東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)はこのたび、3SBio Inc.(三生制葯、本社:中国遼寧省瀋陽市、董事長:婁競、以下「3SBio」)の100%子会社であるHongkong Sansheng Medical Limited(香港三生醫藥有限公司、本社:香港)との間で、東レが開発したそう痒症改善剤「TRK-820」(東レ開発番号、一般名:ナルフラフィン塩酸塩)口腔内崩壊錠(OD錠)に関する独占的ライセンス契約を締結しました。本契約に基づき、Hongkong Sansheng Medical Limitedは、中国(香港、マカオ、台湾を除く)において本製品を独占的に開発及び販売する権利を取得し、その対価として東レに対して契約一時金、及び開発の進捗に応じたマイルストンを支払います。
TRK-820は、「レミッチ®(※1)カプセル 2.5μg」(製造販売元:東レ、販売元:鳥居薬品株式会社、提携:日本たばこ産業株式会社)として、血液透析患者におけるそう痒症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を効能又は効果とし、日本において軟カプセル製剤の販売を2009年より開始しました。2017年5月には新たな剤形として、口腔内崩壊錠(OD錠)の「レミッチ®OD錠 2.5μg」が上市されました。OD錠は、水あり・水なし、どちらの服用も可能であることから、高齢者など嚥下機能が低下している患者さんや、水分摂取の制限が必要とされる患者さんの服薬コンプライアンス向上につながることが期待されます。
血液透析患者におけるそう痒症は、炎症などを伴わない全身性の強い痒みで、一般的な痒みの原因物質であるヒスタミンの関与が少ないため、抗ヒスタミン薬など従来の痒みに対する治療薬では十分な効果が得られない場合があることが知られています。血液透析患者に関する世界的な疫学調査であるDialysis Outcomes and Practice Patterns Study (“DOPPS”)の調査によると、世界の透析患者の約42%が中等度~重度のそう痒症に苦しんでいるというデータもあり、痒みによる生活の質(QOL=Quality of Life)の低下に留まらず、不安、うつ、睡眠障害に至る症例もみられています。
中国では、末期腎臓病の患者数が年率12%前後で増大していると言われており、血液透析医療に対するニーズが高いことが知られています。血液透析患者が訴える痒みに対してはこれまで有効な治療法がなく、東レと3SBioは、今回の提携を通じて中国における透析医療の発展に貢献できることを期待しています。