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300mmウエハ対応、半導体実装研究・開発用オープンラボ開設 ― オープン・イノベーションにより技術融合とスピードアップを図る ―

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2012.10.04

東レ株式会社

東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)は、このたび、半導体実装材料の研究・開発の効率向上、スピードアップ、用途拡大を目的に、滋賀事業場(滋賀県大津市)内に半導体実装研究・開発設備(PSラボ)を導入しました。本設備は、研究開発部署と同じ滋賀事業場内に設置し、半導体実装、各種測定装置などを取り揃えています。自社による材料開発と共にお客様のニーズを反映した材料開発のための300mmウエハ(最大サイズ)に対応可能なオープンラボとして運営し、材料設計段階から顧客企業とコンカレントな研究・開発を目指します。

 近年、携帯情報端末などITツールの高機能化・多機能化進展に伴い、そのキーデバイスである半導体も処理能力の高度化、高密度化が進んでいます。半導体製造においては、プロセス・ルール20nm以下の微細化を目指した研究開発が進められており、半導体チップの外部接合部においても、高い精度と信頼性が求められています。また、高密度化については、TSV1)を用いた3次元実装技術の研究開発が本格化しており、加工性に優れた高度な材料開発が求められています。

 当社は、半導体接着用高耐熱性フィルム2)、ウエハレベルNCF3)、感光性接着ポリイミドシート4)などの半導体実装関連製品を開発・上市してまいりました。これらの製品は、従来のキャピラリーフローアンダーフィル5)やNCP6)の課題を克服する次世代の実装材料として、その応用分野が広がっています。しかし、高度に多様化する実装技術においては、規格化された材料提供にとどまらず、お客様の要求に合わせたスピーディーな材料開発、プロセス条件・技術の確立がますます重要になっています。そのためには、材料の評価結果をいち早く設計にフィードバックすることが肝要であり、このたび、研究開発と一体となった検証機能を社内に導入しました。この機能は、お客様とのオープン・イノベーションによってさらに強化され、お客様の開発のスピードアップや効率向上にも貢献します。

 また、本実装研究・開発用オープンラボは、東レエンジニアリング株式会社(東レ100%子会社、以下「TEK」)との共同プロセス・機器開発機能も備えており、東レグループの製造する材料と、TEKのファインプロセス技術とのシナジーを最大限に引き出して、生産プロセスまで含めたトータル・ソリューションの提供を目指します。

 今回設置した実装研究・開発用オープンラボは、まず、顧客企業との最重点テーマで活用することから始め、順次その機能と活動を拡張していきます。これにより、当社材料のグローバルスタンダード化を図り、半導体実装材料の事業拡大を目指します。

 東レは、中期経営課題“プロジェクトAP-G 2013”において、「情報・通信・エレクトロニクス」を事業拡大を推進する重点4領域の一つに設定しています。今後もコーポレートスローガンである“Innovation by Chemistry”を実践し、“Chemistry”を核に、樹脂設計技術、微細加工技術、ナノテクノロジーの融合によって新たな先端材料を提供してまいります。

(1)「through-silicon via」の略。シリコン製半導体の表裏を電気的に接続するために、シリコン内部を垂直に貫通するように設けた電極のことです。この電極を通して3次元に積層した半導体チップ間を非常に短い距離で電気的接続することで、高密度かつ高速動作可能な半導体パッケージが実現できます。

(2)熱硬化型シート状接着剤。①幅広い加工条件、②高い信頼性、③低反り特性、④環境への配慮など、様々な特長を持った製品ラインナップがあります。

(3)東レのウエハレベル対応可能NCFは、東レのポリイミド技術とフィルム加工技術を活かし開発された、次世代実装技術に最適な接着剤シートです。バンプなど凹凸部へラミネート後、一括ダイシングが可能であり、200℃程度で短時間での硬化を実現しました。

(4)東レ感光性ポリイミドシートは、東レの感光性ポリイミド技術とフィルム加工技術を活かし開発された接着剤シートです。従来の感光性ポリイミド同様、高耐熱・高絶縁を維持しつつ、取り扱いが容易なシート材料に仕上げています。

(5)実装後の半導体チップの周囲に塗布し、毛細管現象により半導体チップと接続される配線基板や別の半導体チップとの隙間に浸透させ、加熱硬化させて用いる液状の絶縁性接着剤。接続される半導体チップや配線基板の隙間を埋め、接続電極にかかる応力を分散させたり、半導体チップや配線基板との接着力を高めることで、接続信頼性を高める効果があります。

(6)「non-conductive paste」の略。半導体チップの電極面と基板の回路面の接着に用いられ、アンダーフィルの機能を兼ねます。実装前に塗布して、接着・絶縁の機能を同時に持たせた液状の絶縁性接着剤です。

以上