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【用語説明】
※1.高感度DNAチップ3D-Gene®
東レが開発した高感度DNAチップ。通常、DNAチップは、基板上に、数十~数万種類のDNA断片やRNA断片に対応する塩基配列(プローブ)を高密度に並べたものであり、検体から抽出したDNAやRNAといった核酸ターゲットをDNAチップにハイブリダイズすることによって、そのターゲットに含まれる塩基配列の決定、遺伝子変異の解析、遺伝子の発現量・コピー数の測定、およびメチル化状態の解析といったDNA、RNAの多様な状態を解析することが出来ます。
3D-Gene® は、微細凹凸樹脂基板やビーズを使って検体溶液を攪拌させる反応促進など、東レの独創的先端技術を駆使することにより、ガラス平板による従来型DNAチップに比べて高い検出力(従来品比100倍の感度)、再現性、定量性を有しています(ホームページアドレス:
http://www.3d-gene.com/)。
開発の一部はNEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「バイオ・IT融合機器開発プロジェクト」の助成を受けて取り組んだものです。
※2.マイクロRNA
RNAはDNAの情報をタンパク質に翻訳するために必要とされる分子であり、一般にリボ核酸塩基が数十~数百個以上つながって構成されています。しかし最近、数十個のリボ核酸塩基から構成されている、短いRNAも生体において重要な役割を果たしていることがわかってきました。短いRNAにもいくつかの種類が知られていますが、その中でも特にマイクロRNAと呼ばれる20~25個程度の核酸からできているRNAは、メッセンジャーRNA(遺伝子)の働きを抑えて、タンパク質の合成量を変化させる働きがあり、iPS細胞作製に不可欠な細胞の初期化に関与する等、疾患の原因や、診断のためのバイオマーカーとなる可能性が注目されています。
一般にRNAは非常に壊れやすい物質で、細胞の中にのみ保護されて存在すると考えられてきました。しかし最近になって、血漿や血清の中に、大きさ10~100nmほどのリン脂質二重膜の小胞(エキソソーム)が浮かんでおり、その中にマイクロRNAが包まれて存在することが知られてきました。このマイクロRNAはエキソソームで保護されているために極めて安定で、微量の血液から検出することが可能です。
※3.バイオマーカー
体内に存在する特定の病状や生命体の状態の指標となる分子。糖や脂質などの非常にシンプルな分子からたんぱく質やDNA、RNAなどの遺伝子産物など複雑な分子も含まれます。これらの分子を測定することにより、体内の状態を知る検査・診断を行うことが可能です。
※4.英国ケンブリッジ大学/Cambridge Genomic Services
英国ケンブリッジ大学は800年以上前に創立され、31のカレッジと100を超える学科から成り立つ世界最高位の総合大学です。ニュートンの万有引力の法則を始め、多くの重大な発見が生まれた場所でもあり、現在でも様々な先端技術、先進技術が生み出され、出身者のノーベル賞受賞者も世界一位の大学です。また、Cambridge Genomic Services責任者のAffara教授は遺伝子解析分野における世界的な第一人者です。