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第50回市村産業賞功績賞受賞「高機能性逆浸透膜の開発」 -「第49回日化協技術賞」に続く受賞-

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2018.04.27

東レ株式会社

 東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺 昭廣、以下「東レ」)は、4月16日(月)『高機能性逆浸透膜の開発』について、公益財団法人 市村清新技術財団の「第50回市村産業賞 功績賞」を受賞しました。  市村清新技術財団は、科学技術の研究開発に対する助成、優れた科学技術の顕彰および国際交流の促進、科学技術に関する創造性の育成、植物の生育に関わる研究に対する助成などによって科学技術の振興を図ることにより、我が国の経済社会の発展と国民生活の向上に寄与するために活動しています。  市村賞は、日本を代表する実業家であった市村清氏の昭和38年4月29日紺綬褒章受賞を記念して創設された賞です。特に「市村産業賞」は、毎年、各産業界からの推薦に基づき、優れた国産技術を開発することで産業分野の発展に貢献・功績のあった技術開発者またはグループに贈呈されます。  東レが市村賞を受賞するのは、昭和51年の「漢字情報処理システムの開発」の受賞以来2度目の受賞です。また、本技術は、一般社団法人日本化学工業協会(日化協)の「第49回日化協技術賞 総合賞」も受賞しています。今回の受賞は日化協の推薦を受けて受賞したものです。  この度の受賞は、東レのコア技術である高分子化学とナノテクノロジーを駆使し、逆浸透膜の透水性能(省エネルギー性)と除去性能(水質)および、耐汚れ性(運転安定性)を著しく向上した逆浸透膜の開発に成功したことが評価されたものです。  世界的に深刻化する水不足や水質悪化による水問題を解決する水源開発として、海水やかん水の淡水化に加えて、下廃水再利用への需要が高まっています。本賞の受賞は、多様な水源に対応し、省エネルギーで高水質な水が得られるプロセスに必要な、高透水性と高除去性および、耐汚れ性を兼ね備えた高機能性逆浸透膜を開発することにより、世界的な水不足の解消と産業の発展に大いに貢献したことが認められたものです。
贈呈式写真
贈呈式写真
 なお、今回の受賞に関する主な技術特徴は下記の通りです。
(記)
1.受賞業績
「高機能性逆浸透膜の開発」
2.本技術の特徴
 逆浸透膜の表面には厚さ1億分の1メートル程度の「ひだ」状のポリマーの分離機能層が形成され、分離機能層に存在する10億分の1メートル以下の細孔を利用して水と塩などの不純物の分離を行っています。微細な「ひだ」と細孔の構造を精密に制御することができれば、水だけを効率的に透過する、つまり透水・除去性能・耐汚れ性に優れた高性能RO膜を得ることができます。

 東レは、逆浸透膜の高機能化に向け、ポリアミドからなる分離機能層の微細構造に着目し、ナノオーダーレベルでの精密解析により、「ひだ」構造と細孔、水チャネル構造を世界で初めて定量的に明らかにしました。さらに、独自の精密界面重合と表面制御技術により、精密解析で明確化したひだ構造や細孔構造、さらには膜表面の吸着水層を制御することにより、高透水性、高除去性、耐汚れ性を兼ね備えた高機能性逆浸透膜の開発に成功しました。
3.実用状況と今後の展開
 開発された逆浸透膜によって年間に生産される水量は、3億7千万人分の生活用水に相当し、産業の発展と世界の水不足解消に大いに貢献しています。さらに、水処理分野のみならず、バイオマスからの有価物製造(バイオリファイナリー)などの新領域への展開も進んでいます。

 東レは、高分子化学とナノテクノロジーをベースに、世界中の水処理プラントで期待される、省エネルギーを実現する透水性能の向上、高品質のろ過水を得るための物質除去性能や原水の多様化に伴う耐汚れ性に優れる逆浸透膜の創出を続けてまいります。
<ご参考>
東レの「市村賞」受賞履歴について
第24回(昭和51年度)
  「漢字情報処理システムの開発」(奨励賞)
以 上