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高感度タンパク質検出システム「RAY-FAST®(レイファースト)」(研究用) の販売開始について

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2014.09.30

東レ株式会社
東レ・メディカル株式会社

東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)は、このたび、血液に含まれる微量のタンパク質を高感度で短時間に検出できるタンパク質検出システム※1として「RAY-FAST®(レイファースト)」測定装置(研究用)および、血中に存在し免疫機構に深く関わるタンパク質であるサイトカイン※2IL-6(インターロイキン6)を検出する「RAY-FAST®(レイファースト)」専用チップ「RAY-FAST® IL-6」(研究用試薬)の販売を開始しました。同システムはIL-6の検出に必要な血液の前処理、分離、検出反応など全ての操作を行えるおよそ名刺半分大(縦4cm×横7cm×厚さ1.2cm)のコンパクトな樹脂製専用チップと測定装置で構成されており、これまで数時間以上を要していた微量タンパク質の検出作業を20分以内に行うことが可能です。本製品の販売は東レ・メディカル株式会社(本社:東京都中央区、社長:大志万俊夫、東レ100%出資)が行います。東レは今回のIL-6を皮切りに、同システム専用の疾患関連マーカータンパク質検出チップを順次上市する予定です。

 従来、血液中に存在する疾患と密接な関係にある微量タンパク質は、専門家が煩雑な作業を繰り返すか、あるいは前処理をした上で、大型もしくは専用の装置でしか検出できませんでした。東レは先端融合研究所(神奈川県鎌倉市)にて微量の検体で簡便、迅速に微量タンパク質を検出できる高感度タンパク質検出システムの開発を行ってきました。

 東レはこれまで培ってきた東レ独自のナノテクノロジーとバイオテクノロジーを融合し、バイオツール開発のノウハウを総合的に駆使することにより革新的な高感度タンパク質検出システム「RAY-FAST®」および「RAY-FAST® IL-6」を完成しました。本製品は、全自動で血液から血漿を分離し、自動的に定量する機能を備えています。また全試薬をチップに内包し、廃液の封じ込めによるバイオハザード対策にも対応しており、マイクロビーズを用いることで高感度の測定を可能にします。

 東レはコーポレート・スローガン“Innovation by Chemistry”のもと、Chemistry(化学)を核にInnovation(革新と創造)に挑戦し、「先端材料で世界のトップ企業」を目指し、有機合成化学、高分子化学、バイオテクノロジー、およびナノテクノロジーをコア技術として新製品・新技術の創出を進めてまいります。また、東レグループは現在推進中の中期経営課題“プロジェクト AP-G 2016”における次代の成長エンジンとして「重点育成・拡大事業」と位置づける、ライフサイエンス領域での事業の拡大を目指します。

なお、本製品の特長は以下の通りです。

1.一枚のチップ上に複数の機能を集積(微量タンパク質検出の全自動化)
(1)血液からの血漿分離、定量機能搭載
血液から血漿を分離する機能をチップ内に搭載し、全血を検体として検査できます。また、検体をチップ内で自動的に定量する機構も備えており、適当量の検体をチップに注入するだけで正確な測定結果を得ることができます。
(2)試薬の自動送液機能
高精度な送液ポンプ等を一切用いない簡単な機構で、遠心力と重力を利用した試薬の自動・順次送液機構を搭載し、再現性と迅速性を有しています。同時に装置の小型化も達成しています。
(3)廃液処理機構
測定に使われた血液や試薬が全てチップ内に収まる設計とすることで、使用後のチプをそのまま医療廃棄物として廃棄できます。感染防止等の安全面を配慮しています。

2.高感度、再現性に優れた性能を実現
ナノサイズレベルの表面修飾技術を活用し、マイクロサイズのビーズ表面に測定に必要なタンパク質を高密度に固定すると同時に、測定の妨害となる非特異的吸着を抑制する技術を開発しました。これにより、高感度で再現性に優れた測定が可能になりました。

【語句の説明】
※1タンパク質検出システム
血液などに微量存在するタンパク質を簡便、迅速に検出するチップと測定装置からなるシステム。微細加工技術などを駆使して数十~数百マイクロメートルの断面を持つマイクロ流路や反応室を一つの基板上に形成し、微量タンパク質の検出に必要な種々の操作機構を微細空間内に集積させることで、①化学反応や抽出の効率が高い(迅速)、②煩雑な操作が省ける(簡便)、③少量の試薬で測定できるなどの特徴を持つ。
※2サイトカイン
細胞から放出され、細胞間での情報伝達に関わるタンパク質。 体内で免疫や炎症に深く関わり、非常に低濃度(pg/mLオーダー)で生理活性をもつ。過剰に生産されるとサイトカイン・ストームと呼ばれる状態となり、炎症が全身に波及し死に至ることもある。

【補足説明:高感度タンパク質検出専用チップについて】

<材質>
アクリル樹脂/ポリプロピレン製
<測定方法>
蛍光酵素免疫測定法( FEIA ; fluorescence enzyme immunoassay)

以 上