東レ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:日覺昭廣、以下「東レ」)は、2014年2月に買収が完了したToray Chemical Korea Inc.(本社:大韓民国ソウル特別市、会長:李泳官、以下「TCK」)において、当社グループの相乗効果を追求した同社のポリエステル短繊維事業の拡大計画を策定いたしました。
計画では、TCKの慶尚北道 亀尾(くみ)市所在の同社亀尾第一工場において、ポリエステル低融点原綿(以下、「LM原綿」)の生産能力を約1.7倍の年産170千トンに引き上げます。LM原綿の増設設備は2016年7月の生産開始を計画しています。
また、需要が急拡大している衛生材料用不織布向けにポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエステル/ポリエチレン複合原綿(以下、「複合原綿」)の生産能力も増強いたします。
LM原綿は、不織布を製造する工程において、原綿同士を熱により接着させるためのバインダー(接着剤)として使用される原綿で、主に自動車用吸音材や、寝具・家具用のクッション材として用いられる不織布に使用されます。不織布製造においては、環境配慮の意識の高まりを受け、従来の化学薬品を用いる化学接着方式から熱接着方式への転換が進んでおり、LM原綿は環境配慮型の素材として、その世界市場は年率8%で拡大しています。そのため、LM原綿のシェア上位の企業による設備投資に加え、新規参入も見込まれ競争が激化しています。
TCKは当社が買収する以前の2004年7月からLM原綿の製造を開始し、現在、世界シェアの第3位を占めています。東レグループは今回の設備増強により、成長分野であるLM原綿の市場での地位を確立し、不織布用原綿の販売拡大及び収益の拡大を目指します。
また、複合原綿が用いられる衛生材料向け不織布は、アジアを中心とした新興国の生活水準の高度化による需要増と、先進国における高齢化社会の到来による需要増により、年率6%の市場拡大が予測されています。
当社グループは、ポリプロピレン長繊維不織布の市場の拡大に備え、アジアの主要国での生産能力の増強を行っています。今回のTCKにおける複合原綿の生産能力増強により、衛生材料向け不織布用素材について長繊維から短繊維までのラインナップを増やし、グローバルに事業を展開する大手衛生材料メーカーとの取り組みを強化し事業拡大を図ります。
東レは2014年4月からスタートした新中期経営課題“プロジェクトAP-G2016”において、成長国・地域での事業拡大として「アジア・アメリカ・新興国事業拡大(AE-Ⅱ)プロジェクト」に取り組んでいます。
今回の決定は、大きな需要拡大が見込まれる産業資材分野において、アジアやその他地域の新興国の経済成長を取り込む基本戦略の一つとして推進するものです。東レは今後とも、素材の力で社会に貢献するべく、積極的に事業拡大を推進して参ります。