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ナノテク深化でPICASUS®新シリーズを拡充 近赤外透過、ダイクロイック調、ブルーライトカット -ナノ積層技術の深化により、可視光線~近赤外光線までの波長選択性を実現-

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2015.10.23

東レ株式会社

 東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)は、この度、近赤外光透過金属光沢調、ダイクロイック調、ブルーライトカットの3種類のナノ積層フィルムをPICASUS®シリーズに加え、本格展開を開始しました。当社のナノ積層技術の深化により、可視光線から近赤外光線まで光の透過と反射を波長ごとに自由に制御できる「波長選択性」を実現したことでこれらの開発に成功しました。

 昨今の情報化社会、環境配慮型社会における、太陽光および人工光を波長選択的に透過・反射させる光学制御フィルムのニーズの高まりを受けて、当社は2008年に上市したナノ積層フィルムPICASUS®(読み:ピカサス)で培った技術の極限追求をして参りました。その結果、すべてのナノ積層の厚みをより高精度に制御できるようになり、光干渉反射現象による反射・透過の波長帯域を自由に制御できる「波長選択性」を実現しました。

 今回開発した新しいナノ積層フィルムは、異なるポリマーを数百層から数千層、ナノメートルオーダーの薄さで多層積層したポリエステルフィルムです。独自のポリマー・フィルム設計と高精度ナノ積層により、反射波長端部の光の反射率の変化を従来の10倍以上の急峻さとした「シャープカット性」を実現し、さらにフィルム面内での色調変化を1/2に抑える面内均一性を達成しました。

 この技術により、情報家電の近赤外センサーに適用可能な、メッキ塗装なしで金属光沢調を有する近赤外透過フィルム(コールドミラー)、包装・カード・ラベルの偽造防止・装飾に用いられる、特定の波長を反射することで特殊な色合いを示すダイクロイック(単色)調フィルム、移動体端末やパソコンのモニターの液晶ディスプレイに含まれ、眼精疲労・睡眠障害原因として近年注目されるブルーライトをカットするフィルムなど、用途に応じて必要な特性を付与したフィルムの展開が期待できます。

 東レは今後も、「高分子化学」、「有機合成化学」、「バイオテクノロジー」そして「ナノテクノロジー」といった、自社の保有するコア技術を駆使して、社会を本質的に変える力のある革新的な素材の研究・開発を推進することで、創業以来の東レグループ企業理念である「私たちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」の具現化に取り組んでいく所存です。

 PICASUS®新シリーズの技術ポイントは下記の通りです。



1.独自のポリマー・フィルム設計
 ナノ積層フィルムの積層精度を支配する重要因子の一つがポリマーのレオロジーとフィルムの層厚み設計です。本技術は、ポリマーの光学及びレオロジー特性の観点からフィルム設計し、従来PICASUS®のナノ積層技術を深化させたことにより、数百層~数千層の光学波長レベルの層厚みを高い積層精度で制御することを可能にしました。
 これにより、光の反射帯域の波長端部は、従来比10倍以上優れた「シャープカット性」を示す「波長選択性」が実現しました。

2.フィルムの均一性向上技術
 従来のPICASUS®に比べて、数メートルサイズに及ぶ大面積でフィルムの層厚みを高い積層精度で制御し、色調の変化を従来対比1/2まで抑えることに成功しました。本技術は上記のポリマー・フィルム設計に加え、より高精度にフィルム物性を均一化できる独自の製膜プロセスを開発したことで実現しました。

フィルムの均一性向上技術

<語句の説明>

1)ナノメートル(nm)
10-9m(髪の毛の直径が10~100μmとすると、その1万~10万分の1)
2)積層精度
設計値の層厚みと、実測した層厚みとの差の範囲(積層誤差の範囲)。
3)シャープカット性
ナノ積層による干渉反射を示さない波長から設計した反射率となる波長までの波長帯域の幅。これが狭いほどシャープカット性に優れ、より多様な製品設計が可能となります。
4)PICASUS®
東レ独自のナノ積層技術を駆使したポリエステルフィルム。従来PICASUS®は、成形後も金属光沢調を維持するために可視~近赤外線までの光を一様に干渉反射させたもの。

PICASUS®

以 上