一人ひとりが倫理・コンプライアンスを尊重する企業風土の醸成

倫理・コンプライアンス行動規範

東レグループの役員・社員が守るべき重要なルールとしての行動規範や、ヘルプライン、倫理・コンプライアンス推進体制などをまとめた「倫理・コンプライアンス行動規範」(2023年6月改定)を定め、その内容については、社長を委員長、執行役員を委員とする倫理・コンプライアンス委員会において定期的に見直し、本委員会を通じて取締役に報告しています。また、本行動規範を東レグループのすべての役員・社員(嘱託、パート、派遣を含む)に周知徹底しています。

  1. 1. 安全・環境に関するコンプライアンス
    1. (1)安全な労働環境の構築
      安全な設備・作業環境・作業手順を整備し、自身や仲間の安全と健康を守るために、関連法令や関連する社内ルールを遵守し、トータルゼロ災を目指して安全先取り活動に継続的に取り組まなければなりません。
      メンタルヘルス面での健康の確保のため、管理者と社員が密接にコミュニケーションを取ることによって、明るく、健康的な職場風土を醸成するよう努めなければなりません。
    2. (2)地球環境の保全
      地球環境をより良い状態に保全することが自らの義務であるとの自覚のもと、環境・防災・化学物質関連の法令や、関連する社内ルールを遵守しなければなりません。
      企業活動や提供する製品・サービスが地球全体の環境にできる限り負荷を与えないよう最大限の努力をするとともに、生物多様性の保全と持続可能な利用に努めなければなりません。
  2. 2. 品質に関するコンプライアンス
    1. (1)安全でお客様の要望に応える製品の提供
      安全でお客様の要望に応える優れた製品を提供し続けることができるよう、安全性に関する法令を遵守し、法令が作られた精神に則って安全性を確保しなければなりません。また、お客様の要望を適切に把握し、それに応える設計・製造・提供を行わなければなりません。万一問題が生じた場合には、迅速な対応を取らなければなりません。
    2. (2)適正な品質データの管理
      お客様との約束を守り続けることができるよう、品質データは約束通りのやり方で取得・保管・確認し、必要なものは正しくお客様にお伝えしなければなりません。品質データの偽装・改ざんは、会社として決して容認しません。
  3. 3. 人権に関するコンプライアンス
    1. (1)社員の人格・個性の尊重
      すべての社員の人格を尊重し、不当な嫌がらせや差別をしてはいけません。
      社員一人ひとりのプライバシーを尊重し、個人の情報を扱うにあたっては慎重かつ細心の注意を払い、その適切な管理に努めなければなりません。
    2. (2)ハラスメント・差別の禁止
      セクシュアルハラスメント、マタニティハラスメント、パワーハラスメントなどのハラスメントおよび差別については、会社として決して容認しません。
    3. (3)すべてのステークホルダーの人権尊重
      人権侵害や人権侵害への加担をすることがないよう、人権に関する国際規範を尊重し、「東レグループ人権方針」に則った行動を取らなければなりません。
  4. 4. 公正な企業活動に関するコンプライアンス
    1. (1)公正な競争
      購入、販売、開発、生産等の活動において、カルテルなどの不正な競争手段による共同行為や、顧客、サプライヤー、取引先に対する不公正な取り扱い、その他各国の独占禁止法に違反する行為をしてはいけません。
      国内外の公務員や取引先との間での賄賂の支払いや受け取りをはじめとする、あらゆる形態の贈収賄行為その他の腐敗行為をしてはいけません。また、政治献金や寄付を実施する場合には、法令や社内ルールを遵守しなくてはいけません。
      製品やサービスの品質や性能、価格などに関する表示は適正に行い、取引先や利用者に誤解を与えるような表示を行ってはいけません。
    2. (2)適正な取引と資産管理
      仕入れ、販売、経費の支出を始めとするすべての取引は、法令や会計規則に則り適正に行わなければなりません。
      棚卸資産、固定資産等の会社資産は、業務を目的として正しく管理・使用し、保全しなければなりません。
    3. (3)適正な輸出入管理および安全保障貿易管理
      製品、サービス、機器・資材、サンプルなどの購買や輸出入、技術の外国への提供を行う際は、社内ルールに則り、所在する国の関連法令を遵守し、国連や米国の制裁措置等に抵触しないように、適正な輸出入管理および安全保障貿易管理を行わなければなりません。
    4. (4)その他法令の遵守
      法令に違反すると会社の信用が損なわれることを認識し、あらゆる法令を遵守しなければいけません。例えば、次のような法令の遵守が強く求められています。
      - インサイダー取引の禁止
      - 反社会的勢力との関係遮断
      - 利益相反行為の禁止
  5. 5. 知的財産権に関するコンプライアンス
    1. (1)他者の知的財産権の尊重
      他者の知的財産権を故意に侵害しないだけでなく、調査不足などの不注意により侵害してしまうことがないよう、十分に注意しなければなりません。
  6. 6. 情報に関するコンプライアンス
    1. (1)情報の管理
      業務を通じて知り得た自社および他社の秘密情報については、在籍中はもちろん、退職後も、これを他の目的に流用したり、公開したり、第三者に開示したりしてはいけません。
      業務の上で個人情報を取り扱う際には、個人情報の保護方針に則り、慎重かつ適切に取り扱わなければなりません。
    2. (2)適正な情報公開
      法定開示を遵守し、公正かつ適時適切な情報開示を行うために、情報公開原則に則り情報開示に取り組まなければなりません。

