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CSR活動報告(各CSRガイドラインの活動報告) - 良き企業市民としての社会貢献活動
2023年度に実施した主な活動
東レグループの教育支援活動
東レグループでは、小・中学生の段階から理科の勉強への興味・関心を高めるための理科教育や環境教育をはじめとして、キャリア教育や工場見学の受け入れなどサステナブルな社会を担う人を育てる教育支援活動を実施しています。
理科・環境教育支援(出張授業、教材提供)
東レグループでは、理科や環境に対する興味・関心を高めるため、自社製品を教材とした理科実験プログラムと環境教育プログラムを開発し、事業拠点近隣の小・中学校、高等学校で社員が講師となり、出張授業を行っています。コロナ禍からの回復に伴い学校からの申し込みも徐々に増加し、2023年度は19校で実施しました。
出張授業後に実施しているアンケートの結果、先生方の満足度は非常に高く、「子どもたちがキラキラした目で実験に取り組み、ろ過についての理解が深まった。(小学校教諭)」「本校が力を入れているSDGsについて考えるきっかけとなることも説明されていた。今の学習が将来の進路や就職、未来につながっていることを感じられた。(小学校教諭)」「現場や研究の最前線で働いている方のお話は、とても説得力や夢がある。とても素晴らしい授業だった。(中学校教諭)」などの感想をいただきました。講師を務めた社員のアンケートでも、「東レグループの取り組みを再認識する良い機会になった」「人にわかりやすく伝える良いトレーニングになった」など、良い影響をもたらしていることがわかりました。
また、教材提供(実験教材の無償貸し出し)も行っており、日本全国72校の小・中学校、高等学校で活用していただきました。教材は理科の授業に留まらず先生方の工夫によって、総合的な学習の時間や社会科、SDGsの学習、環境学習にも役立てていただいています。「教員でも簡易に使える教材は大変便利で、授業に組み入れやすい」と大変好評をいただいており、何年も繰り返し申し込みをしてくださる学校もあります。
講師を務める社員
■ 出張授業、教材提供に対する評価(アンケート結果)

1.仕事へのモチベーションにつながった



キャリア教育、企業見学その他さまざまな教育支援活動
東レグループでは、理科実験プログラム、環境教育プログラムだけでなく、地域の学校や教育委員会、NPO法人からの要請に協力して、キャリア教育や企業訪問の受け入れ、オンラインによる職業や事業に関するインタビューなどにも継続的に取り組んでいます。東レ(株)では、中学生や高校生に仕事の内容や、講師自身の学生時代の話など、子どもたちが将来の進路を選択するうえで参考となるようなキャリア授業や、東レグループのSDGsの取り組みに関する授業を実施しました。また、東レグループ各社で近隣の小・中学生、高校生の企業訪問や工場見学も受け入れを実施しました。
国内関係会社では、(株)東レリサーチセンターが、高等専門学校のアクティブラーニングに協力し、講義および技術的な見地からのグループワークのアドバイスをオンラインで行ったほか、各社がキャリア教育や工場見学などのさまざまな活動を行いました。海外関係会社でも地域の学生を対象に、各地でキャリア授業や、工場見学、安全・防災や環境に対する意識の醸成のための教育を実施しています。マレーシア東レグループでは、ペットボトルのリサイクルに関する講義をペナン州の小・中学校やペナン日本人学校で実施し、「人々の環境への関心を高める」ための環境教育に力を入れました。チェコのToray Textiles Central Europe s.r.o.でも、地域の学校の工場見学を積極的に受け入れました。
また、東レグループでは長きにわたり、スポーツ振興にも力を入れており、バレーボールチームの東レアローズ(株)をはじめ、剣道部などの運動部が、スポーツ指導や出張授業を通して子どもたちの育成支援に携わっています。
全国の中学校・高等学校の企業訪問を受け入れ、キャリア教育や東レグループのSDGsの取り組みについて講義を行いました。(東レ(株)CSR推進室)
近隣の小学校の工場見学を受け入れました。子どもたちは、普段見られない工場内の風景に興味津々の様子でした。(東レ(株)滋賀事業場、瀬田工場、千葉工場)
大学生の工場見学を受け入れました。コンセプトカー試乗や、製品サンプルに実際に触れてもらい、東レの研究開発業務と素材の力を生かした事業を体感していただきました。(東レ(株)名古屋事業場)
地域が誇る高い技術やイノベーションについて興味を持ってもらうために大学で講演を行い、炭素繊維の開発の歴史や、Decatur工場での事業活動の概要について紹介しました。(Toray Composite Materials America, Inc.)
