CSR活動報告(各CSRガイドラインの活動報告) - 人権推進と人材育成

社員が働きやすい企業風土づくり

くるみんマーク

共働き共育て

東レ(株)は、男女ともに多様なライフスタイルを選択できるよう、ワークライフバランスの実現に向けた制度の充実を図ってきました。特に、育児や介護、母性保護に関連した制度は法定以上の内容で利用しやすいように整備しており、2007年度以降、「子育てサポート企業」として厚生労働大臣の認定(くるみん認定)を7期連続で受けています。
また、東レ(株)は、経済産業省と東京証券取引所が共同で主催する令和6年度「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」にも選定されました。
「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」は、「なでしこ銘柄」の併設として令和5年から選定が開始され、共働き・共育てを可能にする性別を問わない両立支援の取り組みが特に優れた企業を評価するものです。

東レ(株)がこれまでに取り組んできた制度の拡充策は以下のとおりです。

実施時期 取り組み内容
2010年6月
  • 男性社員の制度の利用を促進する育児関連制度の改定
2011年4月
  • 育児・住宅取得支援に重点を置いた選択型ポイント制福利厚生制度(東レスマイルサポートプラン)導入
2012年4月
  • 育児・介護を行う社員への在宅勤務制度の導入
2012年10月
  • 新幹線通勤の拡充
2013年4月
  • 慣らし保育のための特例休暇・子の看護休暇・介護休暇の拡充
2013年7月
  • 育児・介護など短時間勤務制度の見直し
2016年7月
  • 特に配慮が必要な社員を対象とした看護休暇などの拡充
2017年1月
  • 介護休職・介護短時間勤務の取得回数制限撤廃
2017年7月
  • 東京・大阪本社を対象としたコアレスフレックス制度の導入
2019年10月
  • 育児・介護を行う社員への在宅勤務制度の対象拡大
2020年4月
  • 1時間単位の取得が可能な時間単位年休制度の導入
  • 勤務間インターバル制度の導入
2020年7月
  • 在宅勤務制度の育児・介護要件の撤廃
2021年1月
  • 時間単位看護・介護休暇の導入
2021年7月
  • 介護関連諸制度の拡充
2023年7月
  • 配偶者海外転勤同行休職制度の導入
2024年10月
  • 別居婚の従業員に対する単身赴任制度の適用を開始
2025年4月
  • 育児短時間勤務制度等の子の対象年齢を拡大