「倫理・コンプライアンス行動規範」の配布

国内・海外
100%

本行動規範は、各国の東レグループ社員が理解できるように8ヵ国語(英語・中国語・韓国語・タイ語・マレーシア語・インドネシア語・スペイン語・ハンガリー語)に翻訳し、配布しています。

重大な法令・通達違反

重大な法令・通達違反件数

■報告対象範囲
東レグループ
■目標
2024年度 / 0件

実績(2024年度)

0

倫理・コンプライアンス教育の取り組み

重要法令、その他コンプライアンスに関する情報発信・教育の実施率(社数・%)

■報告対象範囲
東レグループ
■目標
2024年度 / 100%

実績(2024年度)

100%

東レ(株)では、社内イントラネット上に「CSR・法令遵守共通情報」を設置して情報を共有しています。さらに、東レグループ全体では、業務と密接に関連する国内外の重要な法律・コンプライアンス情報を発信し、各職場における勉強会や企業不祥事の事例研究会の開催など、職場での話し合いを推進しています。
2012年度から、東レ(株)のすべての役員・社員(嘱託、パート、派遣を含む)を対象に「東レ 倫理・コンプライアンスeラーニング」を継続的に実施し、当社の行動規範や内部通報制度浸透に向けた説明のほか、贈収賄防止や人権・ハラスメントに関する事例学習など、年度ごとにテーマを設定して実施しています。2024年度は、「倫理・コンプライアンス行動規範」および東レグループの内部通報制度をテーマに実施し、対象者の99.8%が受講の上、「倫理・コンプライアンス行動規範」の内容を理解し遵守する旨の署名を実施しました。さらなる浸透に向けて、引き続き情報発信・教育を進めていきます。また、国内関係会社においても、同様の教材を活用し、教育を実施しています。
さらに、東レ(株)では従業員個人の倫理・コンプライアンスに関する取り組みを個人の評価および報酬と紐づけるため、業績評価における評価基準に、「安全・CSR・品質保証・コンプライアンス」の評価項目を設けています。

2024年度の各職場での取り組み事例

コンプライアンス意識向上座談会を開催(東レ(株)那須工場)

CMを見て意見を取りまとめる参加者CMを見て意見を取りまとめる参加者

管理職と組合員層を対象に、コンプライアンス意識向上を目的とした座談会を実施しました。
「アンコンシャス・バイアスに気付くこと」をテーマに、異なる時期に放送されたインスタントラーメンのCMを3本視聴し、部署横断のグループで意見交換を行いました。
参加者からは、過去のCMに見られる性別役割の偏りに気付いたという声や、時代に流されず本質を見極めることの重要性を指摘する意見が出ました。活発な議論を通じて、他者の視点や自身の無意識の偏見に気付く機会となりました。

タイ東レグループでコンプライアンス研修を実施(Toray Industries (Thailand) Co., Ltd.(TTH社))

コンプライアンス研修の参加者コンプライアンス研修の参加者

タイ東レグループ各社の若手社員と新入社員を対象に、対面とオンラインを併用したコンプライアンス研修を実施し、合計220人が参加しました。
TTH社のコンプライアンス部長が講師を務め、東レグループで過去に発生した不祥事の事例や、グループ全体で推進している「ミッションBEAR」活動、さらにタイ東レグループにおける具体的な取り組みについて説明を行いました。
後半のグループワークでは、参加者が積極的に意見を交わし、コンプライアンスに対する理解を深めました。