UNIQLO Malaysia Sdn. Bhd. が古着回収プロジェクト「The Power of Clothing」の一環として企画したペナン日本人学校での教育に協力し、小学5年生~中学3年生に向けてペットボトルリサイクルに関する講義を行いました。(マレーシア東レグループ)
高校生に研究や技術開発の醍醐味や、社会での研究開発活動と高等学校で学ぶ化学・物理との関連性を実感し、将来の進路を考えるきっかけにしてほしいとの上海日本人学校からの依頼に対応し、見学を受け入れました。(東麗先端材料研究開発(中国)有限公司)
高校生から、「「&+™」の『回収ストーリーへの参加を促す取り組み』というコンセプトに共感した」とコンタクトいただいたことをきっかけに、生徒が通う学校にて回収ペットボトルから繊維ができる仕組みについてのレクチャーを行いました。(東レ(株)繊維サーキュラーエコノミー戦略室)
これから就職する地元高校生を対象に、福島県内にある製造業の魅力を伝える福島県主催の『感働!ふくしま』プロジェクトに協力し、福島県知事と地域の高校生の工場見学の受け入れを実施しました。(東レ建材(株))
近隣の工業高等学校を対象に職場見学会を開催しました。会社説明の後には、東レ(株)三島工場の協力のもと、繊維製造現場を見学しました。(東レエンジニアリング(株))
大阪府教育庁が推進する「わくわく・どきどきSDGsジュニアプロジェクト」に協力しました。大阪府内の中学校で、生徒たちが調べたり、考えたりしたSDGsの課題の解決策に対して、アドバイスをしました。(蝶理(株))
三島市内の小学校を訪問し体育の授業でバレーボールの基礎を指導しながら、ボールをつなぐ・思いをつなぐことの大切さや楽しさを伝えました。(東レアローズバレーボールクラブ静岡)
中学生にスポーツ選手を仕事とすることと働くことの意義について職業講話を実施しました。(東レアローズバレーボールクラブ静岡)
全国の自治体やバレーボール協会と協力し、バレーボール教室や学校訪問を行いました。(東レアローズバレーボールクラブ滋賀)
剣道部では、自身の稽古に取り組む傍ら、近隣の小・中学生を対象に剣道指導を行っています。剣道を通じ、子どもたちの育成や、地域の方との交流に取り組んでいます。(東レ(株)岡崎工場)
関連情報
「夏のリコチャレ2023」イベントの実施
東レ(株)は、内閣府男女共同参画局が中心となって進める「理工チャレンジ(リコチャレ)」の取り組みに賛同しており、中学生・高校生を対象に、東レ(株)滋賀事業場内にある未来創造研究センターで東レの研究や理工系の仕事について知ることができるイベント「夏のリコチャレ2023 科学の力で豊かな未来社会をつくろう 東レの研究体験コース」を開催しました。
未来創造研究センターの見学をはじめ、東レの素材を使ったオリジナルスタンプ作り、研究の仕事に関する講話、研究者との座談会を通じて、各研究所で働く社員と交流を深めました。参加した中学生・高校生からは、「研究者に興味があったので、実際に研究をしている方の話を聞くことができてよかった」「実際に実験をしている部屋を見ることができてワクワクした」などの感想をいただきました。
未来創造研究センターの見学
研究者との座談会
集合写真
教育界とビジネス界のコミュニケーションの促進
(一社)経済広報センター主催の「教員の民間企業研修」に協力し、静岡県教育委員会と連携して毎年10名程度の教員を受け入れています。研修では、当社が創業以来「人を基本とする経営」を掲げ人材育成に注力していること、また、工場の生産現場では従業員の安全はもとより、環境防災を最優先課題として社会の安全安心を守り、地域と共生していることを説明しています。受講された教員の皆さんは、講義、グループワークや現場見学から、企業が人材育成を重視し従業員一人ひとりを大切にしていること、製造業が地域とともに企業活動をしていることを理解し、学校教育との共通点や異なる点を発見されていました。本研修で得た学びや気付きを教育現場に持ち帰り生徒指導に役立てたいとの感想が毎回寄せられており、教員の皆さんにとって極めて有用な機会となっています。
(東レ(株)総合研修センター、三島工場)
人材育成に関する講義を受講
危険予知トレーニングの実施
科学技術館「実験スタジアム」ワークショップ
東レ(株)は2012年から、東京の北の丸公園にある科学技術館の実験スタジアムで、「【ろ過】で地球の水について考えよう!」と「せんいの不思議」という2種類のワークショップを毎日開催しています。2023年度は子どもから大人まで約6,500人の方が参加しました。
生物学オリンピックを支援

