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東レの「プラズマディスプレイ隔壁用感光性ペーストの発明」が 平成24年度全国発明表彰「発明賞」を受賞

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2012.06.28

東レ株式会社

このたび、平成24年度全国発明表彰が決定し、東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)の「プラズマディスプレイ隔壁用感光性ペーストの発明」(特許第3239759号、発明者:井口雄一朗、岩永慶二、正木孝樹)が「発明賞」を受賞しました。今回の受賞は、プラズマディスプレイの製造において、大画面・高精細であり、環境に優しい背面板隔壁を簡便に製造するための感光性ガラスペーストに関する技術を発明したことが評価されたものです。

表彰式は、常陸宮殿下・同妃殿下の御臨席の下、6月19日(火)、ホテルオークラ東京において執り行われ、3名の発明者に「発明賞」が授与されました。
 なお、東レの全国発明表彰の受賞は、平成22年度の「水なしCTP平版の発明」による「日本商工会議所会頭発明賞」に続き、通算9度目となります。

高度情報化社会を支える平面ディスプレイとして、プラズマディスプレイは薄型・大画面、広視野角、高速表示を特長として発展を遂げてきました。プラズマディスプレイは、RGB三原色の蛍光体を塗布した隔壁によって形成された放電セルと呼ばれる空間内で発光させます。そのサイズは、画像の精細度を決める重要な因子であり、高さ120~150μm、幅20~80μm、ピッチ130~400μmのガラスやセラミックスによって形成されますが、無機材料を大面積で高精度に3次元加工することは非常に難しく、プラズマディスプレイ製造における最も困難な工程でした。
 本技術は、世界ではじめて高精細・高アスペクト比の隔壁形成を可能にする感光性ガラスペーストに関するもので、42インチフルハイビジョンや3Dディスプレイ等の民生用プラズマディスプレイ製造での採用だけでなく、100インチ超(103、152インチ)の大型プラズマディスプレイ製造や多面同時加工プロセスによる量産性向上にも貢献し、さらには設計自由度の向上によって、パネルの低消費電力化にも寄与しています。

 東レは、“Innovation by Chemistry”のコーポレート・スローガンのもと、今後もプラズマディスプレイ隔壁用感光性ガラスペーストのさらなる性能向上、安定供給・サービスを通じて、持続可能な社会の実現、情報化社会の発展に貢献してまいります。

【全国発明表彰とは】
皇室から毎年御下賜金を拝受し、公益社団法人 発明協会の主催により優れた発明を完成した人、実施化に尽力した人、 発明の指導・奨励・育成に貢献した人を表彰するものです。表彰を通じて発明の奨励・育成を図り、日本の科学技術の向上と産業の振興に寄与することを目的としています。

今回の受賞内容は下記の通りです。

1.受賞テーマ:「プラズマディスプレイ隔壁用感光性ペーストの発明」
2.対象特許:第3239759号
3.受賞者:平成24年度全国発明表彰「発明賞」受賞

所属
氏名
パナソニックプラズマディスプレイ株式会社 取締役
兼 東レ株式会社 PDP技術部 部長
井口 雄一郎
東レフィルム加工株式会社 FPD技術部 部員 岩永 慶二
成均館大学校 新素材工学部 研究教授 正木 孝樹

4.受賞技術の概要:
今回の受賞は、プラズマディスプレイの製造において、大画面・高精細であり、環境に優しい背面板隔壁を簡便に製造するための感光性ガラスペーストに関するものです。
 高度情報化社会を支える平面ディスプレイとして、プラズマディスプレイは、薄型・大画面、広視野角、高速表示を特長として発展を遂げてきましたが、その放電セルを形成する隔壁の形成は無機材料を  大面積で高精度に3次元加工する必要があるために、プラズマディスプレイ製造工程の中で最も困難でした。

隔壁形成の従来技術としては、スクリーン印刷法およびサンドブラスト法がありましたが、(1)スクリーン印刷法は、高さ100μm以上の隔壁形成には多数回の積層印刷を必要とし重ね合わせ加工精度が低いこと、(2)サンドブラスト法は工程が複雑であること、高精細パターンを形成することが極めて困難であること、さらに大量の研磨廃材が排出されることから、いずれの方法にも限界があり、大画面で高精度なプラズマディスプレイ隔壁を簡便に製造できる材料やプロセス技術が切望されていました。

東レは高精細・高アスペクト比隔壁形成を可能にする感光性ガラスペーストについて鋭意検討し、ガラス粉末と感光性有機成分の屈折率を精密に整合させることで界面の光散乱・反射を抑制し、内部光散乱を抑制して光の直進透過性を高めることに成功しました。本ガラスペーストにより世界ではじめて 高精度・細幅隔壁加工が可能となり、プラズマディスプレイの高精細化・高性能化を達成することができました。
 本技術によって、42インチフルハイビジョン、3Dディスプレイ等の民生用プラズマディスプレイはもとより100インチ超(103、152インチ)大型プラズマディスプレイや、多面同時加工プロセスによる量産性向上にも貢献し、さらには設計自由度の向上によって、パネルの低消費電力化にも寄与しています。

以上