内部通報制度の整備と運用

2003年度に構築した内部通報制度「企業倫理・法令遵守ヘルプライン」を、2010年度から国内関係会社も含めて運用しています。2022年には、同年6月に改正施行された公益通報者保護法を踏まえて社内規程を整備し、内部通報制度の利用者に役員、退職後1年以内の従業員等および取引先を追加し、公益通報関連の業務に対応する者(公益通報対応業務従事者)の指定に関する規定を追加するなどの改定を行いました。さらに、内部通報制度の利用を促すため、内部通報制度の利用案内に利用例を記載するなどの工夫を行いました。
東レ(株)では、社内の通報・相談窓口として、各事業場・工場に窓口を設置しているほか、倫理・コンプライアンス委員会事務局宛の専用連絡ルート(Eメール、社内イントラネット上の専用フォーム)を設けています。
国内関係会社でも、各社で社内窓口を設置しています。さらに、国内の東レグループ共通の社外窓口を設置することで、より通報(相談)しやすい仕組みとしています。
海外関係会社では、窓口を社内・社外・地域共通から選択して各社で順次設置してきました。2017年度にすべての会社で設置を完了し、運用を開始しています。各国・地域の法令や慣習などを踏まえて事情ヒアリングや調査を丁寧に行い、適宜、解決しています。
これらに加え、2016年度には、独占禁止法・贈収賄規制違反などの重大不正事案に関して、東レ(株)が東レグループ各社から直接通報を受け付ける「重大不正事案に関する内部通報制度」を導入し、東レグループ各社への周知を図っています。
2024年度は、東レグループ全体で計141件の内部通報(相談)を受け付け、懲戒処分に至った件数は不適切な費用処理等コンプライアンスに関する通報(相談)で6件、ハラスメント等人権に関する通報(相談)で7件、その他の通報(相談)で6件の計19件でした。なお、不適切な費用処理等コンプライアンスに関する通報(相談)のうち、利益相反、競争法(独禁法)違反、汚職または贈収賄、お客様のプライバシーデータ、およびインサイダー取引・マネーロンダリングに関する懲戒処分はありませんでした。通報(相談)者に不利益が生じないよう、細心の注意を払って事実関係を調査し、問題が確認された場合には、問題解決に向けた取り組みや就業規則などの各社社内規則に則った措置を進めました。

東レグループ全体の内部通報(相談)内容と件数
2020年度 合計74件 不適切な費用処理等コンプライアンスに関する通報(相談)15件 ハラスメント等人権に関する通報(相談)44件 その他の通報(相談)15件 2021年度 合計89件 不適切な費用処理等コンプライアンスに関する通報(相談)17件 ハラスメント等人権に関する通報(相談)49件 その他の通報(相談)23件 2022年度 合計97件 不適切な費用処理等コンプライアンスに関する通報(相談)24件 ハラスメント等人権に関する通報(相談)32件 その他の通報(相談)41件 2023年度 合計114件 不適切な費用処理等コンプライアンスに関する通報(相談)29件 ハラスメント等人権に関する通報(相談)50件 その他の通報(相談)35件 2024年度 合計141件 不適切な費用処理等コンプライアンスに関する通報(相談)29件 ハラスメント等人権に関する通報(相談)65件 その他の通報(相談)47件

なお、内部通報制度の運用状況(通報(相談)件数および内容など)は、倫理・コンプライアンス委員会を通じて取締役会および監査役会に報告しています。

内部通報制度の国内・海外関係各社への設置状況
100%
東レ(株)および国内関係会社における「企業倫理・法令遵守ヘルプライン」の通報(相談)対応ルート※1
東レ(株)および国内関係会社における「企業倫理・法令遵守ヘルプライン」の通報(相談)対応ルート
  1. ※1 東レグループ全体(海外を含む)における重大不正事実に関しては上記対応ルートに加えて、東レ(株)において通報受付・対応することとしています。

法務内部監査の実施

法務内部監査の実施率(社数・%)

■報告対象範囲
東レグループ
■目標
・東レ(株):100%
・国内関係会社、海外関係会社:リスクを有する会社を重点的に実施

実績(2024年度)

100

2024年度は、重要性が高い独占禁止法、贈収賄規制、インサイダー取引規制、契約書の締結について、東レ(株)の対象部署と国内関係会社および海外関係会社の対象会社の法務内部監査を実施しました。いずれの項目においても不適切な取引は発見されていませんが、教育活動や社内誌などでの情報発信により、今後も継続して法令遵守意識の徹底を図る予定です。

「CSRロードマップ 2025」におけるCSRガイドライン2「倫理とコンプライアンス」の主な取り組みはこちらをご覧ください。