東レ(株)は、将来の生物学を担う人材育成に貢献するため、2007年から(公財)日本科学技術振興財団を通じて「国際生物学オリンピック(IBO)」への生徒派遣を支援しています。日本代表として4人の高校生が、アラブ首長国連邦アル・アインで開催された第34回大会に参加し、304人の高校生が参加する中、大変優秀な成績を収め、金、銀のメダルを2個ずつ獲得しました。
「青空サイエンス教室」の実施
東レ(株)は、子どもたちが理科に興味をもち、好きになるきっかけとなることを目指して、自然の中で遊びながら楽しく理科の原理を学ぶことができる体験型教室「青空サイエンス教室※1」を2015年から開催しています。2023年度は、河口湖の「森と湖の楽園」での屋外教室と、オンライン教室を開催し、合計180人の小学生が参加しました。
4年ぶりに宿泊を伴う形式で実施した野外教室では、東レの中空糸膜を使用して河口湖の水を浄化する「水浄化実験」や、自然界にあるものから色を作る「カラフルパレット作り」など、遊びながら理科の楽しさを体感できるよう工夫したオリジナルプログラムを実施しました。今回は、東レ所属のサニブラウン・アブデル・ハキーム選手を指導しているトレーナーから、もっと速くもっと遠くに飛ぶためのレッスンを取り入れました。サニブラウン選手もビデオメッセージで登場し、参加者にサイン入りステッカーをプレゼントしました。
オンライン教室では、事前に送付したキットを使って、東レの撥水テキスタイルに水を垂らし、はじかれた水が生地表面を転がる様子を観察する「水ダンス実験」、植物の成長をヒントにして飛行機をつくる「タネヒコーキ実験」、東レのナノ積層ポリエステルフィルム「PICASUS™(ピカサス)」を用いて色を作り出す「キラキラ分光実験」を行いました。
野外教室、オンライン教室ともに、活発な意見や質問が飛び出し、子どもたちの意識の高さや、目の付け所に驚かされるのと同時に、純粋なまなざしで取り組んでいる様子が伝わってくる企画となりました。
- ※1 青空サイエンス教室:東レ(株)が企画し、(株)リバネスがプログラムを監修する宿泊体験型教室を、(株)JTBが提供するプログラムの一環として実施。
水の浄化の仕組みを模型で確認
オンライン教室の参加者
参加者の集合写真
(公財)東レ科学振興会・海外の科学振興財団
東レグループは、企業理念「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」をイノベーションの実践によって具現化することを宣言しています。イノベーションを続けていくためには、それらを生み出す人材の育成・確保が必要です。そのため東レグループは長期的視点で、(公財)東レ科学振興会およびマレーシア、インドネシア、タイ、韓国の科学振興財団の活動を通じて、各国の基礎科学・理科教育の振興・助成に貢献しており、当社の社会貢献活動の柱の一つとなっています。
(公財)東レ科学振興会
(公財)東レ科学振興会は、1960年に科学技術および文化の向上発展に寄与することを目的として設立された財団法人です。設立当時は、企業財団の草分けとして大きな話題を呼び、基礎科学分野に特化した助成・顕彰や、他の財団にはない理科教育賞などの支援活動は現在も高い評価を受けています。
令和5年度贈呈式の開催
(公財)東レ科学振興会は、2024年2月、第64回東レ科学技術賞、東レ科学技術研究助成、第55回東レ理科教育賞を決定し、同年3月に、令和5年度贈呈式を開催しました。贈呈式では、文部科学大臣ならびに日本学士院長から祝辞をいただき、東レ科学技術賞受賞の吉村昭彦博士(慶應義塾大学医学部教授)および沈建仁博士(岡山大学異分野基礎科学研究所所長・教授)と、文部科学大臣賞をはじめとする東レ理科教育賞受賞の先生方に、賞状・メダル・副賞賞金を、科学技術研究助成の11人には総額1億3,000万円の助成金を贈呈しました。
(公財)東レ科学振興会会長の東レ(株)日覺会長は挨拶で、「SDGsに加え、日本には人口減少・少子高齢化への対応などの課題も山積しています。資源に乏しい我が国が心身ともに豊かな生活を維持し成長・発展を続けていくために、優れた科学技術の成果を生み出す基礎研究の重要性はますます高まっています。東レ科学振興会はこれからも、研究の助成事業そして研究者や先生方の顕彰事業を通じ、日本の基礎科学ならびに理科教育の発展・振興に貢献してまいります」と述べました。
挨拶をする(公財)東レ科学振興会会長の東レ(株)日覺会長
科学技術研究助成受領者との記念撮影

吉村 昭彦博士
「サイトカインシグナル制御機構とその病態生理学的意義」
サイトカインのシグナル伝達の主要経路とその制御メカニズムを発見し、疾患との関係をも明らかにしました。基礎研究から病態解明に至る本業績は、世界的に高く評価されています。

沈 建仁博士
