CSR活動報告(各CSRガイドラインの活動報告) - 人権推進と人材育成
新しい価値を創造する人材の確保と育成
多様な人材の採用
東レグループでは、性別や国籍、新卒/キャリア採用を問わず、高い「志」をもってグローバルに活躍できる優秀な人材の確保に取り組んでいます。
東レ(株)では、グローバル化を推進していく上で、1998年から国籍を問わない採用活動を行っており、2022年度までに正社員として113名の外国籍社員の採用を行っています。日本への留学生を中心とした外国籍社員や、海外の大学を卒業した日本人留学生を積極的に採用し、それぞれが秀でた能力や個性を生かして活躍しています。また、キャリア採用にも積極的に取り組んでおり、入社後もキャリア採用者向け研修を実施するなど、育成フォローアップに取り組んでいます。
2018~2022年度の採用実績(東レ(株))
実績 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | |
---|---|---|---|---|---|---|
新卒 | 男性 | 224 | 244 | 176 | 123 | 110 |
女性 | 41 | 44 | 36 | 38 | 20 | |
合計 | 265 | 288 | 212 | 161 | 130 | |
キャリア採用 | 男性 | 55 | 37 | 9 | 13 | 53 |
女性 | 17 | 8 | 2 | 6 | 7 | |
合計 | 72 | 45 | 11 | 19 | 60 |
体系的・計画的な研修制度
東レ(株)では体系的な研修制度を整備し、あらゆる階層・分野の社員に対して、マネジメント力の強化、営業力・生産技術力や専門能力の向上、グローバル化対応力の強化などを目的としたさまざまな研修を計画的に実施し、次世代の経営を担いうる経営後継者の育成と、第一線の「強い現場力」を担う基幹人材層の拡大・底上げを図っています。
近年は特に、人材開発に資する研修体系の再整備を進めており、経営後継人材の育成を狙いとした「経営幹部育成研修」の新設、組織マネジメント力の強化に向けた「部長研修」「課長マネジメント力強化研修」の新設を行いました。併せて技術系・営業系の分野別専門研修において、DX推進を担う人材の育成に向けて複数の「DX研修」を立ち上げました。2022年度は、「実技を伴うあるいは討議中心の研修は集合、講義中心の研修はオンライン開催」の基本方針に基づき、集合時は徹底した新型コロナウイルスの感染防止対策を行い、すべての研修を実施しました。2022年度の東レ(株)社員ひとり当たりの教育投資額は前年度の58,899円から65,017円となりました。
また、世代を問わず、あらゆる人が自分の能力・スキルを定期的にアップデートしていくため、チャレンジ講座(サブスクリプション型eラーニング)の新設など自己啓発プログラムの充実化を図り、研修だけでなく、さまざまな人事制度を採用しており、新しいことに果敢にチャレンジする人が、より活躍できる活性化された組織風土づくりを推進しています。
2022年度全社研修開催・受講状況(東レ(株))
研修区分 | 受講人数 | ひとり当たりの 研修受講時間(時間)※1 |
||
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男性 | 女性 | 計 | ||
マネジメント研修 | 699 | 59 | 758 | 44.8 |
技術系共通研修 | 620 | 84 | 704 | 29.0 |
営業・管理系共通研修 | 262 | 74 | 336 | 20.2 |
グローバル研修 | 74 | 12 | 86 | 50.2 |
計 | 1,655 | 229 | 1,884 | 34.7 |
- ※1 東レ総合研修センターにおける集合教育の受講時間。通信課題学習や留学などの時間は含まない
東レグループの現場力向上を担う現場リーダーを育成する「東レ専修学校」
東レ(株)では、東レグループの現場力向上を担う高い志を持ち、自ら考え行動する人材の育成を目的に、若手社員や国内関係会社の社員が受講可能な研修の場として「東レ専修学校」を1994年9月に開校し、28期までに815名の卒業生を輩出しました。
