今回開発したBODYSHELL®EXは、光の透過を抑えるセラミックス粒子の含有率を紡糸可能な限界まで高めたポリマー設計技術と、そのポリマーを使用した複合紡糸技術、遮熱性と紫外線遮蔽性を最大限発揮するための最適な糸配置によるテキスタイル構造を実現する高次加工技術を駆使したものです。また、光の透過性を抑えることから透けを防止する効果もあります。
光の透過を抑えるテキスタイルには、セラミックス粒子を混練したポリマーからなる繊維を使用することが一般的です。セラミックス粒子を高濃度で混練したポリマーは、セラミックス粒子の硬さによって高次加工で使用する機器を損傷しやすいという課題がありました。そのため、これまではセラミックス粒子が紡糸やテキスタイルの生産性を阻害しないよう、ポリマーのセラミックス粒子含有量に限界がありました。
東レは今回、高濃度でセラミックス粒子を含有した原糸を、原糸の機能性を損なわないように厚みを最小限にしたPET系樹脂の鞘部で覆う芯鞘複合繊維とすることで、光の透過を抑えながら高次加工工程での加工性を付与させることに成功しました。加えて、独自のテキスタイル設計技術により、用途や使用される部位により、テキスタイルの密度や組み合わせる繊維を変えることで機能性を調整し、多様なニーズに対応する様々な商品を展開することが可能です。
近年の夏場の気温上昇により、ハードな屋外スポーツやアウトドアシーンだけでなく日常生活や日常的に楽しむライトなスポーツシーンで着用するウェアにおいても、遮熱性と紫外線遮蔽性といった高い機能性が求められています。さらに、スポーツを楽しむ高齢者が増えるなど、暑さや紫外線対策による快適性向上への要望は年々高まっています。今回のBODYSHELL®EXは、このようなニーズに対応するものです。
東レは、「素材には社会を根本的に変える力がある」との考えの下、長期的な視点に立った研究・技術開発を推進しています。今回の新素材は、長年にわたるポリマー設計と紡糸、高次加工までの一貫した技術の融合によって生まれたものです。また中国の東麗繊維研究所(中国)有限公司で素材コンセプトの立案から原糸開発までを行うなど、グルーバルなR&D連携により達成した成果の一つです。
東レは今後も、グローバルな研究・技術開発体制を生かし、快適な生活の実現に貢献する先端素材の創出に、グループ一丸となって取り組んでまいります。
BODYSHELL®EXの詳細は下記の通りです。