「光合成における水分解反応及び光エネルギーの高効率利用機構」
光合成における水分解・酸素発生反応と光エネルギー捕集に関わる巨大膜タンパク質複合体の構造解明に卓越した成果を上げ、人工光合成の触媒合成に重要な設計指針を提供しました。
(公財)東レ科学振興会の特色とも言える、中学校・高等学校の理科教育において、創意と工夫により著しい教育効果をあげた先生方の顕彰である「東レ理科教育賞文部科学大臣賞」は、佐野市立西中学校教頭の篠﨑淳氏が受賞しました。

篠﨑 淳氏
「太陽の動きとエネルギーの観測を通した学習活動の深化」
太陽の運動と太陽光入射の学習のために、観測者の地球上の位置に応じて調整可能な日時計セットの作製と、太陽光入射角と獲得エネルギー量の赤外線放射温度計による経時測定装置の開発とを組み合わせた点が評価されました。
関連情報
マレーシア東レ科学振興財団
Malaysia Toray Science Foundation <MTSF>
MTSFは、2023年10月にクアラルンプールで「第30回マレーシア東レ科学振興財団贈呈式」を開催し、総額30.9万リンギット(約988万円)の賞金・助成金をマレーシアの科学者2人、若手研究者12人、理科教育者13人の合計27人に贈呈しました。
第30回の記念すべき式典は、マレーシア科学技術イノベーション省のChang大臣、高橋駐マレーシア日本国大使をはじめ、約140人の出席のもと、盛大に執り行われました。
Chang大臣と高橋大使から、MTSFが30年にわたりマレーシアの科学技術の発展に多大な貢献をしてきたことを称賛いただき、来賓として出席した東レ(株)谷口専務は、「東レは『わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します』という経営理念のもと、これからもマレーシアの科学技術の発展を支えていくたゆまぬ努力を続けていきます」と祝辞を述べました。その後、Chang大臣にこのたび発行した『創立30周年記念誌』をお披露目し、ケーキカットを行いました。
受賞者との記念撮影
30周年記念誌のお披露目
インドネシア東レ科学振興財団
Indonesia Toray Science Foundation <ITSF>
ITSFは、2024年2月に「第30回インドネシア東レ科学振興財団贈呈式」を開催し、1件の科学技術賞、18件の科学技術研究助成、9件の理科教育賞の受賞者に総額10億3,000万ルピア(約995万円)の賞金・助成金を贈呈しました。
来賓として東レ(株)谷口専務が出席し、インドネシアの国家研究イノベーション庁長官も務める、ITSFのHandoko会長の挨拶で始まりました。また、正木駐インドネシア日本国大使からご挨拶をいただき、教育文化研究技術省高等教育研究技術総局のNizam局長代理からもお祝いのビデオメッセージをいただきました。
受賞者との記念撮影
東レ(株)の谷口専務と科学技術研究助成金の受賞者
タイ東レ科学振興財団
Thailand Toray Science Foundation <TTSF>
TTSFは、2024年3月に「第30回タイ東レ科学振興財団贈呈式」を開催し、個人1名、団体1機関の科学技術賞、20件の科学技術研究助成、8件の理科教育賞の受賞者に総額553万バーツ(約2,330万円)の賞金・助成金を贈呈しました。
贈呈式ではSuranaree工科大学のSuksun博士による受賞者代表スピーチで、TTSFからの表彰や研究助成によりタイ科学技術分野の優秀な人材を輩出しており、その厳正な選考・審査過程はタイの研究者に広く知られていること、また名誉ある賞を受賞できたことは大きな誇りであるとの謝辞が述べられました。そしてTTSF名誉会長である東レ(株)日覺会長から受賞者への祝辞と、TTSFの活動を通じタイ国科学技術振興を支援し、同国の発展に貢献していくこと、さらにサステナブルな社会の実現に向けてタイの皆さんとともに取り組んでいきたいとの挨拶がありました。最後に、式典委員長としてお招きしたSurayud枢密院議長からは、東レが長年にわたりタイで事業に取り組んできたこと、TTSFが30年間にわたりタイの科学技術の発展に貢献してきたこと、秀でた業績をあげた研究者への表彰に加えて、次代を担う若者を育てる取り組みを大切にしてきたことに深い感謝の言葉を頂きました。
挨拶をするTTSF名誉会長の東レ(株)日覺会長
科学技術研究助成金受賞者との記念撮影
韓国東レ科学振興財団
Korea Toray Science Foundation <KTSF>
