研究開発組織

複合材料研究所

複合材料研究所は繊維研究所愛媛研究室と高分子研究所複合材料研究室が統合されて、1990年(平成2年)に発足しました。当研究所は炭素繊維 トレカ®やマトリックス樹脂などの複合材料素材、織物やプリプレグなどの成形用中間基材、複合材料部材の成形加工法および複合材料設計・解析の研究を行っています。

複合材料研究所では炭素繊維 トレカ®の前駆体となるアクリル繊維から、焼成プロセスに至るまで一貫した研究を行っています。繊維中の炭素結晶構造制御やナノレベルの繊維表面改質などの技術を確立することにより、高圧縮強度中弾性率炭素繊維T800Sを研究・開発し、ボーイング777・787型機、エアバスA380など、近年開発された主要な航空機に採用されています。また、さらなる構造制御技術の深化により引張強度・弾性率を同時に10%高めたT1100Gを上市し、炭素繊維の高性能化を追求し続けています。

  • トレカ®T1100G
  • トレカ®T1100G

強度と弾性率を高いレベルで両立したトレカ®T1100G を開発

マトリックス樹脂の研究ではプリプレグの層間を熱可塑性粒子で強化することにより、材料破壊開始時のクラック伝搬を抑制しコンポジットの耐衝撃特性を向上させる技術を確立しました。その技術は高靭性炭素繊維強化複合材料「T800H/3900-2」に適用され、1990年に炭素繊維強化複合材料としては初めてボーイング777型機の一次構造材に認定されました。以後10数年にわたり適用実績を積み上げ、2004年にはボーイング787型機向けに、トレカ®プリプレグを独占的に供給する契約も締結されました。ボーイング787型機は2011年より全日本空輸(株)にて運用が開始されています。また、スポーツ向けでは、東レ独自のナノアロイ®技術により、従来両立が難しかった強度と耐衝撃性を高いレベルで発現するプリプレグを研究・開発し、ゴルフシャフトや自転車のさらなる軽量化に貢献しています。

一次構造部材にCFRPを採用したボーイング787型機

一次構造部材にCFRPを採用したボーイング787型機

ポリマーの分散状態フィラメントタイプからなる炭素繊維強化複合材料は 軽量・高剛性のノートパソコン筐体に使用されています
写真提供:レノボ・ジャパン株式会社

コンポジット成形分野においては、炭素繊維複合材料の軽くて強い特徴を活かし、IT機器筐体への展開を進めています。フラットな部分には炭素繊維の弾性率を利用した積層構造を採用し、複雑なフレーム部分を構成する熱可塑性樹脂材料との高度な融合技術により、世界で初めてCFRP骨格のノートパソコン筐体を開発し、レノボ社をはじめとして適用が進んでいます。

一方で、自動車構造部材への炭素繊維強化複合材料の本格適用についても国家プロジェクト「地球温暖化防止新技術プログラム」(2003~)さらに「サステナブルハイパーコンポジット技術の開発」(2007~)、「熱可塑性CFRPの開発および構造設計・加工基盤技術の開発」(2013~)を通して、自動車プラットフォーム(車台)の前部フロアを10分以内で成形する方法など、革新的な成形・設計・加工法の創出に取り組み、自動車展開に向けた研究・開発を加速しています。

炭素繊維複合材料が適用可能な自動車部材

炭素繊維複合材料が適用可能な自動車部材

※2009年度 日経地球環境技術賞、先端技術大賞受賞

炭素繊維強化複合材料を航空機や自動車に適用することにより、機体や車体が軽量化され、燃費が改善し二酸化炭素排出量削減に貢献できることも立証されてきています。当研究所では複合材料事業の拡大により地球温暖化問題へも貢献するべく、素材、中間基材、成形技術を深化・融合させる研究活動を展開しています。

研究開発の歩み(抜粋)

1971 炭素繊維トレカ®の生産開始
1977 繊維研究所愛媛研究室設立
1987 高分子研究所複合材料研究室発足
1990 複合材料研究所設立
1992 航空機一次構造材用プリプレグ T800H/3900-2の生産開始
1996 電磁波シールド性に優れる炭素繊維強化樹脂 ノートパソコン筐体の生産開始
2003 超軽量・高剛性ノートパソコン筐体の開発
2008 自動車用ハイサイクル成形部材を開発
2011 当社CFRPが採用されたボーイング787就航