東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)と東レ・モノフィラメント株式会社(本社:愛知県岡崎市、社長:桑原政人、以下「東レ・モノフィラメント」)は、この度、モノフィラメントの製造技術の極限追求により、これまで実現困難であった断面形状を可能とする、世界初の「革新モノフィラメント製造技術」の創出に成功しました。本技術は、紡糸機の口金部分を高度化することで複数のポリマーを1/1000mmレベルで緻密に配置し、複雑な断面形状を得るというものです。例えば、テトラポット型のシャープなエッジを有する形状や、4層以上の多重同心円形状のモノフィラメントを製造することができます。理論的には繊維断面にポリマーを自由に配置、設計することができ、先に挙げた以外の形状やポリマー配置を作り出すことも可能となります。
用途としては、例えばテトラポット型タイプをブラシに適用することで、エッジで汚れを掻き取り、糸同士の空隙部分で汚れ物質を捕捉するなど清掃機能の向上が期待できます。また、多重同心円タイプは、糸の先端を細くする加工(テーパー加工)を施すことで、ストライプ柄を呈して意匠性を高めたり、ブラシの交換周期を目視できるインジケーター機能を持たせるといったことが期待されます。今後、東レおよび東レ・モノフィラメントは、この「革新モノフィラメント製造技術」を応用した製品・用途開発を進め、早期の実用化を図り、今後2年間を目処に事業化を目指します。
東レでは今日に至るまで繊維製造技術の進化に日々取り組んでおり、その研究・技術開発の成果を、東レ・モノフィラメントの製造技術と融合させることで今回の新技術創出に至りました。東レ・モノフィラメントは1993年に高機能歯ブラシ用モノフィラメント「ACRAS®」(読み:アクラス)を上市していますが、本技術により、美容・ヘルスケアなどの生活用資材や工業用資材など幅広い分野において、製品のさらなる高度化に貢献することが期待されます。
東レグループは、創業以来の企業理念として「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」を掲げており、基礎素材メーカーとして常に革新的な材料を開発し、社会に提供していくことで自らも持続的に成長することを目指しています。
東レと東レ・モノフィラメントは、東レグループのコーポレートスローガンである"Innovation by Chemistry"のもと、先端材料で引き続き技術革新を追求し、社会を変える力のある新製品の開発・製品化を推進してまいります。
「革新複合モノフィラメント製造技術」の詳細は下記の通りです。