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高平滑性と走行性を兼ね備えた高透明薄膜OPPフィルムの開発 -IoTデバイスの高性能化と生産性向上に貢献-

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2018.03.27

東レ株式会社

 東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)は、高い表面平滑性と走行性を両立した、高透明・低フィッシュアイ(*)、薄膜の二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムを開発し、この度、当社土浦工場にて生産を開始しました。
 今回開発したOPPフィルムを工程フィルムとして用いることで、お客様のIoT関連部材等の製造加工工程における生産性の向上、品質向上に大きく貢献いたします。

 高性能・多機能な電子デバイスの製造工程では、離型フィルム、キャリアフィルム、保護フィルムなど、様々な工程フィルムが用いられています。これらのフィルムには、高い平滑性が求められますが、高平滑なフィルムは摩擦が大きく、加工適性や走行性が不十分となり、巻き取り等の取り扱いが難しいという課題がありました。一方、フィルムを厚膜化することで加工適性や巻取り性を確保する手法がありますが、1ロールあたりのフィルムの長さが短くなってしまうため、ロール交換等の作業増により生産性を犠牲にすることがありました。

 これに対して東レは、独自の原料設計および結晶の延伸構造制御技術により、OPPフィルム表面に微細突起を高密度に形成することで、OPPフィルムにおける高透明・低フィッシュアイと平滑性、走行性を高次元でバランスさせることに成功した新タイプの“トレファン® ”を開発いたしました。

 新タイプ“トレファン®”は低フィッシュアイで高平滑なため、保護フィルム用では製品フィルムへの転写や打痕の抑制が期待できます。また、離型フィルムに用いた場合、離型性向上のためのシリコーンコートが不要のため、シリコーンフリーが求められる用途にも使用が可能です。
 本フィルムは走行性、加工適性、取り扱い性に優れ、薄膜・長尺でも良好な巻き姿のフィルムロールであることから、お客様の製造工程における生産性を改善することが出来ます。なお、フィルム厚みは12~25μmで、従来品対比で2割以上薄くなっております。

 更に東レは、この新タイプ“トレファン®”をベースに、糊残りしにくい高性能な粘着層を薄膜塗工した微粘着“トレファン®”MK01を開発しました。MK01は、フィッシュアイが少なく、高耐熱性と低アウトガス性を有し、薄膜にもかかわらず取扱い性に優れ、セパレーターフィルム(剥離紙)なしでロール化しているため、長尺化が可能でお客様の生産性の向上に寄与します。

 高速・大容量の情報通信が必要なIoT社会に向け、高度化する電子デバイスのニーズが高まる中、東レは、様々な製造工程で使用する工程フィルムの高機能化・高品位化を進め、お客様の製品品質と生産性の向上に寄与する開発を進めて参ります。
 今後とも「素材には社会を変える力がある」との考えの下、高機能・高性能な先端材料を生み出し続けることで、社会の発展や技術の革新に貢献していく所存です。

1. 語句の説明
フィッシュアイ・・・ 数十μm(50μm程度)以上の劣化ポリマー等による粗大突起。

以上