東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺 昭廣、以下「東レ」)、オリックス株式会社(本社:東京都港区、社長:井上 亮、以下「オリックス」)、中国本土で上下水道ビジネスを展開する中国水務集団有限公司(本社:香港、以下「中国水務」)は、このたび、中国での水処理・水環境事業において、戦略提携協議書を締結しましたのでお知らせします。
中国では、昨今の急激な経済発展や都市部の人口集中に伴い、環境汚染が深刻化する中、2015年に環境保護法が全面改正されるなど、近年政府による環境規制の強化が進んでいます。水資源においても量的・質的不足が大きな課題であり、浄水場における上水の管理モデルや配管など給水設備の老朽化などの問題のため、水道水は一度加熱したものを飲用する習慣があるほか、下水や工業排水などにおいても品質向上に対するニーズが急激に高まっています。
今回の提携では、中国水務の上水道設備に東レの膜ろ過技術を導入し、中国各地の住居、学校、市庁舎などにおいて、直接飲用に適した水道水を供給することで、「水道の水を直に飲む」という文化変革の浸透を図ります。また、既存の下水処理施設の設備更新や新規施設の建設において水処理膜の技術提供を行うほか、東レの家庭用浄水器の販路拡大でも協業します。将来的には、中国水務が主に都市部で運営している下水処理設備を農村部に展開することにより、都市部と農村部で差がある浄水、汚水処理技術の普及拡大も目指します。
東レは、RO、NF、UF、MF、MBR膜を取り揃えるグローバルな水処理膜メーカーとして、中国市場においては1980年代から水処理膜ビジネスを展開してまいりました。水処理施設に向けては、上水・工業用水処理、海水淡水化、下廃水再利用に使用される各種水処理膜を供給し、中国の水環境改善・水不足問題の解決等に貢献してきました。家庭用浄水器分野についても、日本市場において国内家庭用浄水器トップシェア※のトレビーノ®を2007年より中国市場に上市し、蛇口直結型を中心とする商品を展開中です。
オリックスは、1981年に中国初のリース会社を設立以降、日本および海外で培ってきた経験やノウハウを活用し、中国で金融サービス事業を展開してきました。2009年に大連市にオリックス中国本社「欧力士(中国)投資有限公司」を設立し、2010年に国営の自然科学の最高研究機関である「中国科学院」と環境分野における戦略提携を行うなど、多角的な事業展開を図っています。2011年には中国水務に出資し、主要株主として事業拡大をサポートするとともに、日本企業の持つ優れた技術・ノウハウの橋渡し役を担っています。
中国水務は、中国の50以上の地方都市において上水道施設の運営・管理を、20以上の地方都市において下水施設の運営・管理を行うほか、インフラ整備を含む周辺業務も手掛ける総合水処理事業会社で、香港証券取引所に上場しています。自社施設の開発・運営のほか、上下水道施設を保有する地方政府傘下の国営企業に出資し、設備の改善や運営ノウハウを提供することで、付加価値の高い水処理施設の運営と関連サービスの提供を手掛けています。
東レ、オリックス、中国水務は、今回の提携を機に、プロジェクト内容についてさらに検討を進め、各社のリソース、専門性、優位性を最大限発揮できる協業を推進していきます。
※ 2017年1月~12月 日本全国の量販店POS金額実績
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