東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)は、この度、PPS(ポリフェニレンサルファイド)の長期耐熱性や耐加水分解性、耐薬品性、難燃性などの優れた素材特性を維持しながら、PPSフィルム同士や樹脂成形体とだけでなく、金属や繊維シートなどの異素材とも強固に熱接着ができる高機能PPSフィルムを開発しました。本開発フィルムは、主に異素材との熱ラミネートによる複合材として、ハイブリッド自動車や電気自動車のモーター絶縁材料、リチウムイオン電池材料、燃料電池材料など幅広い用途への適用が期待されます。
東レのPPSフィルム トレリナ®の新タイプとして、2015年からの試験販売に向けて、早期に量産技術の確立を目指してまいります。
東レのPPSフィルム トレリナ®は、長期耐熱性や耐加水分解性などの長期使用にわたる劣化抑制、耐薬品性、難燃性などの優れた特性を持ち、耐熱電気絶縁材料や耐熱テープ、耐熱工程離型フィルムなどに広く採用されています。
一方で、PPSフィルムは融点が高いことから、金属や繊維シートなどの異素材との熱による接着性が不十分な場合があり、異素材との接着には一般的に樹脂接着剤が用いられています。しかし、接着剤を用いる場合、未反応物の残存や耐熱性・耐久性が不足するといった課題がありました。このため、本来PPSフィルムが強みとする耐熱性や耐薬品性が要求される用途への適用が制約されることがありました。
これに対して東レは、独自のポリマー設計技術と高精度延伸によるフィルム構造制御技術の融合により、上記課題を解決し、PPSの優れた素材特性を維持しながら、異素材との高い熱接着性を実現する高機能PPSフィルムの開発に成功しました。
本開発フィルムの技術ポイントは下記の通りです。