仕事と家庭の両立支援制度 主な制度内容

制度名 制度内容
産前産後休暇
  • 産前休暇は出産予定日の8週間前(多胎妊娠は14週間前)から産前休暇を取得可能。
  • 産後休暇は出産後8週間休暇付与。
育児休職
  • 保育所を利用しようとする場合、子女が満2歳に到達した月の末日まで取得可能。
配偶者出産休暇
  • 配偶者が出産する場合に3日間の休暇を取得可能。
産後パパ育休
  • 子の出生日または出産予定日のいずれか遅い方から8週間以内に4週間まで取得可能。
育児短時間勤務
  • 子女が小学6年生の年度末に達するまでの間、15分単位で最大2時間/日の短縮が可能。
  • フレックスタイム制度との併用が可能。
育児時間
  • 1歳に満たない子を育てる女性従業員は、1日に2回、各1回30分の育児時間を受けることが可能。
キッズサポート休暇
  • 子女が小学6年生の年度末に達するまでの間、1子につき5日/年の休暇を取得可能。
  • フ時間単位での取得も可能。
介護休暇
  • 対象家族1名につき、5日/年の休暇を取得可能。
  • 時間単位での取得も可能。
  • ほかに妥当な介護人がいない場合、最大10日/年を追加。
介護休職
  • 1事由につき通算365日まで取得可能。
  • 分割取得が可能。
介護短時間勤務
  • 1事由につき、初回の利用開始日から5年間で複数回数取得可能。
  • 分割取得が可能。
  • フレックスタイム制度との併用が可能。
東レスマイルサポートプラン
  • 育児・住宅取得支援に重点を置いた、メニュー選択型の福利厚生ポイント制度。
ベビーシッター費用補助
  • 委託先会社が発行する育児クーポンを利用することで、割引価格で利用することが可能。東レスマイルサポートプランで付与されたポイントも活用可能。(対象企業のサービス料が70%引き)
  • 枚数・対象と子女の年齢制限なし。
在宅勤務制度
  • 担当業務に習熟し、自律的に業務遂行ができる者で、一定の要件を満たす場合、利用可能。
  • 制度利用者として認定された者は、3日(22.5時間)/週かつ10日(75時間)/月を上限に終日利用・時間単位での利用の双方が可能。本人から特段の事情により上限を超えた利用の申し出があり、マネジメント上問題ないと判断した場合は、上限を超えた利用が可能。
再就業希望社員登録制度
  • 結婚・出産・育児・介護・配偶者の転勤のため、やむを得ず退職した社員を対象に、再就業の機会を提供。
  • 登録期間10年間。仕事内容・役割期待、本人状況により、当初から正社員としての再就業も可能。
新幹線(特急通勤)制度
  • 人事異動に伴う単身赴任の回避(解消)を希望する者または介護等の家庭責任を有する者は、一定区間の新幹線(特急)通勤が可能。
  • 事由に応じ、本人の費用負担有り。
配偶者海外転勤同行休職制度
  • 配偶者の海外転勤などへの帯同(6カ月以上の海外滞在)を希望する場合に取得可能。
  • 最長4年間の取得が可能。
別居婚の従業員に対する単身赴任制度の適用
  • 結婚後も配偶者と別居状態が続く場合、特例として単身赴任手当・帰宅旅費を支給。

なお、社員が利用出来る保育所の施設として、コンソーシアム型事業所内保育所(キッズスクウェア日本橋室町)があり、東京日本橋近辺勤務の東レグループ社員が利用出来ます。

2024年度の各職場での取り組み事例

育児・介護に関する座談会を開催(東レ(株)瀬田工場)

女性活躍推進、両立支援推進活動の一環として、育児座談会や介護座談会を開催しました。 育児座談会には、関係会社の社員も含め15名が参加しました。子育て中の社員、育児未経験で子育てに不安を抱える社員、単身赴任中で育児に参加できる時間が限られ悩んでいる社員、そして育児を終えた先輩社員がコメンテーターとして参加するなど、さまざまな境遇の参加者が揃いました。それぞれの視点から意見が飛び交う賑やかな会となりました。
介護座談会には、関係会社の社員も含め10名が参加しました。参加者からは、「介護休暇制度を上手に使い介護に備えること、一人だけで悩み過ぎないことが大切」や「遠方の両親の将来に不安を感じていた中、多くの制度を知り不安が軽減した」といったコメントがありました。

育児座談会の様子育児座談会の様子
介護座談会の様子介護座談会の様子

東海市主催・NPO法人SmileyDream委託「育休からの職場復帰準備講座」にて東レグループ社員が講演(東レ(株)東海工場)

育休からの職場復帰準備講座の様子育休からの職場復帰準備講座の様子

愛知県東海市が子育て支援事業の一環として開催している「育休からの職場復帰準備講座」にて、東レコムズ名古屋(株)および東レ・デュポン(株)の社員が講演しました。
東レ(株)の両立支援に関する取り組みを紹介し、育児休職後に職場復帰した際のリアルな体験談や上司の生の声などを伝えました。本講座の参加者は第1子の育児休職中の方が中心でしたが、参加者からは大変多くの好評をいただきました。

育児休職・介護休職の利用実績(東レ(株))

2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
育児休職利用者 女性 56人 46人 51人 40人
男性 40人 82人 95人 108人
介護休職利用者 女性 2人 2人 1人 1人
男性 1人 1人 1人 2人
  • 各年度に休職を開始した人数

育児休職・介護休職からの復職者数(東レ(株))

育児休職からの復職率

■報告対象範囲
東レ(株)在籍社員
■目標
2024年度 / 100%

実績(2024年度)

