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人工腎臓装置の新製品(多人数用透析液供給装置 TC-R)の本格販売について

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2016.06.09

東レ・メディカル株式会社
透析事業本部

 東レ・メディカル株式会社(本社:東京都中央区 社長:大志万俊夫 東レ100%出資)は、この度、静岡事業場(静岡県沼津市)にて新たに開発し、2015年11月16日に厚生労働省から製造販売承認を取得した「多人数用透析液供給装置TC-R」(以下、TC-R)を2016年6月から本格発売します。

 TC-Rは、『安全性・信頼性、操作性・作業性、高機能化、透析液清浄化』を高いレベルで具現化することで安全・安心で快適な透析環境を実現します。当社が展開する従来製品(多人数用供給装置 TC-HI(以下、TC-HI))からデザインを一新し、透析液調製・供給能力の向上、ETRFによる透析液清浄度の強化など市場ニーズに応えた特長を有しています。

【多人数用透析液供給装置】
 市販の透析液原液(A原液、B原液)と透析用水(RO水)を所定比率で正確に混合して多量の透析液を調製する装置です。調整後の透析液は多数台の透析用監視装置に供給され、透析治療に使用されます。このような方式は日本独自でセントラルシステムと呼ばれ、国内の主流(約8~9割)となっています。
【TC-Rの主な特長】
バックアップ機能
透析用水の流量計およびA、B原液注入ポンプの二系統化により、一系統が故障した場合(単一故障状態)でも透析治療を安全に継続することができます。
装置のスリム化(装置幅は国内最小)
TC-HIに比べ装置幅および設置面積を10%縮小し、設置・メンテナンス環境が向上しています。
透析液の調製・供給能力の向上(供給能力は国内最大)
TC-HIに比べ、透析液調製・供給能力が1.4倍に向上し、透析用監視装置を最大70台(TC-HI:50台)まで連動運転することができます。
濃度フィードバック機能
透析液原液の濃度が一時的に変動しても、原液注入量を自動調整することで安定した透析液を継続的に供給することができます。
原液ラインETRFユニット
A,B原液ラインに、透析用水由来の細菌やエンドトキシンに対する高い除去性能および耐久性を有したエンドトキシン捕捉フィルタ"TORAY ETRF TE-12R"を取付けることで、より高い清浄度の透析液が調製できます。
 弊社は世界で唯一、透析用RO装置から透析装置および透析管理システムに至るまでの統合的な透析システムを自社で一貫製造している透析装置メーカで、海外展開も積極的に行っています。
 日本国内における透析患者数は約32万人で、年間約6,000人増加し、今後もしばらく増加することが予想されています。弊社は、市場ニーズに対応した透析装置システムと高性能で生体適合性に優れた透析器(ダイアライザの"フィルトライザー®""トレライト®"、ヘモダイアフィルタの"トレスルホン®")等を軸に更に透析事業の拡大を図り、安心、安全で効果的な透析医療の実現に向け、高品質な透析関連製品を提供すると共に、透析患者さんのQOL(クオリティ オブ ライフ)向上、医療従事者の利便性改善等のお役に立ちたいと考えております。
以 上
- 補足資料 -
1.東レ・メディカル株式会社の概要
 1980年、東レ(株)が製造する人工腎臓(透析器)"フィルトライザー"などの医療機器製品の販売会社として設立しました。現在は透析装置メーカとしての役割も担っており、その事業構成は血液透析を中心とした透析器や透析装置、救急・集中治療の血液浄化システム、カテーテルなどの医療用具、医薬品の天然型インターフェロン製剤販売などからなり、2015年度の売上高は約400億円です。
2.TC-Rの詳細
安全性、信頼性
 流量計および原液ポンプの二系統化により、単一故障状態でも運転を継続することができるバックアップ機能を有しています。また、長年培った当社独自の連続ミキシング方式を継承し、信頼性の高い透析液調製を実現します。
操作性・作業性
 装置のスリム化を実現し、装置幅および設置面積を10%縮小しました。装置左右のスペース確保が容易となり、設置・メンテナンス環境が向上します。また、大型LCD(12.1インチ)の搭載により、視認性および操作性をさらに向上しました。
高機能化
 透析液調製・供給能力を向上し、最大70床まで対応(透析装置の透析液流量が500mL/minの場合)が可能です。さらに、透析液濃度のフィードバック制御により、透析液原液の濃度が一時的に変動しても安定した透析液を継続的に供給することができます。
透析液清浄化(クリーン化)
 A,B原液ラインに高い除去性能および耐久性を有した"TORAY ETRF TE-12R"(フラッシング機能付)の搭載により高い清浄度の原液を供給します。また、2段階薬液消毒機能は高濃度薬液による消毒後、低濃度薬液を装置内および末端のコンソールに供給・封入し、装置停止時の生菌増殖を抑制します。
(補足) 透析液(透析原液)を調製するための透析用水は滅菌処理されなく、透析用水から調製される透析液には微量の細菌およびエンドトキシンが含まれています。透析液を"TORAY ETRF TE-12R"によって濾過すること透析液を無菌水準にすることができます。
3.用語説明
1)透析(血液透析、人工透析)
慢性腎不全に陥った患者の生命維持に必要な治療方法のひとつで、通常1週間に2~3回(1回あたり:約4時間)維持透析として施行されます。原理は、拡散と限外濾過で、ダイアライザ(半透膜)を介して血液と透析液を接触させることにより、尿毒素および余分な水分の除去、電解質バランスの調節等を行います。
2)透析用監視装置
多人数透析液供給装置(セントラル)から透析液の供給を受け、透析患者さんのベッドサイドで透析治療に用いられる装置です。国内の透析装置の8~9割を占め、個人用透析装置との大きな違いは透析液調製機能を有していないことです。
3)TORAY ETRF TE-12R(東レ株式会社製)ETRF:エンドトキシン捕捉フィルタの略
析液中の細菌、エンドトキシンを補足・除去するフィルタです。

以 上