東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)と社団法人産業環境管理協会(本部:東京都千代田区、会長:南 直哉、「以下、産環協」)は、このたび、製品やサービスの環境影響を統合的に評価する東レの環境分析ツール「T-E2A」(ティー・イー・ツー・エー)について、産環協のLCA※1支援ソフト「MiLCA」(みるか)の拡張機能版を新たに共同開発し、本年6月から一般に公開します。
東レの環境分析ツール「T-E2A」は、複数の製品を“環境負荷”と“経済性”の双方からマップ化し、環境負荷が少なく、経済性にも優れた製品を選択することができる環境分析ツールです。東レは、環境配慮型の製品であっても、“経済性”を考えずにその製品や技術を広く普及させることはできないとの考えから、「T-E2A」をLCM※2推進の基盤ツールと位置づけ、新素材・新製品の企画立案、研究・開発、生産、マーケティング、企業PR等の事業活動に幅広く活用してきました。また自社にとどまらず、LCMに賛同する企業や団体にも無償で公開し、持続可能な低炭素社会に貢献できる最適なツールとして普及・浸透を推進してきました。
「MiLCA」(Multiple Interface Life Cycle Assessment)は、産環協が開発したわが国の代表的なLCA支援ソフトで、LCA実施の基本インフラとして広く利用できるシステムです。「MiLCA」は、LCAを実施するためのプロセスデータを管理し、ケーススタディを実施するまでの基本機能のほか、3,000以上の二次データ(資源や投入原料、電力等の文献値に基づくバッググラウンドデータ)が標準搭載されており、簡易にLCAを実施することが可能です。「MiLCA」のコンセプトは、環境情報の「見える化」を促進することで、そのために初期搭載のプロセスデータなど全ての情報が無料版で閲覧・利用できるようになっており、現在の利用者数は約1,300人に達しています(2012年5月現在)。
今回の共同開発では、「T-E2A」と「MiLCA」の各機能を一体化したことが最大の特長です。両者のコラボレーションで、より簡便、かつ迅速な環境分析が可能となり、製品毎に多岐にわたる資源消費量や環境負荷の算出から地球温暖化等の各種環境影響評価、さらには、利用者が作成したケーススタディに基づく環境・経済双方からの製品間比較まで、ひとつのソフトウェア上で対応できるようになります。環境配慮型製品の開発をはじめ、消費者への環境情報開示、環境に配慮した意思決定が、より実効性をもって進むことが期待されます。
なお、本開発品は、本年6月より「MiLCA」の機能拡張版として同ホームページ上で無償配布を開始します(http://www.milca-milca.net/)。また、日本語版に加えてグローバルにも利用できる英語版も同時に配布します。今後はLCAデータ算出の根拠となる原材料やエネルギー別の環境負荷データ、地域別係数など、各国の実態に合わせて機能を順次拡充し、企業や社会における環境コミュニケーションの共通言語として、グローバルスタンダード化をめざします。
東レは、自社におけるGHG(温室効果ガス)排出原単位の低減に取り組むとともに、グリーンイノベーション製品の開発、その創出を支援する「T-E2A」の普及・浸透を通じて、LCMの視点で地球環境問題へのソリューション提供を図り、持続可能な低炭素社会実現に貢献してまいります。
産環協は、地球環境問題対応としてサプライチェーン全体でのデータ管理や定量化要求が高まる中、「MiLCA」のさらなる開発・普及を通じて、LCA手法による環境負荷の「見える化」を推進し、ライフサイクルアプローチによる環境経営への貢献をしてまいります。