99%

2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
復職者数 復職者率 復職者数 復職者率 復職者数 復職者率 復職者数 復職者率
育児休職 女性 59人 98% 52人 100% 37人 100% 34人 97%
男性 38人 100% 77人 100% 95人 99% 95人 100%
介護休職 女性 2人 100% 2人 100% 0人 1人 50%
男性 1人 100% 1人 100% 1人 100% 2人 100%
  • 各年度に復職した人数・復職率

参考:
2023年度育児休職復職者の12カ月経過時点での定着率
女性:97.2%
男性:92.6%

男性の育児休職と育児目的休暇の取得率(東レ(株))

男性の育児休職と育児目的休暇の取得率

■報告対象範囲
東レ(株)在籍社員(海外勤務者除く)
■目標
2024年度 / 対前年比向上

実績(2024年度)

対前年比106%

2022年度 2023年度 2024年度
男性の育児休職と育児目的休暇の取得率 81.6% 86.8% 91.6%

配偶者出産休暇の取得実績(東レ(株))

2021年度 2022年度 2023年度 2024年度
配偶者出産休暇取得者 220人 233人 203人 183人
  •  育児休職には、産後パパ育休を含む。
    育児目的休暇とは、配偶者出産休暇を指む。

男性社員の育休取得促進の取り組み(東レインターナショナル(株))

東京都から授与された「TOKYOパパ育業促進企業登録証」東京都から授与された
「TOKYOパパ育業促進企業登録証」

東レインターナショナル(株)では、男性社員の育休取得促進に力を入れており、社外講師を招いたセミナーの開催や、男性社員の育休取得事例を社内イントラネットで連載するなど、継続的に取り組んでいます。これらの取り組みの結果、「令和6年度『TOKYOパパ育業促進企業ブロンズ』」に登録されました。

時間外労働の削減、年休取得の促進に向けた取り組み(東レ(株))

法定外労働時間45時間/月超過社員数の低減

■報告対象範囲
東レ(株)
■目標
2024年度 / 対前年比低減

実績(2024年度)

対前年比120.3%

組合員年休取得率

■報告対象範囲
東レ(株)
■目標
2024年度 / 90%

実績(2024年度)

93.7%

東レ(株)では、過重労働を防ぐための取り組みに留まらず、社員の意識改革を通じて労働生産性や競争力を高められるよう、ワークライフバランスを職場イノベーションと位置付けて働きやすい就労環境を整備しています。具体的な取り組みとして(1)各職場での話し込みを通じた働き方に関する意識改革、(2)深夜残業・休日出勤の原則禁止、(3)一定時間での一斉消灯、(4)全社一斉早帰りデーの実施(1日/月の設定)のほか、時間外労働の削減や年休取得の促進にも継続的に取り組んできました(2024年度組合員年休取得率:93.7%)。
また、長年にわたりワークライフバランスの促進にフォーカスした協議を行うための労使委員会を設置しており、各制度の整備・運用の充実に取り組んでいます。同委員会では、仕事と家庭の両立支援、長時間労働削減、メンタルヘルスケアの充実、健康的な就労生活への支援などの各取り組みのフォロー、さらなる取り組みの検討を行うとともに、あるべき働き方(求められる働き方、労働条件、労使ルール)について現状分析と課題の確認を行い、施策の検討・立案を行っています。

