東レ(株)(本社:東京都中央区、社長:日覺昭廣、以下「東レ」)は、この度、ポリオレフィン発泡体トーレペフ®の新製品として、従来よりも柔軟性が高く様々な形状に沿う追従性に優れた「0S(ゼロエス)グレード」の本格販売を開始します。すでに、一部のお客様へはテストセール的に3月から販売を始めていますが、その機能の高さや使い勝手の良さが好評であるため、4月中旬からの本格販売を決定しました。
今回の新製品は、まず、耐水性、クッション性、断熱性に優れ、かつ柔軟性も高いという特長を活かし、バス・キッチン等水回りの水漏れ防止や、エアコンの結露による水滴落下防止、住宅における壁の隙間からの水の浸入防止といった用途に使用する止水材に最適な材料として展開します。その後、配水管等の土木用途や冷凍ショーケース等の家電用途などへも幅広く展開を拡大し、売上は、2012年度が5億円、3年後の2015年度には10億円へと伸ばしていく計画です。
トーレペフ®は、ポリオレフィン系の樹脂をシート状にして、電子線架橋し、高温の液体に浮かべて加熱するという、東レ独自の技術である横型塩浴加熱技術により発泡させたポリオレフィン発泡体です。自動車の内装や家電製品の断熱材、住宅・土木用のクッション材など様々な用途に採用されています。
今回の0Sグレードは、発泡時に樹脂シートの温度を高め、樹脂の粘度を下げることで実現した「超高発泡化技術」により、従来は最大40倍程度だった発泡倍率を、世界最高レベルの60倍にまで高めることに成功しました。これにより、発泡構造内は気体が増え、樹脂が減ることから、柔軟性が高まり、様々な形状に沿う優れた追従性を発現します。柔軟性と追従性に優れるため、バスやキッチン等の水回りといった曲面の多用される用途や、エアコン内部など細かく複雑な形状の部分にも使い勝手が良く、優れた止水性能を発揮することができます。
また、この分野では従来、柔軟性があって長期間劣化しにくいエチレンプロピレンゴム(EPDM)の発泡体が使われてきましたが、EPDMは構造中の気泡に穴が開いているため、水や空気の通り道があり、厚みが1/10程度になるほど強く圧縮して通り道をふさがなくては求める止水性能を得ることができませんでした。一方、トーレペフ®0Sグレードは、穴の無い気泡による構造であるため、水や空気が通る道がなく、EPDMに比べて約半分程度の圧縮率でも十分な止水性能を発揮することができます。そのため、少ない使用量で同じ効果が得られることから、材料コストの削減にも繋がります。
東レは、基礎素材メーカーとして、企業理念「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」に則り、社会を本質的に変える力のある素材を提供していく考えです。そして、“Innovation by Chemistry”のコーポレート・スローガンのもと、ケミストリーの力で先端材料の開発を進め、より豊かな社会の実現に向けて「素材」で貢献する企業集団であり続ける所存です。
「トーレペフ®0Sグレード」の詳細は下記の通りです。