東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)は、三菱重工業株式会社(本社:東京都港区、社長:宮永俊一、以下「三菱重工業」)が製造する「Mitsubishi Regional Jet」(以下「MRJ」)向けに、炭素繊維複合材料(CFRP)を適用した尾翼部品(スパー、スキン・ストリンガーパネル、リブ)を開発・製作し、このたびMRJ量産機用部品を名古屋事業場から初出荷しました。
東レはこれまで航空機向けに炭素繊維やプリプレグなどの中間基材を供給してまいりましたが、一次構造材部品の生産まで手掛けるのは、今回のMRJ向けが初めてとなります。
東レは、2001年から三菱重工業と共同で、航空機部材向けの新規CFRP成形技術「A-VaRTM」(Advanced-Vacuum assisted Resin Transfer Molding)の開発に取り組んできました。「A-VaRTM」は、炭素繊維織物基材を積層し、真空圧で樹脂を注入・含浸後にオーブンで加熱・硬化することで効率的に成形品を得ることができる、革新的なCFRP成形技術です。本技術では、ナノ技術を適用した樹脂と、高強度の炭素繊維基材を適用することにより、航空機一次構造材に適用可能な、プリプレグ成形法※1に匹敵する高い性能(特に耐衝撃性)と優れた品質安定性を実現しました。
東レと三菱重工業は、2008年から本格的に「A-VaRTM」によるMRJ尾翼構造へのCFRP部品適用の検討を進め、2013年からはMRJ飛行試験機に向けたCFRP尾翼部品を供給してきました。
MRJの量産開始に向けて、東レはこのたび名古屋事業場に生産体制を整え、高品質なCFRP尾翼部品を安定的に供給してまいります。
東レは、中期経営課題“プロジェクト AP-G 2016”において、炭素繊維複合材料事業を中長期に亘って収益拡大を牽引する「戦略的拡大事業」と位置付けています。今後も革新的なCFRP成形技術に積極的に取り組み、航空機をはじめ産業用途やスポーツ用途など幅広い分野においてCFRPの適用を進めることで、炭素繊維のリーディングカンパニーとしてさらなる事業拡大を目指します。
※1 プリプレグ成形法:
中間基材であるプリプレグ(炭素繊維に樹脂を含浸させたシート状の材料)を、オートクレーブを用いて高温・高圧下で成形する成形方法。
(出荷式の様子)