健康増進の取り組み

東レ(株)では、従業員の健康管理を経営的視点で考え、従業員の健康に配慮した職場環境および誇りとやりがいのある職場風土を実現するために戦略的に取り組んでいます。例えば、過重労働の防止や職場環境・社内風土の改善に向けて各事業(工)場労使が一体となって取り組むとともに、特に健康増進施策については、全社の安全衛生活動の枠組みの中で実行計画を策定・推進し、その取り組み結果を確認しています。当社の活動は、各事業(工)場における労務担当部署と健康管理スタッフが協働し、各職場の課題認識に根差した活動を起案・推進していく「現場主義」に特色があり、それらの活動は全社健康管理スタッフ会議を通じて各拠点の健康管理スタッフや労働組合、健康保険組合にも共有されます。また、同時にそれらの取り組みを安全衛生にかかる全社会議や執行役員会に報告し、全社的な活動に発展させていくことで、全社と各事業(工)場が各関係部署・組織を巻き込み一体となって取り組む体制を構築しています。
具体的な取り組みとしては、社内コミュニケーションツールでの健康情報の共有や、特定健康診査・特定保健指導の推進、メンタルヘルス不調の早期発見・未然防止に向けたセミナーの開催や、がん検診や人間ドックの受診促進など、健康保険組合と連携しながら積極的に健康増進施策を実践しています。
特にメンタルヘルスに関しては、2011年度より外部機関を活用した独自のストレスチェックを実施しており、社員自身のストレスへの気付きおよびその対処の支援、職場環境の改善につなげています。また、国内関係会社も同様のストレスチェックを実施しています。こうした取り組みが評価され、東レ(株)は2025年3月に「健康経営優良法人」に引き続き認定されています。

2024年度の各職場での取り組み事例

健康増進イベントの実施(東レ(株)岡崎工場)

べジチェック®(野菜摂取量)の測定べジチェック®(野菜摂取量)の測定

愛知県の野菜の摂取量が全国でも低位であるとの調査結果を受け、「育てる楽しみ、食べる栄養」をテーマに、野菜を中心とした健康促進イベントを開催しました。当日は社員食堂で野菜を多く使用した昼食メニューを提供するとともに、岡崎市保健所とコープ愛知の協力を得て、ベジチェック®測定、健康クイズ、空き地を利用した野菜の栽培活動紹介といった3つのブースを設置し、約160人が参加しました。

  • ベジチェック®は、カゴメ(株)の登録商標です。

産業医による講演会を開催(東レ(株)岐阜工場)

講演会の様子講演会の様子

毎年開催している産業医による講演会について、2024年度は「女性の健康と心のバランス」「健やかな肝臓を保つために」の2つのテーマで実施され、51人が参加しました。職場での配慮や健康管理の重要性について具体的な事例を交えて解説があり、参加者からは、健康の大切さを再認識した、世代やライフステージによる変化に気付かされたといった声が寄せられました。

ラジオ体操週間の実施(東レ(株)東京本社)

東京本社でのラジオ体操の様子東京本社でのラジオ体操の様子

事業(工)場では毎日行っているラジオ体操ですが、東京本社では毎日15時にラジオ体操の音楽が流れるもののなかなか浸透していません。本社はデスクワークが多く、運動不足に陥っている社員も多いため、ラジオ体操への積極的な参加を促すべく「ラジオ体操週間」を設定しました。改めて健康に目を向け、楽しんで参加することで、健康増進とコミュニケーション活性化や運動習慣の定着を図りました。

従業員に対する長期インセンティブとしての持株会制度

東レグループでは、従業員が株主として会社の経営に関心を持ち、長期的な業績・企業価値の向上を追求することを奨励すること、および従業員の財産形成に資することを目的に、長期インセンティブ制度として1968年から従業員持株制度を運用しています。保有株数に応じた奨励金率の設定や新規加入者への特別奨励金の導入など、制度の拡充を実施してきており、さらなる利用の促進を図っています。

労働組合との意見交換

東レ(株)は、年2回、常務執行役員以上と労働組合支部長以上が参加する中央労使経営協議会を開催しています。本協議会では、グループ全体の経営情報などを説明するとともに、継続して労働組合と意見交換をしています。
労使間の問題解決にあたっては、労使委員会に加えて、賃金や福利厚生など個別のテーマごとの専門委員会を労使で設置し、必要な施策について継続して協議を行っています。
なお、東レ(株)はユニオン・ショップ制を採用しており、管理職などを除くすべての正社員が東レ労働組合に加入しています。2025年3月時点での組合員数は7,762人となっています。

「CSRロードマップ 2025」におけるCSRガイドライン8「人権推進と人材育成」の主な取り組みはこちらをご覧ください。