研究開発組織

繊維研究所

当社設立の翌年にレーヨンを対象とする研究課が設置され、その後1969年(昭和44年)にそれまで各地に分散していた繊維分野の研究所・室を統合して、繊維研究所が発足しました。
その後、現在に至るまでポリマー設計、製糸技術、テキスタイル加工技術など、繊維に関する幅広い研究を行い、新世代の繊維、テキスタイルを世に送り出してきました。

繊維研究所は、アパレル用新製品、タイヤコード用高性能繊維、スエード調人工皮革 エクセーヌ® 、ワイピングクロス トレシー® などを世に送り出してきました。また、炭素繊維や人工腎臓用中空糸など、新事業の基礎となる要素技術も生み出してきました。現在は、アパレル用新製品に向けたポリマー、紡糸の要素技術の深化に加え、環境調和型の新規繊維の創出や、極限追求を切り口にした繊維の高機能化の研究を進めています。

  • エクセーヌ®エクセーヌ®
    エクセーヌ®は、海島複合紡糸により製造される超極細糸を用いたスエード調人工皮革です。その優れた品質・機能性から、ファッション業界をはじめ、インテリアや精密機器の部材などさまざまな分野で採用されています。
  • シルックデュエット®シルックデュエット®
    シルックデュエット®は繊維構造制御技術の追求から生まれた、従来の新合繊を超える質感を持ったシルキー素材です。上品な光沢感、艶感、優れた発色性に加えて、なめらかな触感を兼ね備えています。
    ※2004年度 繊研合繊賞、マテリアル部門受賞
シルックデュエット®カチオン可染ポリエステル"LOC Ⅱ"を用いたテキスタイルの断面

アパレル用新製品に向けた要素技術の深化としては、ポリエステルの改質による機能性向上等のポリマー研究があります。ユニクロ社のヒートテック®*などに採用されているカチオン可染ポリエステル"LOCⅡ"も当研究所で開発されたものであり、さらに当社独自の製糸技術、高次加工技術との融合によって幅広く展開されています。

* ヒートテック®はファーストリテイリングの登録商標です

環境にやさしい繊維材料

環境調和型の新規繊維素材の例としては、植物を原料としたポリ乳酸繊維 エコディア®、バイオマス由来のジオールを用いたポリエステル3GT 繊維とそのテキスタイル フィッティ® 溶融紡糸法で製造可能な世界初のセルロース系繊維 フォレッセ® などがあります。繊維研究所では、今後もますます重要性が高まると考えられる、環境にやさしい繊維材料の創出に取り組んでいきます。

  • フォレッセ®
  • フォレッセ®

フォレッセ®

フォレッセ®は、世界初の熱可塑性セルロース繊維で、従来のセルロース繊維と異なり、紡糸工程での有害薬液を使用しません。また、従来不可能であった異形断面糸や極細糸の製造が可能な繊維です。
※2007年度 繊研合繊賞グランプリ、テクニカル部門受賞

世界で初めての異形断面ナノファイバー

繊維の高機能化の研究としては、繊維の細さの極限を追求した、直径が毛髪の1000 分の1 しかないナノファイバーの研究、繊維の分子配向や結晶構造などを制御することによる高強度化やプロセス合理化を図る研究などを行っています。ナノファイバーに関しては、世界で初めてとなる異形断面のナノファイバーを得ることにも成功しています。

世界で初めての異形断面ナノファイバー

世界で初めての異形断面ナノファイバー

また、従来にない高い機能性を有する新規繊維の創出も重要な課題です。PPS(ポリフェニレンサルファイド)などの耐熱性ポリマーや液晶ポリマーなどを用いたスーパー繊維の研究にも注力しています。IT 分野への展開が可能となる、世界最高レベルの導電性能を有するポリエステル導電繊維の創出にも成功しました。
これらの研究は、繊維研究所が長年蓄積してきたポリマー技術、製糸技術、繊維構造制御技術、テキスタイル高次加工技術を活用したものですが、研究を推進する中でこれらの要素技術は日々進化しています。今後も、世界の繊維産業を支える研究所としての気概を持って、技術に裏打ちされた新しい価値の創造を継続していきます。

研究開発の歩み(抜粋)

1927 レーヨンを対象とする研究課を設立
1941 独自技術により、ナイロン6の合成と溶融紡糸に成功
1964 絹調ポリエステル繊維 シルック®の生産開始
1969 繊維研究所設立
1970 エクセーヌ®の生産開始
1987 高性能ワイピングクロス トレシー®の本格生産開始
2002 3GTポリマーを用いた複合糸の生産開始
2005 世界初の溶融紡糸セルロース系繊維 フォレッセ®を創出
2013 世界最細(150nm)および高異形(Y字等)ナノファイバーを創出