公益財団法人 東レ科学振興会(会長 榊原定征)は、第55回東レ科学技術賞、東レ科学技術研究
助成および第46回東レ理科教育賞を次のとおり決定しました。
○東レ科学技術賞
大阪大学大学院生命機能研究科教授
東京大学大学院工学系研究科教授 月田 早智子 氏
古澤 明 氏
○東レ科学技術研究助成
東京工業大学大学院理工学研究科准教授 PHAM NAM HAI 氏 ほか10名
○東レ理科教育賞文部科学大臣賞
開智学園 開智中学・高等学校教諭 今和泉 卓也 氏
ほか理科教育賞2名、佳作2名、奨励作3名
贈呈式は3月16日、東京・丸の内の日本工業倶楽部で行います。
東レ科学技術賞は科学技術で優れた業績をあげた方の表彰、東レ科学技術研究助成は科学技術の基礎的、萌芽的研究を行っている若手研究者への資金援助で、募集は77学協会および当会の推薦委員の推薦により行っています。東レ理科教育賞は公募で、創意と工夫によって著しい教育効果をあげた中学校・高等学校等の理科の先生を表彰しています。
東レ科学技術賞2名の業績と東レ理科教育賞文部科学大臣賞の受賞内容は次のとおりです。
1. 東レ科学技術賞
月田 早智子 氏 上皮細胞間接着と細胞間バリア構築の分子機構
氏は、上皮細胞が互いに強固に結合し、細胞間を様々な分子が通過するのを防ぐバリアを構築する機構の解析を進め、バリア機能を担う構造「密着結合」を担う主要タンパク質であるクローディンの分子構造と役割を解明し、密着結合を起点とする微小管格子構造を発見するなど、卓越した成果を得た。
古澤 明 氏 決定論的量子テレポーテーションの実現と超大規模量子もつれ生成法の開拓
氏は、量子コンピュータ実現への重要な要素技術である量子テレポーテーションを確実かつ高効率で行う手法を開発するとともに、巨視的状態の重ね合わせ状態のテレポーテーションや一万個以上の波束間の大規模量子もつれを実現するなど、量子情報処理の高度化に重要な成果を挙げた。
2. 東レ理科教育賞文部科学大臣賞
今和泉 卓也 氏 違和感を入れた実験映像教材の作成
映像教材は諸般の都合で実験できない場合の代替物であった。しかし本考案は、逆再生などの技術を駆使して映像に違和感を入れ、生徒自らが発見的に物理法則の普遍性を理解できるよう工夫されている。映像教材の新たな可能性を提案、実践したものである。