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5G通信、ミリ波レーダー向け電子部品に適した
低誘電損失ポリイミド材料を開発

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2019.05.30

東レ株式会社

 東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)は、大容量データの高速安定通信技術として普及しつつある5G通信や、自動運転などに用いられるミリ波レーダー向け電子部品に適したポリイミド材料を開発しました。本材料は、ポリイミドの特徴である耐熱性、機械特性、接着性と、高速通信に必要な低誘電損失の性能を兼ね備えており、これらの部材に使われる高周波部品の性能向上に大きく貢献します。

 5G通信は、高速、大容量、多数の同時アクセス、低遅延を可能にする次世代の通信技術として注目されています。5G通信では、従来から使用されている6GHz以下の周波数バンドの使用に加え、ミリ波領域といわれる20GHz以上の新たな周波数帯での通信が必要です。この技術の実用化には、高い周波数帯域での通信に適した誘電特性と、半導体実装に耐えられる耐熱性、銅配線との接着性などを満たす材料の開発が課題でした。また、歩行者の検知、障害物との距離測定など自動車の安全走行、自動運転に向けて、適用範囲が拡大することが期待されているミリ波レーダー部品も、同様の課題を抱えていました。

 東レは、長年蓄積してきた機能性ポリイミド設計技術を駆使し、精緻な分子設計と極限追求により、高耐熱性、機械物性、接着性を有し、電気エネルギーの損失を0.001(20GHz)に抑える低誘電損失ポリイミドの開発に成功しました。現在、本材料をベースに、感光性付与、シート化などの開発を進めており、本材料の適用により電気エネルギーの損失を抑え、大容量データの高速通信安定化や、ミリ波レーダーの距離測定性能向上、部品の小型化等が可能となります。
 東レは、5G通信時代に適した各種樹脂を事業化していますが、今回開発した材料を新たにラインナップに加え、次世代の通信技術を支える半導体デバイス、電子部品などでの採用を進めてまいります。

 東レは、今後も、「有機合成化学」、「高分子化学」、「バイオテクノロジー」そして「ナノテクノロジー」という東レのコア技術を駆使して、社会を本質的に変える力のある革新的な素材の研究・技術開発を推進することで、企業理念である「私たちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」の具現化に取り組んでまいります。

以 上

<ご参考:語句説明>
誘電損失 :
電気エネルギー損失の度合いを表す数値。絶縁体である樹脂に高周波を加えると電気エネルギーが熱に変化する現象を指す。数値が大きくなればなるほど、絶縁体の中で電気エネルギーが熱に変換され、信号の減衰を引き起こす。

誘電特性 :
絶縁体に交流電場を加えたときの誘電損失と誘電率(数値が小さければ小さいほど絶縁性に優れている)のこと。