型化・高性能化を通してxEV中核部品である動力制御回路(PCU)の軽量化・高出力化に大きく貢献したこと、また、その後の継続的な技術開発により、PCUの性能向上およびxEVの普及に大きく貢献したことが高く評価され、本賞の受賞に至りました。

 大河内記念会は、故大河内正敏博士の学界、産業界に残された功績を記念して、1954年(昭和29年)に設立され、その後今日まで、博士の遺志となった「生産のための科学技術の振興」を目的として、大河内賞による表彰事業等を実施しています。大河内賞は、毎年、各方面からの推薦に基づき、わが国の生産工学、生産技術の研究開発、および高度生産方式の実施等に関する顕著な功績を表彰するものです。
 今回東レでは、生産工学、生産技術の研究により得られた優れた発明または考案に基づく産業上の顕著な業績をあげた個人または5名以内のグループを対象に贈られる「大河内記念技術賞」を受賞しました。

今回の受賞内容の詳細は下記の通りです。
 

1.受賞テーマ
「電動自動車向け高耐熱コンデンサ用二軸延伸ポリプロピレンフィルムの開発」

2.技術特徴
 xEVのモーターを駆動するための動力制御回路の基幹部品には、ポリプロピレン(PP)フィルムコンデンサが採用されています。その採用から基幹部品に至るためには、誘電体のOPPフィルムの耐熱性指標である高温での電位傾度(厚み当たりの絶縁破壊電圧)を大幅に高め、薄膜化を推進する必要がありました。
 東レは、樹脂メーカーと共同で超高立体規則性ポリプロピレン(PP)樹脂を開発しましたが、二軸延伸が従来品対比で極めて困難でした。これを克服すべく、独自のプロセス制御技術の高精度化により、優れた均一性を有する極薄OPPフィルムの安定生産化に成功しました。
 これにより、PPフィルムコンデンサの耐熱温度は85℃から105℃まで上昇し、PCUの信頼性・耐熱性の向上と高効率化が図れ、xEVの高性能化に大きく寄与しました。更に、表面形状制御・配向構造制御の革新により、継続的なOPPフィルムの薄膜化と高電位傾度化を実現しました。

3.実用状況と今後の展開
 東レのコンデンサ用OPPフィルム“トレファン”は、コンデンサ用フィルムのトップブランドとして世界で認知され、xEV向けで世界シェア60%以上を有します。
 2021年末には、東レ土浦工場でOPPフィルムの新規生産設備が稼働を開始し、車載コンデンサ用フィルムの生産能力を従来の1.6倍に拡大すべく取組中であり、更なる生産能力増強も検討しています。環境規制や環境意識の高まりから高成長が見込まれるxEVの需要増加に応え、その高性能化に貢献してまいります。

 ※xEV: 電動自動車(ハイブリッド自動車HEV、プラグインハイブリッド自動車PHEV、電気自動車EV、燃料電池車FCV)の総称

<ご参考>

東レの「大河内賞」受賞履歴について

第63回(平成28年度)
「有機ELディスプレイ絶縁膜用ポジ型感光性ポリイミドの開発」(生産賞)
第60回(平成25年度)
「航空機用炭素繊維複合材料の開発」(生産特賞)
第59回(平成24年度)
「中枢系に作用する難治性そう痒症治療薬ナルフラフィン塩酸塩の創出」(技術賞)
第54回(平成19年度)
「液晶ディスプレイバックライト用高性能反射ポリエステルフィルムの開発」(生産賞)
第52回(平成17年度)
「非感光ポリイミド法による携帯電話用液晶ディスプレイ向け高性能カラーフィルターの開発」(生産賞)
第49回(平成14年度)
「ポリアミド複合逆浸透膜および逆浸透膜システムの開発」(生産賞)
第47回(平成12年度)
「パラ系アラミドフィルムの開発」(生産賞)
第43回(平成8年度)
「磁気テープ用多層ポリエステルフィルムの開発」(生産特賞)
第41回(平成6年度)
「ベラプロストナトリウムの開発と企業化」(技術賞)
第33回(昭和61年度)
「天然型ヒト・インターフェロン ベータ製剤の生産技術の開発」(生産賞)
第22回(昭和50年度)
「溶融紡糸延伸直結法の開発と工業化」(生産賞)
第20回(昭和48年度)
「新しいパラキシレンの製造技術の開発と工業化」(生産賞)
第19回(昭和47年度)
「オープンエンド精紡機MS400の発明およびその工業化」(生産賞)
第14回(昭和42年度)
「光ニトロソ化(PNC法)によるε-カプロラクタムの製造」(生産特賞)

 
以 上