がん治療薬「TRK-950」の臨床試験開始について

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2017.02.28

東レ株式会社

 東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺 昭廣、以下「東レ」)は、このたび、固形がんに対する治療薬として、東レが独自に開発を進めてきた「TRK-950」について、米国FDA1)から米国での第I相臨床試験2)開始の承認を取得致しました。
 「TRK-950」は、がん細胞に結合しこれを攻撃するモノクローナル抗体3)製剤です。これは、技術融合の重要性を社内外に示すために2003年に鎌倉に設立した先端融合研究所での成果であり、東レのコア技術(有機合成化学、高分子化学、バイオテクノロジー、ナノテクノロジー)の深化や融合により、東レでの新たな医薬事業領域を開拓する目的で取り組んで来た結果、創出されたものです。今後、欧米でのグローバルな臨床開発を展開し、First-in-class4)のがん治療薬として、早期承認取得を目指してまいります。

 東レは、長期経営ビジョン" AP-Growth TORAY 2020" において、医薬品・医療機器を中心とするライフサイエンス事業を「重点育成・拡大事業」と位置づけています。中でも医薬事業においては、「がん領域」を重点分野の一つに掲げ、世界にさきがけ、かつ、患者さまのために真に役立つ、特徴ある新薬の創製に取り組んできました。近年、社会の高齢化、QOL(Quality of Life)重視の流れに伴い、より長く、健康な人生を過ごすことへの関心がますます高まっています。東レは引き続き、革新的新薬の創出を通じて、健康社会の実現に貢献してまいります。

以上

(語句の説明)
1) FDA
U.S. Food and Drug Administration(米国食品医薬品局)
2) 臨床試験
新薬候補物質を開発する際にヒトを対象として、その安全性および有効性を評価するための試験です。第I相試験において、ヒトにおける新薬候補物質の安全性、薬物動態を確認し、次いで、第II相試験および第III相試験において、新薬候補物質の安全性、用量反応性、および対照薬(プラセボを含む)との安全性ならびに有効性の比較検討を行います。がん治療薬の臨床開発では第I相試験からがん患者を対象としてこれらの検討が行われます。
3) モノクローナル抗体
ヒト体内に侵入したウイルスやがん細胞などの異物に対して、免疫細胞の一種であるB細胞はこれを攻撃して排除するためにこれらに結合する抗体を生産します。モノクローナル抗体とは、これら異物の特定部位に結合する均一な性質をもった抗体のことであり、1種類のB細胞が生産する抗体のコピー(クローン)です。多くの抗体医薬製剤でこのモノクローナル抗体が用いられています。
4) First-in-class
画期的医薬品