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第49回日化協技術賞総合賞受賞「高機能性逆浸透膜の開発」 -26年ぶり、5度目の「日化協技術賞」受賞-

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2017.06.29

東レ株式会社

 東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺 昭廣、以下「東レ」)は、5月25日(木)、『高機能性逆浸透膜の開発』について、一般社団法人日本化学工業協会(以下「日化協」)より「第49回(平成29年度)日化協技術賞総合賞」を受賞いたしました。

 この度の受賞は、東レのコア技術である高分子化学とナノテクノロジーを駆使し、逆浸透膜の透水性能(省エネルギー性)と除去性能(水質)および、耐汚れ性(運転安定性)を著しく向上した逆浸透膜の開発に成功したことが評価されたものです。

 東レの「日化協技術賞」受賞は、第24回(平成3年度)に続き今回で5度目となります。
 日化協は、化学工業の健全な発展を図り、もってわが国経済の繁栄と国民生活の向上に寄与することを目的とし、1948年(昭和23年)に設立され、優れた科学技術や製品の創出を表彰する「日化協 技術賞表彰事業」等を実施しています。今回、東レでは、独創性に富んだ優れた技術で、科学技術の進歩に寄与したもので、技術として確立しており産業上の価値が高いものを表彰する「日化協技術賞総合賞」を受賞いたしました。

 近年の水不足や水質悪化といった世界各地の水問題を解決するための水源開発として、海水やかん水の淡水化に加えて、下廃水再利用への需要が高まっています。本賞の受賞は、多様な水源に対応し、省エネルギーで高水質な水が得られるプロセスに必要な、高透水性と高除去性および、耐汚れ性に優れる高機能性逆浸透膜を開発し、産業の発展と世界の水不足解消に大いに貢献したことが高く評価されたものです。

なお、今回の受賞に関する主な技術特徴は下記の通りです。

(記)

1.受賞業績
「高機能性逆浸透膜の開発」
 
2.本技術の特徴
 逆浸透膜の表面には厚さ1億分の1メートル程度のひだ状のポリマーの分離機能層が形成され、分離機能層に存在する10億分の1メートル以下の細孔を利用して水と塩などの不純物の分離を行っています。微細なひだと細孔の構造を精密に制御することができれば、水だけを効率的に透過する、つまり透水・除去性能・耐汚れ性に優れた高性能RO膜を得ることができます。
 東レは、逆浸透膜の高機能化に向け、ポリアミドからなる分離機能層の微細構造に着目し、ナノオーダーレベルでの精密解析により、ひだ構造と細孔、水チャネル構造を世界で初めて定量的に明らかにしました。さらに、独自の精密界面重合と表面制御技術により、精密解析で明確化したひだ構造や細孔構造、さらには膜表面の吸着水層を制御することにより、高透水性、高除去性、耐汚れ性を兼ね備えた高機能性逆浸透膜の開発に成功しました。
 
3.実用状況と今後の展開
 開発された逆浸透膜によって年間に生産される水量は、3億7千万人分の生活用水に相当し、産業の発展と世界の水不足解消に大いに貢献しています。さらに、水処理分野のみならず、バイオマスからの有価物製造(バイオリファイナリー)などの新領域への展開も進んでいます。
 東レは、高分子化学とナノテクノロジーをベースに、世界中の水処理プラントで期待される、省エネルギーを実現する透水性能の向上、高品質のろ過水を得るための物質除去性能や原水の多様化に伴う耐汚れ性に優れる逆浸透膜の創出を続けてまいります。
 
<ご参考>
 
東レの「日化協技術賞」受賞履歴について
 
第24回(平成3年度) 
「航空機用炭素繊維強化複合材料"トレカ"プリプレグP2302の開発」(技術賞)
第22回(平成元年度) 
「ヒト線維芽細胞の大量培養による 天然型インターフェロンベータの生産技術の開発」(技術賞)
第20回(昭和62年度)
「スタティックキャスト重合法による連続装用可能なソフトコンタクトレンズの開発」(技術賞)
第1回(昭和43年度)
「光ニトロソ化(PNC法)によるε-カプロラクタムの製造」(技術賞)

以 上