KTSFは、2023年10月に「第6回韓国東レ科学振興財団贈呈式」を開催し、受賞者、学界および産業界、学生など約170人が参加しました。優秀な研究実績をおさめた2名を科学技術賞、新たな研究活動を開拓しようとする若き研究者5名をフェローシップに選定しました。科学技術賞受賞者には1億ウォン(約1,100万円)ずつ贈呈し、フェローシップとして選定した研究者へは、3年間、5,000万ウォン(約550万円)ずつ研究費を支援します。
なお授賞式では、張碩福KAIST特訓教授と趙吉元POSTECH教授をはじめとする過去5年間の科学技術賞およびフェローシップを受賞した6人が、これまでの研究成果を発表し交流する「学術シンポジウム」を開催しました。
授賞式に出席した東レ(株)日覺会長は歓迎の辞の挨拶にて、「KTSFが韓国の科学技術振興と人材育成に貢献し、韓国と日本の相互理解、友好・親善に寄与することを期待します」と述べました。
受賞者との記念撮影
学術シンポジウムの様子
地域の環境保全活動
東レグループ各拠点では工場緑化保全の活動に加え、市区町村やNPOと連携した河川・海岸の清掃や森づくりなどに継続的に取り組んでいます。
東レグループ・荒川クリーンエイド
東レ(株)東京本社では、2014年からNPO法人荒川クリーンエイド・フォーラムと連携し、地球環境や生態系への影響を学びながら荒川河川敷を清掃する「東レグループ・荒川クリーンエイド」を実施しています。この活動は単にごみを拾うだけではなく、「調べるごみ拾い」として、「川ごみ調査カード」にごみの種類を記録しながら細かく分別していくことが特徴です。清掃活動の前に、荒川クリーンエイド・フォーラムの環境講話を聴講し、河川や海洋ごみの現状や、ごみの生き物への影響、生き物が私たちの生活にどう関わっているかについて学ぶことで、清掃活動の意義や、身近な自然や生物多様性に関心を持つこと、プラスチックごみ問題が私たちの暮らしとどのようにつながっているかを知ることに大きな意義があると考えています。
以前は年1回の活動でしたが、参加者から好評を得ている活動であることから、より多くの人に参加の機会を提供するために、2023年度から年2回の活動を行っています。2024年4月に開催した第9回荒川クリーンエイドでは、東レグループ社員と社員家族に加え、2024年東レキャンペーンガールの間瀬遥花さんも参加し、総勢52人で清掃活動を行いました。燃やすごみ26袋、燃やさないごみ2袋、ペットボトル13袋、缶、びんなど11袋の合計52袋に加え、11個の粗大ごみを拾いました。実施後のアンケートでは、「環境講話が勉強になった。事前に聞くことで、清掃するときの意識が変わると思った」「清掃活動だけでなく、生態系などについても学べたのが興味深かった」「日頃関わりのない部署の人と、コミュニケーションをとりながら活動できて良かった」「自分の生活を振り返る良い機会となった」といった感想がありました。間瀬さんからも「初めての体験でしたが、なぜここにこんなものが落ちているのだろう、というごみが多くて驚きました」とコメントがあり、多くの参加者が共感していました。
全員で清掃活動
荒川に生息するさまざまな生き物を観察して、生物多様性保全の大切さについて考える自然観察教室
活動に参加する2024年東レキャンペーンガールの間瀬遥花さん
参加者全員の集合写真
企業緑地を活用した生物多様性保全活動
東レ(株)東海工場は、1971年の操業開始時から守り、育ててきた緑地を維持・育成するため、「東レグループ緑化ガイドライン」に基づく緑化推進、生物多様性保全と生態系の保護を目的とした取り組みを拡充し、社会貢献を強く意識した活動を展開しています。
知多半島臨海部の企業緑地群(グリーンベルト)の生態系ネットワーク形成と次世代の担い手育成を目指す「命をつなぐPROJECT※2」に参画し、地域の学生や、企業と行政、専門家などと連携しながら、自然共生・生物多様性保全活動を推進しています。企業緑地を学生の研究フィールドとして提供するなど、「緑地を活用した人材育成」にも取り組んでおり、緑地が地域社会とのコミュニケーションツールとしても重要な役割を果たしています。2023年9月には、「命をつなぐPROJECT」が主催する一般市民向け企業緑地体験イベント「LOVE! GREEN DAY2023」を開催し、地域の子どもたちとその保護者に加え、専門家や「命をつなぐPROJECT」学生実行委員会など総勢約40名を受け入れ、東海工場の生物多様性の取り組みの紹介や、水辺ビオトープでの生きもの観察などのフィールドワークを行いました。
生物多様性保全と次世代の人材育成という緑地保有の目的が評価された結果、東海工場は、公益財団法人都市緑化機構が運営する「SEGES※3(シージェス:社会・環境貢献緑地評価システム)」の「そだてる緑」部門において「Excellent Stage2」の認定を取得しています。