授業は、数学や英語などの一般科目のほか、高分子化学や工務基礎、ロボット工学などの専門科目や、より実践的なグループワーク形式の課題解決演習、化学実験なども行っています。在籍期間の1年間、各々が「自ら考え行動することができる現場リーダー」を目指し、あらゆる機会を捉え自己の修練の場として取り組んでいます。
さらに専修学校では、近い将来の掛長候補者を対象とした「現場力強化スクール」を2022年10月に新たに開講。リーダーシップ、チームビルディング、フォロワーシップ、働きかけ力などのソフトスキルを、自部署課題解決の実践を通じて習得します。カリキュラムでは、チームを作り、ビジョンを共有するとともに、実践して上手くいかなかったことを成果と捉え、このプロセスを評価する新しい方法を導入しています。社会人基礎力を習得し、新たな時代を生き抜く現場リーダーを育成しています。
主な人事制度(東レ(株))
目標管理制度※2 | 年度ごとに各人の目標を設定し、期末に上司・本人とで達成状況を振り返る。 |
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人事評価制度※2 | 職務・職責や能力・成果※3など貢献度に応じた公正な人事評価を実施。 |
個別面談制度※2 | 年2回上司との個別面談を実施。評価の納得性向上や個人の育成に努めている。 |
自己申告制度(管理・専門職、Gコース対象) | 本人の異動希望、職務経歴などを毎年1回調査し、個別の人事異動につなげている。 |
キャリア・アセスメント制度(Gコース対象) | 業務発表と人事面接による複眼審査を定期的に実施。将来の育成方向を見極める。 |
社内公募制度 | 社員の主体的なキャリア形成を支援し、最適配置の実現を図るため毎年実施している。 |
- ※2 管理・専門職・Gコース・Sコース従業員の100%が対象
Gコース : 将来の東レG経営幹部層もしくは高度専門職を目指すコース
Sコース : 将来の職場における管理・監督層または特定業務分野のエキスパートを目指すコース - ※3 CSRに関する課題への取り組みも含む
新人事情報システムを活用した基幹人材のキャリア形成の取り組み(「キャリアシート」の実施状況)(社員数・%)
- ■報告対象範囲
- 東レ(株)
- ■目標値
- 2022年度 / 100%
実績値(2022年度)
100%
東レ(株)では、本人の成長を促すための人材育成ツールとして「キャリアシート」を導入しています。「キャリアシート」では、社員自身がこれまでの業務経験や、所属する分野で求められるスキルの到達レベルを振り返るとともに、上司・部下間での面談を通じてキャリアに関する話し込みを行っています。
2020年度は事務系Gコース社員を対象に先行実施しましたが、2021年度以降、対象を技術系Gコース社員に拡大し、2022年3月時点で対象者全員に展開しました。
東レグループの次世代経営リーダーの育成
東レグループでは、次世代の経営を担いうる後継候補者を計画的に育成するために、次世代経営リーダーを育成する研修を実施し、すでに多くの修了生が経営リーダーとして活躍しています。2021年度には、経営後継人材の育成を狙いとした「経営幹部育成研修」を新設し、2022年度も新型コロナ感染対策を行いながら、各研修を継続開催しています。
次世代経営リーダーの育成施策
制度 | 対象者 | 目的 | 開設年 | 2022年度までの受講者数(累計) |
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経営幹部育成研修 | 東レ(株)部長層 | 東レ(株)および東レグループ各社の経営リーダーの育成 | 2021年 | 22人 |
東レ経営スクール(TKS) | 東レ(株)課長層 | 東レ(株)および東レグループ各社の次世代経営リーダーの育成 | 1991年 | 600人 |
東レグループ経営スクール(TGKS) | 国内関係会社部長層 | 国内関係会社を中心とする経営後継者の育成 | 2006年 | 328人 |
