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東レ先端材料シンポジウム2016

先端材料が拓く 地球の未来

第2回

4つのコア技術をベースにした技術の
極限追求と革新技術の新展開

 当社は先端材料で社会に貢献する企業であり、4つのコア技術をベースにした技術の極限追求と、革新技術の新展開を軸に、東レの総合力結集とオープンイノベーションで、地球の未来を拓いていきます。第2回は極限追求と革新技術新展開の例をご紹介します。

繊維での極限追求

 繊維では細さの極限を追求しています。人の髪の毛は、直径約50ミクロン、東レのナノファイバーはその300分の1以下、150ナノメートルの極細繊維です。この繊維を使ったフィルター素材は、PM2.5のような有害な粒子の捕集効率が100%近くとなり、ナノテクの威力を発揮しています。また、収縮率の異なる2つのポリマーで、0.001ミリより細い、直径900ナノメートルの繊維を作り、収縮率の差で捲縮させたバイメタル繊維は、ストレッチ性とソフト感などを両立でき、高級衣料素材としてまもなく発表の予定です。

フィルムでの極限追求

 次に、フィルム表面形成技術の極限追求です。1990年当時は、無機粒子をフィルム全体に添加して、表面にランダムに突起を作っていました。われわれは、粒子を含有するポリマーを表面に薄く積層して、粒子を一列に並べ、突起の高さをそろえるNEST技術を開発しました。NESTは高画質のビデオ用フィルムとして高い評価を受け、当社事業に大きく貢献しました。しかしその後、DVDの登場でビデオテープの市場はなくなりました。

 しかしながら、データテープ用フィルム、さらには、スマートフォンや自動車の電子制御等に不可欠なセラミックコンデンサーや偏光板の製造工程で使う支持体として、その用途を拡大しています。「革新技術は時代を超えてその用途を拡大していく」、当社が革新技術にこだわる大きな理由はここにあります。

 さきほどのNESTは、ポリマーAとBの、2層か3層でしたが、次は積層技術の極限追求です。特殊な設備で、数十ミクロンという薄いフィルムに、異なるポリマーを数千層に積層し、1層あたりの厚さがナノメートル、分子オーダーの多層積層を実現しました。ナノオーダーになると、従来とは異次元の世界になります。たとえば引裂強度が飛躍的に大きくなり、まず、窓に貼る防犯フィルムとして商品化しました。また、金属を使わないメタリック調のフィルムは、衝突回避センサーの、自動車用エンブレムにも採用が決まっています。それ以外にも、ユニークな特長を活かして、多くの用途へ展開が始まっています。

表面形成技術の極限追求

ナノアロイ®

 次にフィルムからポリマーに話を移します。2種類のポリマーを混合するポリマーアロイは、従来はミクロンオーダーの分散径でしたが、これを、ナノメートルオーダーで分散させ、その構造を制御することで、従来は不可能であった優れた特性を発現させることに成功しました。現在、自動車をはじめとする多岐にわたる分野で、実用化が進んでいます。

 下の動画は、自動車が衝突した時のショックを和らげるクラッシュパッドで、車の前後左右に入っている、20センチ大の箱状の部品です。左が、ポリカーボネートにPBTを、ミクロンオーダーで分散させた従来のポリマーアロイ、右は、2つのポリマーがそれぞれつながった、共連続構造を形成させたナノアロイ®です。これに高速でハンマーをぶつけますと、従来のアロイは木っ端みじんに壊れますが、使うポリマーは同じでも、ナノになると世界は変わり、しっかり衝撃を吸収して私たちの安全を守ってくれます。この材料も、すでに自動車メーカーで採用いただいています。

  • 破壊
  • 柔軟に変形

耐衝撃性の比較

耐衝撃性の比較

  • 従来アロイ技術
自動車安全部品用ナノアロイ®