東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)と株式会社ボナック(本社:福岡県久留米市、社長:林 宏剛、以下「ボナック」)は、特発性肺線維症(*1)を対象としてボナックが創製した核酸医薬品「BNC-1021(ボナック開発コード)/TRK-250(東レ開発コード)」(以下、本剤)について、2015年12月25日に、日本をテリトリーとしたライセンス契約(以下、本契約)を締結しました。また、契約締結を機に、東レは2015年12月29日付けでボナックの第三者割当増資を引き受けました。本提携を通じて、東レとボナックは日本における本剤の開発および実用化を推進し、医療産業に貢献することを目指します。
核酸医薬品はDNA(デオキシリボ核酸)やRNA(リボ核酸)の働きを利用して、病気を引き起こす遺伝子やタンパク質に作用するタイプの医薬品です。副作用を低減した新たな治療薬となる可能性があることから、低分子医薬品(*2)、抗体医薬品(*3)に続く、次世代の医薬品として近年注目されています。
本剤は、肺の線維化に関与する主要な増殖因子であるTGF-β1タンパク質の発現を遺伝子レベルで選択的に阻害することにより、線維化の進行を阻止することを狙いとしています。また本剤は、ボナック独自の核酸医薬プラットフォームを採用した、ユニークな分子内構造を有する一本鎖長鎖核酸という点が特徴であり、核酸医薬が抱える安定性の課題を克服した新しい核酸医薬品となることが期待されます。また、吸入剤として肺に直接投与することにより、効率的に標的組織へ到達することも期待されます。
本契約により、東レ及びボナックは本剤の開発を実施し、東レはボナックより本剤の日本における独占的開発権、販売権、製造権(原薬を除く)を取得します。これに伴い、東レはボナックに、契約締結に伴う一時金、開発の進捗に応じたマイルストン及び上市後の製品売上に応じたランニングロイヤルティを支払います。
東レはライフイノベーション分野での事業拡大を意識した研究・技術開発力を強化する中、合成医薬と生物医薬の両面から創薬研究を行っています。今回のBNC-1021の導入をきっかけとして核酸医薬への取り組みを拡大し、さらなる事業拡大につなげる所存です。
またボナックは、核酸化学技術を基盤とした独自の核酸医薬プラットフォームを案出し、事業を展開しています。今後も核酸医薬の発展に貢献できるよう、研究開発に取り組んでまいります。