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東レ先端材料シンポジウム2016

先端材料が拓く 地球の未来 - 東レの研究・技術開発戦略 -

第4回

持続可能、安全・安心、
超スマート社会における先端材料

 第4回は、安全・安心に関わる予防・防御、環境保全への取り組み、超スマート社会実現に向けた取り組みについて、ご紹介します。
 図は、感染症、環境汚染、食中毒、犯罪、事故、災害などから人やモノを守り、安全・安心社会の構築に貢献する、当社の先端材料です。この中から難燃・遮炎材料と感染対策衣についてご紹介します。

安全・安心社会の構築

難燃・遮炎材料

 まずご紹介するのは、炭素繊維を作る工程でできる耐炎糸と、当社が世界をリードするPPSを、技術融合させた遮炎ペーパーです。左が耐熱ペーパーの代表格のアラミドペーパー、右が新規開発品です。これに下からガスバーナーの炎をあてています当社の開発品は、10分近く経っても炎を遮蔽できています。1000度以上でも遮炎性を維持できる、世界で初めての材料で、今後、自動車や航空機など多くの分野の安全部材として、広く展開していきます。

耐衝撃性の比較

  • アラミドペーパー
  • 遮炎ペーパー
難燃・遮炎材料:遮炎ペーパー

感染対策衣

 次にご紹介するのは、感染から人を守る感染対策衣です。左上の写真が断面写真で、当社の不織布と微多孔フィルムの技術を融合させた新たな素材です。基本性能は表のとおり、ウイルスバリア性はクラス6と最高ランクで、透湿度も従来品に比べて高いレベルで確保できています。最近、感染症対策の一環として、外務省・厚労省、ギニア政府のご支援を得て、ギニアに当社の技術者も派遣し、実証試験を行っています。右下のグラフは衣服内湿度の変化ですが、着用感ではるかに優れることが実証できました。

感染対策衣

超スマート社会の実現

 さて次は、超スマート社会実現に向けた取り組みです。各論の前に全体像をご覧いただきますと、超スマート社会は、情報処理と情報記憶からなる「中枢」、通信、センサーなどからなる「中間」、そして、情報表示や標識などの「末端」で構成されていくと考えています。これに対応する、当社の次世代エレクトロニクス材料は、ポリマー系電子材料と高機能フィルムを軸に、半導体用ポリイミド、画像用イメージセンサー、ウェアラブルセンサーなど多岐にわたっていますが、今回は、データテープ用フィルムとRFIDをご紹介します。

 ビッグデータ時代の到来で、私たちを取り巻く情報量は急速に増えつつあり、重要な情報を、万一の時に備えて保存しておくデータテープの重要性がますます高まってきています。現在、データテープには2つのタイプがあり、大容量タイプはフィルム厚さが薄く、高い剛性ときわめて優れた熱安定性が要求されます。汎用の、中容量タイプのフィルムは、通常のポリエステル、PETに比べて優れた熱安定性と同時に、コストも重要です。右側のグラフは剛性と熱安定性のマップですが、当社は、頂点素材のミクトロン®と、PET系ナノアロイ®のSPALTAN®を武器に両タイプでトップシェアを確保しています(東レ推定)。ミクトロン®、SPALTAN®とも、超継続で技術を磨いてきましたが、ビッグデータとともに、その価値はますます高まると確信しています。

 RFIDとは、無線通信で商品情報を受信、発信するICタグのことで、当社の材料技術を総動員して研究を進めています。配線やアンテナ部分は、現在、モバイル機器に幅広く使用されている当社独自の導電ペーストで、塗布すれば電気配線ができる塗料です。薄膜トランジスタには、カーボンナノチューブ、CNTと、新たに設計した半導体ポリマーの複合体を、家庭用プリンターと同じ、インクジェットで印刷して作ります。新たに開発した東レ品は、半導体の応答の良さを表す電子移動度で、世界最高レベルを達成しました。これらの技術で、曲げられるフィルムトランジスタが実現でき、また、完全塗布プロセスによる低コスト化も可能です。物流や在庫管理、レジの完全自動化など、幅広く展開していきます。

超スマート社会実現に向けた取組み
データテープ用フィルムへの取り組み