海外エグゼクティブセミナー(海外版TKS) | 海外関係会社役員層 | 海外関係会社の経営を担うローカル基幹人材の育成 | 2004年 | 98人 |
- 次世代経営リーダーの育成プログラムの総受講者数
- 延べ1,048人
東レグループでは、国・地域・文化・風土・会社の違いを超え、東レグループが共通した考え方でHR(Human Resources : 人材)マネジメントができるように、「東レグローバルHRマネジメント(G-HRM)基本方針」を取締役会決議を経て定めています。
東レグローバルHRマネジメント(G-HRM)基本方針2021年12月改定
東レグループが企業理念“わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します”を“Innovation(革新と創造)”の実践によって具現化し、さらなる飛躍と発展を遂げ、すべてのステークホルダーにとって高い存在価値のある企業グループであり続けるためには、人材こそが最も重要な経営資源であり、高い「志」を持った人材の確保と育成に注力していかねばなりません。
東レグループは今後ともグローバル事業拡大を一層推進していきますが、そのなかにあって国・地域・文化・風土・会社の違いを超え、全東レグループが共通した考え方でHRマネジメントができるように、G-HRM基本方針を以下のとおり定めます。
各社はこの基本方針に沿って、HRマネジメントの具体的な仕組みを段階的に構築・整備し推進していくことが求められ、同時に国・地域・文化・風土・会社の個別事情に根ざした各社固有のローカルHRマネジメントの利点も重視し、両者を適切に融合しつつ進めることが肝要です。
- 基幹人材の安定的確保と長期人材育成
- (1)中長期的な視点を踏まえ、基幹人材を一定規模安定的に採用する
- (2)個々のキャリア形成を重視し、上司と部下が育成状況やキャリアの話し合いを充実させる仕組みを活用して、OJT(On-the-Job Training)を基本にOff-JT(研修)および自己啓発を通じた長期人材育成を図る
- (3)業務遂行に当たっては、目標による管理と人事評価を通じたフォローアップにより育成を図る
- グローバル競争に打ち勝つ人材の選抜と育成
- (1)東レ理念に共感する多様で優秀な人材をグローバルに確保・育成する
- (2)選抜された人材に対して高度な研修機会とグローバルなキャリア機会を提供する
- (3)グループ経営の一翼を担える人材を各社トップマネジメント層へ登用するとともに、東レ本社の中核ポスト並びに経営層への登用、選抜を行う
- 適材適所の追求と公正性・納得性・透明性の向上
- (1)能力と実績を重視し、人と組織にとって最適な職位登用を行う
- (2)例月給与・賞与等の賃金を決定する際には、職責・役割、職務遂行能力、目標による管理に基づく評価等を勘案し、公正性・納得性・透明性をもった制度運用を行う
- (3)チャレンジを重視するとともに、チームへの貢献にも配慮した人事管理・処遇施策を展開する
- 企業体質強化のための多面的な施策の継続実行
- (1)要員管理と労働コスト管理を会社全体としてメリハリを利かせながら継続して行う
- (2)フラットで効率的な組織構造と適正な管理職層規模を常に維持する
- (3)多様な働き方を適切にマネジメントすることで強靱な組織を形成する
海外ナショナルスタッフ基幹人材の計画的な確保、育成、登用
東レグループは、経営課題のひとつに海外関係会社での経営基幹人材の育成強化を掲げ、各社で雇用した人材(ナショナルスタッフ)を経営層に積極的に登用しています。また、東レ(株)本社の中核ポスト・経営層への登用も進めており、2022年度は2人の海外基幹人材が東レ(株)の執行役員として、6人の海外基幹人材が理事(職務内容および責任の程度が「役員」に相当する職位)として東レグループの経営に参画しています。
