東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下 東レ)はこの度、業界最高水準である中空率50%のC型中空断面糸を使用した軽量かさ高テキスタイル“エアリーサムロン +C(プラスシー)™”の販売を開始します。すでに、一部のお客様へはテストセール的に秋冬シーズン向けに販売を始めており、その軽さが好評であるため、11月からの本格販売を決定しました。
C型断面の特長を最大限に発揮する新しい加工技術により、テキスタイル展開の幅を広げることが可能な今回の新素材は、今後、軽さを実感できる秋冬シーズン向けの登山用のジャケットやブルゾンといったアウトドア及び一般冬物衣料向けのほか、春夏シーズン向けに軽さが求められるスポーツウェア用途にも展開していきます。
販売目標は、2014年度に売上3億円、3年後の2016年度には売上6億円への拡大を目指します。
“エアリーサムロン +C™”は、独自に開発した特殊断面形成複合紡糸技術を用いて業界最高水準の中空率である50%を実現したポリエステル長繊維を使用しています。このC型中空断面ポリエステル長繊維は、テキスタイルを形成した後に、特殊な後加工を施すことで、途中段階の糸加工や織り編みといった工程を経ても中空部分をつぶさずに高い中空率を保持します。そのため本素材は、同じ繊維径の丸断面や三角断面といった非中空糸を使用した生地に比べ、テキスタイルのかさ高性を維持しつつ、最大50%の軽量化を実現できます。
さらにC型中空断面形状の糸同士が作る空隙が毛細管現象による吸汗性と、表面積拡大効果による速乾性もあり、加えて、テキスタイルの構造の中に多くの空気を含むため、軽量で保温効果も有しています。これらの特徴から、ランニング、フィットネス、ヨガをはじめとする春夏シーズンを中心とした各種スポーツウェア向けや、アウター用途、アウトドアのミドラー用途など秋冬シーズン向けアイテムへの拡大にも対応していく考えです。
また、本素材に適用した後加工技術は、テキスタイルでのC型中空断面を保持しやすいことから、肌触りをさらっとさせるために糸を強く撚ることも可能になるほか、他のポリエステル繊維との複合仮撚り加工も容易になります。このことで、従来の中空糸では中空断面構造が潰れてしまうため設計できなかった様々なテキスタイルの開発が可能となりました。さらに、今後は、防水透湿加工や表面起毛などの後加工や、耐久性を高めたり、しなやかな風合いを出したりするためのナノレベルでの加工の適用を進めて行きます。
“エアリーサムロン +C™”に適用される原糸は、高度化する中国市場も視野に入れ、東レと東麗繊維研究所(中国)有限公司(TFRC、中国・南通市)で原糸開発を進めてきました。生産は、中国の長繊維生産拠点である東麗合成繊維(南通)有限公司(TFNL、中国・南通市)で行います。そして今後も、このようなグローバルな拠点を活用した高付加価値化を積極的に進めていく考えです。
東レは、 「素材には社会を根本的に変える力がある」との考えの下、長期的な視点に立った研究・開発を進めて参りました。今回の新素材の開発も70年以上にわたるポリマー開発や繊維高次加工技術開発を応用することにより生まれた結果であり、今後も、人々の生活を変えていくことでよりよい社会の実現に貢献するような研究・開発を進めていく所存です。
なお東レは、「「CHARGE THE FUNCTION」2015年春夏 東レスポーツメッセージ展」を大阪及び東京で開催し、本素材も展示します。大阪は11月21日(木)・22日(金)に東レ大阪本社(31階 プレゼンテーションルーム)にて、また東京は11月26日(火)~28(木)に東レ本社(25階 大会議室)にて実施します。