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2016.10.03
東レ株式会社
東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)は、履くだけで腰部を適切にサポートし、介護福祉施設や工場など、中腰作業や重量物の取り扱いの多い現場における腰部負担を軽減することを目的とした、機能性ズボンを開発しました。 今後、工場や介護福祉施設などでのモニター試験を拡大し、2017年内の上市を目指して参ります。 今回の開発品は、東レナイロンとポリウレタン弾性繊維“ライクラ®ファイバー”からなる腰部保護ベルトを用い、作業用ズボンの腰背部に同じく東レナイロンと“ライクラ®ファイバー”による同ベルトのホールド部を設け、履くだけで正しい位置に保護ベルトがフィットし、ずり上がりにくく、不要なときには簡単に緩めることができるなど締め付け調整が容易な構造にしています。 2015年3~6月には、東レグループの繊維製造現場において、滋賀医科大学の垰田和史准教授の学術指導の下、腰部負担軽減の検証試験を行い、腰部表面筋電位(注1)解析と着用アンケートで総合評価を行いました。その結果、開発品着用あり/なしでの勤務時間全体での比較では、被験者(男性12名)の6割に腰部負担の軽減が認められ、製品積み下ろし作業での比較では40~80%腰部表面筋電位が低下した被験者も見られました。 この結果を受け、2015年11月からは同じく東レグループの繊維製造現場にて長期着用試験を開始し、さらなる機能改善を進めています。 今後は介護福祉施設で働く人向けのズボンに機能を付加し、浴室介助時など腰痛が頻発しやすい使用シーンにも対応できるよう製品開発を進めていく考えです。 日本では、負傷に起因する業務上疾病(約5,400件)のうち腰痛の割合は8割(約4,600件)を占め(注2)、腰痛予防は職場の労働安全衛生管理の重要な課題になっています。働く人の高齢化が進むにつれ、筋肉・骨の衰えや姿勢・日常に繰り返す動作の影響による職業性腰痛発生のリスクも高まるといわれています。国民の老後を支える社会福祉施設の災害性腰痛はこの10年で2.7倍に増加しており、職場の安全と人材の安定的な確保のためにも、実効性のある腰痛予防策が喫緊の課題となっています。 腰痛の発生要因としては、不良動作や姿勢、重量物の取り扱いによる身体への負担、寒冷刺激や運転などに伴う全身振動、疲労の蓄積等が指摘されています。こうした腰痛の予防には、作業方法や作業環境の改善、人の意識付けや腰痛予防体操の実施、モノ(保護具の使用)が重要だといわれていますが、作業方法や作業環境の改善を全ての介護現場で実施できたとしても腰部の負担をゼロにはできないため、適切な保護具を正しく使用することも必要となります。しかし、これまでの腰部保護ベルトは正しい装着位置に着用するのがむずかしい、着用中にずり上がる、ずっと着けているときつくて使用を敬遠してしまいがち、という課題がありました。 東レは、医療の質向上、医療現場の負担軽減、健康・長寿に貢献する事業の拡大を目指す「ライフイノベーション事業拡大(LI)プロジェクト」の一環として、年齢を重ねても美しく健康的でありたいという人々の普遍的な思いに寄り添い、日常の作業や動作を繊維素材で補助する「機能サポートウェア企画」を新たに立ち上げました。今回の機能性ズボンの開発は、その企画の第一弾となる位置づけです。 東レは、このような機能サポート製品の開発に今後とも注力し、社会に支えられる側と社会を支える側、両方の人々の日々の健康に寄与する製品を今後も提供していく所存です。 なお、本製品をはじめとする東レグループの機能サポート製品については、来る10月6日(木)~8日(土)の3日間、東京国際フォーラムにて開催する、先端材料展において参考出品します。 今回開発した機能性ズボンの概要は以下の通りです。