育成・登用にあたっては、中長期的な視点で後継計画および育成計画を検討し、計画的な人材配置により重要な経営課題にあたらせることを目的として、「人材中期計画」を策定しています。東レグループ全体の基幹ポストについて後継候補者の過不足を検証するとともに、海外ナショナルスタッフを含めた次世代経営リーダーの個別育成計画を策定することで、事業戦略を実現するための人材戦略を推進しています。これらのほか、各国内や国際間のローテーションを通じたキャリア形成などを図り、計画的な人材育成を行っています。
また、人材育成は、OJTとOff-JTの両輪で行っています。Off-JTでは各社での研修に加え、経営理念や方針の理解を深めるための階層別日本研修プログラムによる研修を実施し、個人の長期育成計画と連動させています。また各国・地域では、東レ(株)本社も企画に参画し、各国・地域の事情やニーズに応じたカリキュラムを編成したマネジメント研修を定期的に実施しています。
2022年度海外各社基幹人材向けグループ共通研修実績
日本開催研修
研修名 | 対象層 | 受講人数 |
---|---|---|
海外幹部研修 | 部長層 | 18 |
海外トレーニー研修 | 課長層 | 15 |
研修受講人数合計 | 33 |
現地開催研修
研修名 | 対象層 | 受講人数 |
---|---|---|
米国マネジメント研修 | 課長層 | 17 |
マレーシアマネジメント研修 | 部長・課長層 | 15 |
華東・華北マネジメント研修 | 部長・課長層 | 25 |
華南マネジメント研修 | 部長・課長層 | 29 |
研修受講人数合計 | 86 |
海外幹部研修の開催 (東レ(株))
海外幹部研修は、東レグループ海外各社の幹部社員(主に部長層)を対象に、東レ経営方針・戦略や東レ式マネジメントの理解を向上させ、リーダーシップを発揮し、現地会社を牽引する人材の育成を目的とした研修です。1996年のスタート以来、延べ300人以上のナショナルスタッフが受講しています。
2023年には、新型コロナウイルスによる渡航制限解除後、初めての東レ総合研修センターでの対面開催とし、感染対策を万全に行い実施しました。3月6~10日の5日間にわたって「2022年度 海外幹部研修」を開催し、米国、メキシコ、イギリス、フランス、ドイツ、スイス、チェコ、ハンガリー、マレーシアの9カ国14社から18人が受講しました。
受講生は本研修を通じ、東レおよび東レ式マネジメント(「東レ理念」、経営戦略、コンプライアンス、品質保証など)への理解を深め、また社外講師セッションでは自身のマネジメントスタイル、国民文化の影響および自己の文化的バイアスについて認識し、さまざまな場面における効果的なリーダーシップを発揮する方法や、東レの企業文化への理解を深めるとともに、東レの企業文化に即した形で自社組織を強化していくためのアクションプランを各自作成しました。また、研修を対面で実施したこともあり、受講生同士の積極的なコミュニケーション機会となり、人脈形成を行う上でも有意義な時間となりました。
米国マネジメント研修の開催
(Toray Industries (America), Inc.(米国)<TAM>)
TAM社では、Toray Composite Materials America社(CMA社)の協力を得て、Tacoma工場にて、「第14回米国マネジメント研修」(2023年1月31~2月2日)を開催し、Toray Resin 社(TREC社)、 Toray Plastics (America)社(TPA社)、 CMA社、Zoltek Companies社(ZOLTEK社)、Toray Advanced Composites USA社(TACUS社)、 Performance Materials社(PMC社)の米国東レグループ6社から17人 が参加しました。
本研修は課長・主任層を対象とした3日間の研修で、(1)東レ式マネジメント(安全管理、企業倫理・法令遵守、コスト管理、人事労務管理)の理解、(2)人材・組織管理スキルの向上、を目的として実施しています。各分野の社内講師による講義やグループ討議・発表のほか、リーダーシップ講義、CMA社工場見学も行いました。人的ネットワークを築く機会にもなっています。
「CSRロードマップ 2022」におけるCSRガイドライン8「人権推進と人材育成」の主な取り組みはこちらをご覧ください。