先端材料研究所

先端材料研究所は、新たな製品を創造することを目的とした中央研究所からの流れを継ぐ研究所であり、基礎研究力の強化を図り、革新的な先端材料を継続的に創出することを目指して、2010年6月に設立されました。

先端材料研究所は、当社・研究本部の基礎研究部門である「基礎研究センター」に属しており、材料分野における基礎研究を全社統一戦略のもとで推進するために「新エネルギー材料研究室」、「医療システム研究室」、「ナノ有機デバイスグループ」、および材料設計におけるデジタル改革を推進する「デジタルマテリアルサイエンスグループ」を設置しています。また、国内外の当社R&D拠点とも密接に連携して技術の融合・展開を図っており、特に中国上海の東麗先端材料研究開発(中国)有限公司[TARC]とは、一体となって先端材料の創出を推進しています。
当社のコア技術である高分子化学の基礎研究力強化を図り、当社が重点課題としているサステナビリティイノベーション事業・デジタルイノベーション事業への対応に代表される社会のパラダイムシフトを先導する次世代先端材料・システムの基礎研究と、革新的な基幹素材を創出するための基礎材料研究を推進しています。具体的には、革新電池部材などの新エネルギー材料、体外循環カラムなどの革新医療材料・システム、塗布型RFIDなどの革新有機デバイス創出に取り組み、「経済成長の制約要因である地球環境保護、資源・エネルギー、少子高齢化などの問題に対する当社製品・技術によるソリューション提供」を推進しています。

また、今後の当社先端材料創出の基盤となる高分子高次構造制御、ナノ炭素材料などの基礎研究、さらには計算科学・情報科学を活用したシミュレーションやインフォマティクス技術による材料科学の革新を推進しており、これらの推進のため、海外も含めた産官学にまたがるグローバルな社外連携、オープン・イノベーションを強化しています。

研究・開発の歩み(抜粋)

1956 中央研究所設立
2010 国内3拠点と海外2拠点の基礎研究機能を有機的に統合したグローバルな体制で先端材料研究所発足
2011 血小板付着抑制機能を向上させたポリスルホン膜人工腎臓 トレライト®NVの販売開始
2012 自由エネルギー計算と溶解拡散理論に基づく機能膜設計の基礎を確立(「京」戦略拠点連携)
2015 血液中のタンパク質付着を大幅に抑制する表面修飾技術を構築
水素・燃料電池用の炭化水素系電解質膜、電極基材技術を創出
2017 低照度環境にて従来比最大で約2倍の発電量を示す屋内センサー向け有機光発電デバイスパネルを開発
2018 細胞とタンパク質を同時に除去できる血液浄化用繊維吸着体を創出
2019 世界初の連続する空隙構造を持った多孔質炭素繊維を創出
柔軟性と耐破断性を両立した生分解性ポリマーの創出
2021 高流動性と高導電性を両立した極薄グラフェン分散液を創出
「分子シミュレーションを用いたフッ素ポリマーの界面自由エネルギー予測技術の開発」に対して日本化学会第26回技術進歩賞受賞
「抗血栓性人工腎臓の開発と工業化」に対して第53回日化協技術賞総合賞受賞