東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)と東レフィルム加工株式会社(本社:東京都中央区、社長:前田宏治郞、以下「TAF」)は、この度、日常的な使用で表面につく、細かな擦り傷が瞬時に修復する自己修復性に加えて、偶発的な強い力による深い傷も修復できる、新しい自己修復コートフィルムを開発しました。本開発品は鉛筆硬度試験 1)でも「2H」を達成しており、ハードコートに匹敵する硬さと言えます。
今回の開発品を、「タフトップ®自己修復コートフィルム」の「高硬度タイプ」としてラインナップに加え、電子機器外装、家電製品をはじめ、フレキシブルディスプレイの表面材料や自動車内装部材など、耐傷性が求められる幅広い用途に向け、2016年2月よりサンプルワークを本格的に開始します。
今回開発した「タフトップ®自己修復コートフィルム・高硬度タイプ」の販売目標は、初年度となる2016年度が2億円、その3年後には10億円を目指します。
「タフトップ®自己修復コートフィルム」は、日常的な擦り傷が瞬時に修復される高機能フィルムの一つで、生活環境における擦り傷に強く、光沢感が持続する特徴を活かし、ノートパソコン、スマートフォンなどの電子機器外装や、ディスプレイ表面の保護材料に利用されています。
擦り傷が元通りに修復されるという特徴は、上市以来多くの注目を集めてきましたが、強い力で偶発的につく深い傷への耐性が求められる用途では、コート層の"硬さ"が必要になり、使いづらい場合もありました。
元来、自己修復性は、弾力のある材料が凹んでも元通りに回復する機能を用いているため、"自己修復性"と"硬さ"は相反する特性です。今回、東レとTAFは、日常的な使用による擦り傷と、偶発的につく深い傷の形成機構が異なることを見いだし、この解決策として厚み方向に機能分離したコート層設計を考案しました。
具体的には、「表面側は柔軟/内部側は強固」にするコンセプトにより、表面は"自己修復性"を持ちながらも内部までは傷が達しにくくなり、コート層全体として"硬さ"を実現するというものです。
この実現には、独自のコーティング技術を深化させた「界面制御技術」を用い、表面から内部側に向けてポリマーの組成を変え、弾性率を数百倍"連続的"に変化させたコート層にしました。これにより、自己修復性を維持しつつ、コート層全体でハードコートに匹敵する硬さを得ることに成功しました。
TAFでは「タフトップ®自己修復コートフィルム」を上市以来、お客様のニーズに応えてラインナップを揃えてきました。これまで上市してきた、指紋汚れが目立たない「耐指紋タイプ」、深絞り成型にも対応できる「高伸度タイプ」などのラインナップに、今回、「高硬度タイプ」を加えることで、本製品群を幅広い用途に向け展開してまいります。
東レグループは、創業以来の企業理念として「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」を掲げており、基礎素材メーカーとして常に革新的な材料を開発し、社会に提供していくことで自らも持続的に成長することを目指しています。
東レとTAFは、今後も、革新的なフィルムの研究・技術開発に取り組み、さまざまな分野にソリューションを提供することで社会に貢献していく所存です。
「タフトップ®自己修復コートフィルム・高硬度タイプ」の詳細は下記の通りです。