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中空封止用感光性ポリイミド接着フィルムの開発について ~ 中空構造電子部品の小型化に貢献 ~

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2014.01.09

東レ株式会社

 東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)はこのたび、樹脂設計技術を高度化し、スマートフォンなど携帯用電子機器に搭載される電子部品のさらなる小型化・高密度実装に貢献する封止(パッケージング)用材料として、新たな「感光性ポリイミド接着フィルム」を開発しました。
 携帯用電子機器に必須となり年間10億個の需要があると言われるジャイロセンサなど中空構造を持つ電子部品を形成する際に、本接着フィルムを用いれば感光によるパターン加工で微細な立体構造を作ることができるため、従来の金属板等で組み立てる場合と比べ、大きさ(体積)を約1/3に小型化することが可能となります。部品の小型化・高密度実装により電子機器の高性能化、電池大容量化などに貢献する新材料として、電子部品メーカーなどのお客様に広くご提案し、2014年度10億円の売上を目指します。
 なお、本接着フィルムは、1月15日(水)~17日(金)に東京ビッグサイトで開催される国内最大の半導体デバイスにおけるパッケージング専門技術展「第15回 半導体パッケージング技術展(併催:第43回インターネプコン ジャパン)」の東レブースにおいてご紹介します。

 携帯電話、スマートフォン、ゲーム機などの携帯機器に多数搭載されている、物体の角度を検出するジャイロセンサなどのMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等は、部品内部に振動する水晶デバイス等が存在するため、周囲と接触しないスペースの確保、「中空構造」を必要とします。従来、中空構造の形成は、箱に入れ蓋をするようにしてデバイスをキャビティ(凹型)構造基板に実装するため、構造およびプロセスが非常に複雑です。東レは2005年から、デバイスとその外側を覆う封止(パッケージング)材の接着剤として、エポキシ系封止用耐熱接着剤フィルムを製造・販売しています。部品形状に忠実に追随して変形する柔軟性と、大きな伸びに耐える破断伸度を特長としていますが、部品の小型化という課題については、デバイス自身の大きさによるため、限界があります。
 そしてこの度、東レは、これまで培ってきた高耐熱・感光性ポリマーの設計合成技術を用いて、それ自身で小さな中空構造体を形成するというデバイス設計の考え方をも覆した、究極の部品小型化に貢献する感光性ポリイミド接着フィルムを開発いたしました。
 これにより、部品パッケージのサイズがデバイスとほぼ同じという小ささで、切り離す前の半導体ウエハ上で一度に大量の中空構造が形成できる、「ウエハレベルCSP(Chip Size Package)」が可能となります。ウエハレベルのデバイス上で中空構造を形成するためには、(1)数十マイクロメートル幅の微細パターンが形成できる材料特性、(2)中空構造を保持するための強度などの機械特性、接着性、(3)後工程や使用環境での耐熱性を要します。
 本接着フィルムは、150℃以上の耐熱性などそれらの条件を満たしつつ、露光によるフォトリソグラフィで隔壁、屋根を形成することで、デバイス上で必要な部分のみを中空構造化することができます。今後、機械的駆動を伴い中空構造を必要とするMEMS等の電子部品向けに、幅広く採用拡大を推し進めてまいります。

 東レは、中期経営課題“プロジェクトAP-G 2013”において、「情報・通信・エレクトロニクス」を、事業拡大を推進する重点4領域の一つに設定しています。今後もコアテクノロジーである高分子化学とナノテクノロジーの融合によって、コーポレートスローガンである“Innovation by Chemistry”を具現化する先端材料の開発を推進してまいります。

以上