また、東海工場が位置する愛知県は、2021年2月に策定された「あいち生物多様性戦略2030」に基づき、企業、大学、環境保全団体、行政などの多様な主体の連携による生物多様性保全に関する取り組みを推進しています。企業には、企業敷地を活用したビオトープの整備や社員の保全活動への参加など、地域の核となって生物多様性保全に貢献していくことが期待されています。そこで、企業の生物多様性保全に関する取り組みを促進するため、愛知県は2022年に生物多様性保全に関する優れた取り組みを実践している企業を認証する「あいち生物多様性企業認証制度」を創設しました。東海工場は、工場内のビオトープに生息している希少種のミナミメダカの保全活動を大学生と協働して行っているほか、フジバカマの保全活動が、アサギマダラの生態系ネットワーク形成に資する点が評価され、「あいち生物多様性認証企業」として認証を受けました。
そして2023年、当社を含む多様な主体が連携して取り組みを進めてきた知多半島グリーンベルトが、環境省から「自然共生サイト」に認定されました。「自然共生サイト」は、「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を国が認定する区域のことで、2021年6月のG7サミットで合意された「G7 2030年 自然協約(G7 2030 Nature Compact)」に基づく、日本における30by30の取り組みの一環です。この認定制度は、2023年度にスタートした制度で、知多半島グリーンベルトは、最初の自然共生サイトの一つとして認定されました。
「LOVE! GREEN DAY2023」の参加者で集合写真
水辺ビオトープに降り立ったフクロウ
東海工場で栽培しているフジバカマ
「SEGES」Excellent Stage2の認定マーク
「愛知生物多様性認証企業」の認定マーク
- ※2 命をつなぐPROJECT:知多半島臨海部の企業緑地群を主な活動拠点とし、生態系ネットワーク形成と次世代の担い手育成を目指すプロジェクト。学生組織である「命をつなぐPROJECT 学生実行委員会」を中心に、12社の企業と行政、NPO、専門家が協働し、企業緑地の生物多様性向上、地域住民の環境啓発などのさまざまな活動に取り組んでいる。学生実行委員会は、緑化推進運動において顕著な功績のあった個人・団体を表彰する「令和2年緑化推進功労者内閣総理大臣表彰」を受賞している。

- ※3 『SEGES(シージェス:社会・環境貢献緑地評価システム)』:SEGES(Social and Environmental Green Evaluation System)とは、企業等によって創出された良好な緑地と日頃の活動、取り組みが地球温暖化やヒートアイランド現象の緩和、地域生態系の保全、良好な景観の保全と創出、地域社会とのコミュニティ醸成や安心・安全なまちづくりなど、社会や環境に貢献していることを第三者審査会により評価し(公財)都市緑化機構が認定するもの。事業者が所有する緑地の優良な保全、創出活動を評価・認定する「そだてる緑」、開発、建築にともなう優良な緑地環境計画を評価・認定する「つくる緑」、快適で安全な都市緑地を提供する取り組みを評価・認定する「都市のオアシス」の3つの部門で構成されている。2024年4月現在、154カ所の企業緑地が認定されている。
各拠点で実施した環境保全活動例
「長泉町環境美化運動推進協議会」主催の町内一斉河川清掃に参加し、工場の南側を流れる松川の清掃を行いました。(東レ(株)三島工場)
工場敷地に隣接する前川護岸の清掃活動を実施しました。回収したごみは、分別を行い、廃棄物として適正に廃棄処分を実施しています。(東レ(株)千葉工場)
2021年に地域社会貢献活動の一環として開始した工場周辺の清掃活動が3年目を迎えたことを記念し、通勤経路の清掃と、従業員の子どもたちの多くが通っている矢作南小学校の校舎清掃を行いました。(東レ(株)岡崎工場)
名橋「日本橋」保存会主催の「日本橋」橋洗いに参加し、周辺企業などから集まった方と日本橋の清掃を行いました。(東レ(株)東京本社)
複合型商業施設「KOSUGI iHUG(コスギアイハグ)」で「コスギアイハグ・トレファーム市民ボランティアデー」と題して施設沿いの緑道に花を植えるイベントを開催し、同施設の 「トレファーム™」で育てたパンジーの苗110株を地域の方々と一緒に植えました。(東レ建設(株))
琵琶湖の環境保全を行うため、県下一斉に清掃活動を行う「びわ湖クリーンキャンペーン」活動に参加しました。(東レ専修学校)
工場が位置する亀尾市と協力し、市内の主要地域を歩きながらごみを収集するプロキングイベントを実施し、社員1,400人が参加しました。(Toray Advanced Materials Korea Inc.)
