東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)は、このたび、半導体実装材料の研究・開発の効率向上、スピードアップ、用途拡大を目的に、滋賀事業場(滋賀県大津市)内に半導体実装研究・開発設備(PSラボ)を導入しました。本設備は、研究開発部署と同じ滋賀事業場内に設置し、半導体実装、各種測定装置などを取り揃えています。自社による材料開発と共にお客様のニーズを反映した材料開発のための300mmウエハ(最大サイズ)に対応可能なオープンラボとして運営し、材料設計段階から顧客企業とコンカレントな研究・開発を目指します。
近年、携帯情報端末などITツールの高機能化・多機能化進展に伴い、そのキーデバイスである半導体も処理能力の高度化、高密度化が進んでいます。半導体製造においては、プロセス・ルール20nm以下の微細化を目指した研究開発が進められており、半導体チップの外部接合部においても、高い精度と信頼性が求められています。また、高密度化については、TSV1)を用いた3次元実装技術の研究開発が本格化しており、加工性に優れた高度な材料開発が求められています。
当社は、半導体接着用高耐熱性フィルム2)、ウエハレベルNCF3)、感光性接着ポリイミドシート4)などの半導体実装関連製品を開発・上市してまいりました。これらの製品は、従来のキャピラリーフローアンダーフィル5)やNCP6)の課題を克服する次世代の実装材料として、その応用分野が広がっています。しかし、高度に多様化する実装技術においては、規格化された材料提供にとどまらず、お客様の要求に合わせたスピーディーな材料開発、プロセス条件・技術の確立がますます重要になっています。そのためには、材料の評価結果をいち早く設計にフィードバックすることが肝要であり、このたび、研究開発と一体となった検証機能を社内に導入しました。この機能は、お客様とのオープン・イノベーションによってさらに強化され、お客様の開発のスピードアップや効率向上にも貢献します。
また、本実装研究・開発用オープンラボは、東レエンジニアリング株式会社(東レ100%子会社、以下「TEK」)との共同プロセス・機器開発機能も備えており、東レグループの製造する材料と、TEKのファインプロセス技術とのシナジーを最大限に引き出して、生産プロセスまで含めたトータル・ソリューションの提供を目指します。
今回設置した実装研究・開発用オープンラボは、まず、顧客企業との最重点テーマで活用することから始め、順次その機能と活動を拡張していきます。これにより、当社材料のグローバルスタンダード化を図り、半導体実装材料の事業拡大を目指します。
東レは、中期経営課題“プロジェクトAP-G 2013”において、「情報・通信・エレクトロニクス」を事業拡大を推進する重点4領域の一つに設定しています。今後もコーポレートスローガンである“Innovation by Chemistry”を実践し、“Chemistry”を核に、樹脂設計技術、微細加工技術、ナノテクノロジーの融合によって新たな先端材料を提供してまいります。