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平成30年度日本化学会 第67回化学技術賞受賞 「高機能ポジ型感光性シロキサンの開発と実用化」 -2年ぶり、16度目の「化学技術賞」受賞-

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2019.03.20

東レ株式会社

 東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)は、この度、『高機能ポジ型感光性シロキサンの開発と実用化』について、公益社団法人日本化学会より「第67回(平成30年度)化学技術賞」を受賞し、3月17日(日)に甲南大学 岡本キャンパスにおいて表彰式が開催されました。当社が「化学技術賞」を受賞したのは、第65回(平成28年度)に続き、16度目となりました。

 この度の受賞は、透明・耐熱性に優れた有機/無機ハイブリッド材料であるシロキサンへのポジ型感光化による微細パターン加工性(高解像度・高感度)の付与に成功し、高機能ポジ型感光性シロキサンを世界で初めて開発・実用化したことが評価されたものです。

 スマートフォン・タブレットは世界中で14億台を超え、生活必需の電子機器になっており、その重要部材であるディスプレイ、タッチセンサ、イメージセンサ等の光学デバイスには、構成材料として透明コーティング剤が使用されています。しかし、アクリル等の従来ポジ型感光性有機材料では、可視光無色透明性、耐熱・耐候性、高解像度、屈折率等、いずれかの特性が不足するという課題があり、新規ポジ型感光性透明材料が求められていました。

 東レは独自の設計・製造した高架橋性シロキサンにより、透明性低下を伴わない少量の感光剤で高解像度と高感度を発現する技術を開発しました。この技術により開発した高機能ポジ型感光性シロキサンは、従来の有機膜材料よりも高解像度、高感度であり、透明硬化膜として、液晶用平坦化やタッチセンサ用絶縁・保護、イメージセンサ用導波路・レンズ等に実用化されています。

 今回の受賞は、シロキサンへのポジ型感光化によって高解像度と高感度を発現するという革新的な技術に加え、高い設計・特性自由度(屈折率制御、焼成シリカ化等)による将来に渡っての光学デバイス関係産業の発展に大きく貢献していくと期待される点が高く評価されたものです。
 本開発品は、従来の有機膜材料では達成し得ない特性を持つことから、光学デバイスの高性能化に寄与しています。
 今後、更なる光学デバイス関係産業用途の拡大を進めてまいります。

 東レは今後も、「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」の企業理念の下、コア技術である有機合成化学、高分子化学のさらなる深化、ナノテクノロジーとの融合を図り、革新的な先端電子材料の創出を進めてまいります。

以 上

<ご参考>
東レの「日本化学会・化学技術賞」受賞履歴について
 
第 1回(昭和26年度) 「ポリアミド合成繊維の研究とその工業的製造技術の確立」
第13回(昭和39年度) 「光ニトロソ化法(PNC法)によるε-カプロラクタムの製造」
第19回(昭和45年度)   「トルエン不均化および高純度シクロヘキサン製造技術の確立と工業化」
第22回(昭和48年度) 「スエード調一層構造人工皮革の技術開発」
第25回(昭和51年度) 「ポリアクリロニトリルを原料とする炭素繊維製造技術の確立と工業化」
第37回(昭和63年度) 「水なし平版システムの開発」
第41回(平成 4年度) 「架橋芳香族ポリアミド複合逆浸透膜の開発」
第45回(平成 8年度) 「パラ系アラミドフィルムの開発」
第47回(平成10年度) 「表面実装対応ビフェニルエポキシ封止材の研究開発」
第49回(平成12年度) 「敗血症治療用エンドトキシン吸着カラムの研究開発」
第51回(平成14年度) 「感光性ガラスペーストによるPDP隔壁形成技術」
第58回(平成21年度) 「部分エステル化反応を用いた高性能ポジ型ポリイミドの開発と実用化」
第61回(平成24年度)     「軽量航空機用複合材料の実用化」
第63回(平成26年度) 「新規分子・構造設計による革新逆浸透膜の開発」
第65回(平成28年度)     「反応誘起型ナノ相分離エポキシ樹脂と高性能CFRPの開発」

以 上