ペナン州の環境課題の解決に取り組むNPO団体Penang Green Councilと共同でペナン州の小中学校を対象に開催しているペットボトルの回収量を競う「Toray &+ Recycling Competition 2023 Penang」の表彰式を行いました。(マレーシア東レグループ)
地域の産業コミュニティと連携し、緑化活動に貢献するため、植樹活動に参加しました。(東麗薄膜加工(中山)有限公司)
2023年の勤労感謝の日を記念して、近隣のバンプール海辺の遊歩道への植樹と清掃、植栽に自動散水するスプリンクラーの設置を行いました。(Toray Textile (Thailand) Public Company Limited)
環境意識の向上と地球保護を目的とするアースデイを記念して、ミラマー湖の清掃活動を実施しました。(Toray Membrane USA, Inc.)
マラソン大会への協賛によるスポーツ振興
「東京マラソン」の協賛とサステナビリティへの取り組み
東レ(株)は、スポーツ振興を通じた社会貢献の実現を目指して、2011年から東京マラソンに協賛しています。 東京マラソンは、大会を通じたサステナビリティへの取り組みを推進しており、これまでの大会では、東京マラソンと東レの連携による取り組みとして、エコの観点からランナーに配布される手提げ袋やボランティアウェアに、東レの植物由来繊維「エコディア™」が使用されてきました。「東京マラソン2024」のボランティアウェアには、2022年3月に開催された「東京マラソン2021」でランナーに提供した給水のPETボトルをリサイクルした東レのリサイクル繊維「&+™」が使用されました。
「&+™」が使用されたボランティアウェアを着用するスタッフ
「上海国際マラソン」協賛によるスポーツ振興
東レ(株)と東麗(中国)投資有限公司は、「上海国際マラソン」の協賛を通じて、中国のスポーツ振興に貢献しています。上海国際マラソンは、ワールドアスレティックス(世界陸連)のロードレースラベリングにおける最高位の格付けである「プラチナラベル」に認定されているレースです。東レグループは第2回大会から協賛を行っており、現在「Founding Sponsor(創設スポンサー)」という最上位の協賛企業として大会をサポートしています。
2020年以降、新型コロナウイルス感染症の影響で、大会中止や参加者数を減らすなどの感染対策を講じながらの開催でしたが、27回目となる2023年大会は、新型コロナウイルス感染症流行前の規模で開催され、参加した3万8,000人のランナーが上海市を駆け抜けました。
東レの旗を持って上海の街を走る東レチームのランナーたち
男子フルマラソン表彰式。プレゼンターとして東麗(中国)投資有限公司の沓澤董事長(右から2人目)が登壇しました。
「ふれあいコンサート」への協力
東レ(株)は文化支援、教育支援、福祉支援を目的とした音楽活動「ふれあいコンサート」に協賛しています。「ふれあいコンサート」は全国各地の小学校や福祉施設などに出向き、音楽指導やコンサートを開催し、参加型のプログラムも交えながら良質な音楽に触れ合う機会を提供しています。
2023年度は、「ふれあいコンサート」の恒例行事である「障がいのある方向けの招待公演」として開催され、ボランティアの方々が最寄り駅からの道案内や会場内誘導のお手伝いをしました。当日は多くの方にご来場いただき、コンサートを楽しんでいただきました。
演奏の様子
演奏者、ボランティアの方々で集合写真
良き企業市民としての地域貢献活動
東レグループは、企業理念である「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」に基づき、事業を通じた社会貢献とともに、社会の一員として「良き企業市民としての社会貢献活動」によって地域社会への支援を行っています。
令和6年能登半島地震に対する支援
東レグループは2024年1月に石川県能登地方を震源として発生した「令和6年能登半島地震」被害に対し、義捐金・支援物資の供給および、ボランティア派遣などを実施しました。
東レ(株)は、1975年に石川工場(石川県能美市)を設立して事業を展開しています。また、石川県には、金沢市に本店を置く一村産業(株)や、東レグループにおける国内最大のテキスタイル製造会社である創和テキスタイル(株)といった関係会社も所在しています。さらに北陸地域は「東レ合繊クラスター」など繊維関連企業が立地する、東レの事業に不可欠な非常に縁の深い場所です。
東レ(株)、蝶理(株)、東レインターナショナル(株)、東レ・オペロンテックス(株)など東レグループ各社は、石川県や日本赤十字社、名古屋商工会議所、中日新聞社会事業団などを通じて約1億2千万円の義捐金を拠出しました。
各社での取り組みとして、東レ・メディカル(株)は、能登半島地震で被災した医療機関の復旧のために、各医療関連団体からの要請に基づき、寄付やボランティア派遣を実施しました。透析中断が発生していた1施設については、インフラが復旧した時の水質汚濁への対策として活性炭フィルターや、ネットワーク環境が復旧した際に活用できる透析装置の遠隔サポートサービス用の通信デバイス一式を提供しました。
