東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)はこのたび、落ち着いたマットな表情と、サラサラとした爽やかな肌触りを持つナイロン長繊維テキスタイル“サラコナ™”を開発しました。今回の新素材は、ファッション衣料に求められる上質な素材感とともに、汗をすばやく吸収して乾かす吸汗速乾性とムレ感を抑える吸放湿性を併せ持っています。パンツ用のストレッチ織編物を中心に、ジャケット、ドレス、トップス向けのバリエーションも取り揃え、2015年春夏シーズン向けから販売を開始します。販売価格は1,200円/m~1,800円/m(130cm~160cm幅、アパレル入り価格)、販売計画は初年度5千疋(1疋=約50m)、3年後には2万疋を予定しています。
“サラコナ™”は、東レ独自の原糸設計技術、高度な断面形態制御・紡糸技術に、特殊な糸加工技術を融合して新たに開発したナイロン異形断面混繊糸を採用したファッションテキスタイルです。
原糸はナイロンポリマーをベースに、ポリマーアロイ技術を用いて特殊吸湿ポリマーを糸段階でアロイ化することで綿に近い吸放湿性能を有します。さらに、セラミックス粒子を均一かつ高濃度に練り込んだ丸型と六葉断面型の2種類の断面形状の繊維を混繊し、繊維へ適度な膨らみ感を付与する糸加工技術を組み合わせることで、繊維表面での可視光の反射を抑制し、落ちついたマットな表情を実現しました。そして、その加工糸の特徴を生かす高次工程設計と、当社の有するテキスタイル評価技術を駆使した布帛設計により、サラサラとした爽やかな肌触りを実現しています。
また、異形断面混繊により糸の間に微細な空隙が生まれることで毛細管現象を発現し、吸汗速乾性を発揮します。これにより、吸汗性能は通常のナイロン糸に比べ約25%向上し、速乾性はポリエステル吸汗速乾糸に匹敵する優れた性能を呈し、着用時のべたつき感を和らげます。
日本におけるナイロン素材のパイオニアである東レは、1951年にナイロン原糸の本格生産を始めてから今日まで、様々な分野に向けて素材開発を進めてきました。ナイロン素材の持つ、「軽くて強い」という基本特性はスポーツウェアや資材用途で、肌になじむ風合いはインナー・レッグウェア用途において特に生かされており、これらの用途においてナイロンは不可欠な素材として定着しています。一方、ファッション衣料用合繊素材としては一般的に、多様な素材感の表現力に優れるポリエステルが主流です。東レはポリエステル素材の開発を弛みなく続けるとともに、ナイロンの特長を生かした原糸・テキスタイルの開発にも注力しています。
“サラコナ™”は、ナイロンの素材特性を生かすとともに、着用快適性をもたらす様々な工夫を凝らすことで、ファッション素材として新たな持ち味を引き出すことに成功しました。つややかな光沢という一般的なナイロン素材のイメージとは異なる、新鮮かつ上質な素材感、ナイロンならではのしっとり感を残しながら、サラサラと心地よい肌触りが共存する独特の触感、そして快適な着心地を保つ機能性の融合により、汗ばむ真夏や梅雨の時期はもちろん、さまざまな場面において自然体でファッションを楽しめる素材です。
当社はファッションテキスタイル展開におけるマーケティング&マーチャンダイジングコンセプト“PRIDE of GOUSEN”の進化を目指して、合繊素材の新たな可能性を追求してまいります。
“サラコナ™”の概要は以下のとおりです。