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新規持続緩徐式血液濾過器「ヘモフィール®SNV」の本格販売開始について

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2019.07.01

東レ株式会社/東レ・メディカル株式会社

 東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)は、このたび、抗血栓性※1の向上により膜の目詰まりを防ぎ、従来よりも長い時間使用できることを期待して開発した持続緩徐式血液濾過※2器「ヘモフィール®SNV」について、本年7月より東レ・メディカル株式会社(本社:東京都中央区、社長:田辺信幸、東レ100%出資)による本格販売を開始します(医療機器承認番号:23000BZX00297000)。

 急性腎障害をはじめ、多臓器不全や敗血症などを合併した深刻な腎障害に対しては、患者の身体への負担を少しでも抑えるため、ゆっくりと血液を循環させ血中から物質除去を行う治療が施行されます。この治療法では、血液の流れがゆっくりであるため、治療時間が長くなる上に、血栓形成反応※3が誘発されやすい状況下にあり、医療従事者や患者の身体への負担が生じてしまいます。そのため特にこのような救急・集中治療に用いられる持続緩徐式血液濾過器に対しては、膜そのものの抗血栓性を高めることが求められ続けてきました。

 東レはこのような医療現場の声を受け、中空糸膜表面に当社独自の “NVポリマー”を施すことで、抗血栓性を当社従来品比大幅に向上させることに成功しました。ポリスルホン膜※4のもつ優れた物質分離性能に加えて、抗血栓性を向上させたことにより濾過性能の経時劣化が抑制できることをin vitro試験で確認しております。この“NVポリマー”技術は、当社の血液透析器「トレライト® NV」や血液透析濾過器「トレライト®HDF」「トレスルホン® NV」にも採用されており、既に多くの臨床使用実績があります。この技術を初めて救急・集中治療領域にも展開したことで、救急・集中治療領域の長時間に及ぶ治療における医療従事者・患者の負担軽減に貢献できると考えています。

 東レは、「東レグループ サステナビリティ・ビジョン」において、東レグループの革新技術・先端材料によって取り組むべき課題の一つに、医療の充実と公衆衛生の普及促進に貢献することを宣言しています。今後も、先端材料技術を活用した高付加価値医療材料の開発推進により、企業理念である「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」を具現化し、社会貢献とともに持続的な成長拡大を目指してまいります。

以 上

新規持続緩徐式血液濾過器「ヘモフィール®SNV」の本格販売開始について



<用語説明>
※1)抗血栓性
血液と接触する医療用材料に要求される、血液の凝固(血栓)を防ぐ性能のこと。

※2)持続緩徐式血液濾過
時間をかけてゆっくりと血中から物質除去を行う治療方法。循環動態に与える影響が少ないという利点がある。

※3)血栓形成反応
血液は異物と接触すると生体防御反応を起こし、異物の表面に血中のタンパク質が集まって付着する。それが引き金となって血栓形成反応が誘発される。血栓形成はカテーテルや人工血管・透析膜等を詰まらせ性能劣化の原因になる上に、血液の流れを物理的に遮断してしまうことで、治療の中断につながってしまう場合もある。

※4)ポリスルホン膜
耐熱性ポリマーであるポリスルホン樹脂を基本素材として作られた半透膜。中空糸型に成型したポリスルホン膜は、血液中にある尿素等の小分子量物質から、β2-ミクログロブリンなどの低分子量タンパク質まで、幅広い物質の除去が可能である他、一般的に血液適合性を有している。