また、日本災害時透析医療協働支援チーム(Japan Hemodialysis Assistance Team in Disaster、略称JHAT)からの要請により、能登半島の医療機関に救援物資を配送する車の手配と人員派遣を実施しました。さらに日本静脈学会からの要請により、被災地での避難生活ではエコノミークラス症候群が懸念されるため、医療用血液循環促進ストッキング「ファインサポート」(計2千本)を東レ(株)と共同で無償提供しました。
水道機工(株)では、緊急的な飲料水などの確保用として、非常災害用造水装置「マクセス・セイフティー」を小松市、珠洲市、輪島市に無償貸与しました。
JHAT拠点から配送を行う東レ・メディカル(株)社員
近隣の河川から取水する「マクセス・セイフティー」
- ※ 令和6年能登半島地震に関する東レグループの被害・復旧対応についてはこちらをご覧ください。
東日本大震災復興支援バレーボール教室
東レ(株)東北支店は、2013年からバレーボールを通じた復興支援に取り組んでいます。2023年6月に宮城県東松島市立大塩小学校の5・6年生を対象に「バレーボール教室」を開催しました。講師には、元全日本代表で、東レアローズバレーボール部に所属していた大山加奈さんと、同じく東レアローズバレーボール部OGで現在東レエンジニアリング(株)所属の二見梓さんを迎え、実技指導と大山さんによる講話を実施しました。
実技指導では、工夫を凝らしたゲームやソフトバレーボールを使ったトス、サーブなどを行い、児童たちの笑顔と歓声があふれる教室となりました。大山さんの講話は、パスやレシーブを「繋ぐ」こと、そのために相手や周囲を思いやる気持ちを大事にすること、そしてその気持ちをまた「繋ぐ」ことをテーマに行われ、児童たちにもしっかり伝わった様子でした。
子どもたちからの質問に対応する大山さん(右)と二見さん(左)
地域社会の発展に向けた支援
南通市の地域発展のために地元の慈善協会に計10万元を寄付しました。この寄付活動は2012年から開始し、2023年度で12回目を迎えました。(東レグループ南通地区5社)
スリシティ工業団地日系企業連絡会における地域貢献活動の一環として、他の日系企業と合同で、工場近隣学校へスマートボード(多機能電子黒板)を寄贈しました。(Toray Industries (India) Private Limited)
重症療養施設「チョンエウォン」で生活している50人を対象に紅葉狩りなど季節に合わせたプログラムを企画し、ボランティア活動を展開しています。(STEMCO, Ltd.(韓国))
米国バージニア州で毎春開催される「Shanandoah Apple Blossomフェスティバル」に協力しています。このお祭りでは、40以上のイベントが10日間にわたって行われ、25万人以上が訪れます。当社は、6~14歳の子ども向けの「Kids’ Bloomin’ Mile Race」に協賛し、従業員の子ども6人が参加しました。(Toray Plastics (America) , Inc.)
独日文化交流の発展と深化を目的とした「マイン祭り」に協賛し、「シルック™」きものを通じて日本文化を紹介しています。会場では、日本文化の象徴として「シルック™」きものを着た人々による日本舞踊や着物ショーが披露されました。(Toray International Europe GmbH(ドイツ))
近隣のグアダラハラ補習授業校の学校運営を支援しています。(メキシコ東レグループ)
地域文化振興のプロジェクトに協力し、肇慶市広寧県荷木村図書館に子ども用の読み物を寄贈しました。(東麗薄膜加工(中山) 有限公司)
地元のSeberang Jaya病院と協力して、Penfabric社の本社工場で献血活動を実施し、97人の従業員が参加しました。(マレーシア東レグループ)
赤十字と協力し、献血活動を実施しました。韓国では、献血すると献血証書が発行され、輸血を必要とする際に提出すると無償で輸血を受けることができます。この献血証書は、譲渡・寄付することもできるため、多くの命を救い、健康かつ持続可能な社会づくりに貢献するために、慶北大学病院に寄付しました。(Toray Battery Separator Film Korea Limited)
高齢者のアクティブ・エイジングを促進し、高齢者の社会的役割の向上に取り組んでいるボランティア団体であるAuser(Associazione per l’invecchiamento attivo)とレニャーノ市による、体の不自由な方々の日常生活支援用に介護サービス車を追加導入することを目的とした「We with you」プロジェクトに協力しました。(Composite Materials (Italy) s.r.l.)
「CSRロードマップ 2025」におけるCSRガイドライン10「良き企業市民としての社会貢献活動」の主な取り組みはこちらをご覧ください。