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2019.04.23
東レ株式会社
東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)は、この度、従来の紫外線カットフィルムに比べて、薄膜でありながら紫外線カット率99.99%の高い紫外線遮蔽性能をもち、かつ透明性を維持したまま、400nm近傍の紫外線領域までカットできる革新的な紫外線カットフィルムを開発し、2020年の量産に向けて本格展開を開始しました。 最近の著しい情報化社会の発展に伴い、従来の液晶ディスプレイ(LCD)の他にも様々なディスプレイが開発され、各種の特長を活かした製品が市場へ展開されています。中でも有機ELディスプレイは、TVやスマートフォンなどの各種用途に急速に広がっていますが、水分や熱の他、紫外線にも弱く、特に可視光に近い波長400nm近傍の紫外線でも劣化に影響するとの報告もあり、耐久性向上のさらなる改善が望まれています。 一方、東レは2008年に上市したナノ積層フィルムPICASUS®で培った技術の極限追求を継続してきました。その結果、ナノ積層フィルムの層厚みをさらに高精度に制御できるようになり、干渉反射現象による反射波長帯域を自由に制御できる「波長選択性」を実現し、近赤外透過・金属光沢調フィルムや、ダイクロイック調フィルム、ブルーライトカットフィルムなど、種々の用途に応じて必要な特性を付与したPICASUS®シリーズを展開してきました。 今回、本格展開する革新的な紫外線カットフィルムPICASUS®UVは、ナノスケールの厚みの層を数百~千層重ねたフィルムであり、その層の厚みや配列デザインにより紫外線領域の光を任意に反射及び吸収させる機能を備えています。これにより、従来の紫外線吸収剤のみを含んだフィルムでは達成できない400nm近傍の紫外線までをシャープにカットしつつ、その遮蔽性能を飛躍的に向上させることに成功しました。 この革新的な紫外線カットフィルムPICASUS®UVは、ディスプレイ用途以外でも自動車、建材、農業、電子材料、医薬等の特殊包装の様々な用途での使用が期待できます。 東レは今後も、「有機合成化学」、「高分子化学」、「バイオテクノロジー」そして「ナノテクノロジー」という東レのコア技術を駆使して、社会を本質的に変える力のある革新的な素材の研究・技術開発を推進することで、創業以来の東レグループ企業理念である「私たちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」の具現化に取り組んでまいります。 革新的な紫外線カットフィルムPICASUS®UVの技術ポイントは下記の通りです。
<語句の説明>1)ナノメートル(nm) 10-9m(髪の毛の直径が10~100μmとすると、その1万~10万分の1) 2)PICASUS® 東レ独自のナノ積層技術を駆使したポリエステルフィルムの総称。可視~近赤外線までの光を一様に干渉反射させた金属光沢調フィルムから、ディスプレイから発するブルーライトのみを色づきなくカットできるフィルム、特定の色の光のみを選択的に反射できるダイクロイック調フィルムなど、様々なラインナップがある。