東レ株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:日覺昭廣)は、東京モーターショー2011への出展を機に、Gordon Murray Design Limited(ゴードン・マレー・デザイン・リミテッド、本社:英国、代表:Gordon Murray、以下「GMD」)との間で、テクニカルパートナーシップを締結することを決定しました。
今回のパートナーシップは、自動車に関する研究開発において、(1)「GMDが開発した効率的生産プロセス(ハイブリッド・システム)である“i-Stream®”(アイ・ストリーム)の推進と深化に向けた材料技術協力」、(2)「自動車および他の産業の発展に貢献する材料や工法の共同研究・開発」、といった重要分野での協同を狙いとしています。
東レは、実際に公道走行が可能な2シータオープンのコンセプトEV(電気自動車)の開発において、そのデザインや仕様の詳細設計をGMDに依頼し、2011年9月に「“TEEWAVE” AR1(Toray Eco Efficient WAVE Advanced Roadster 1)」として完成させました。“TEEWAVE”は、東レの持つ炭素繊維複合材料(CFRP)をはじめとする環境配慮型素材および技術をフルに活用した、東レの取り組むグリーンイノベーション戦略を体現するフラッグシップです。
“TEEWAVE”は、CFRPのハイサイクル成形技術をはじめとする高度な技術を駆使し、優れたコスト効率、バッテリーを含めて846kgという車体の軽量化、優秀な安全性能を実現しています。さらに、“TEEWAVE”の最も重要な技術の一つであるモノコックは、様々な車型への応用が可能です。今回の開発でF1技術の一般車両への適用可能性を実証したことにより、自動車の安全性と環境性能の向上をより一層促進させることに繋がると期待しています。東レは、このコンセプトカーを2011年9月に東レが開催した先端材料展で初めて一般公開した他、2011年の東京モーターショーへも出品しました。
この度のテクニカルパートナーシップの締結は、CFRPをはじめとする先端材料に関する大量生産技術の開発や、熱可塑CFRPの主構造への適用の促進、高度な衝突安全構造の実現に向け、GMDと東レの両社の有するコア技術の融合の機会となります。両社はこの取り組みによって、軽量化や効率化、コスト低減、安全性や持続可能性の向上といった様々な分野において、今後さらなる目覚ましい成果がもたらされるように協力していきます。
東レは、2011年4月からスタートさせた中期経営課題“プロジェクト AP-G 2013”において、成長分野での事業拡大を目指しており、「自動車・航空機」は重要な成長領域として先端材料開発や事業横断的な取り組みの強化で事業拡大を推進することとしています。
東レは今後も、企業理念「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」を実現すべく、炭素繊維複合材料をはじめとする 先端材料の拡大に注力していく所存です。