CSR活動報告(各CSRガイドラインの活動報告) - 持続可能なサプライチェーンの構築

東レグループのCSR調達活動

東レグループのCSR調達

サプライチェーンへのCSRの対応を要請したグループ会社数の比率(社数・%)

■報告対象範囲
東レグループ
■目標値
2022年度/ 95%以上

実績値(2022年度)

93

東レグループが要求するCSRへの取り組み状況を確認したサプライヤーの比率(社数・%)

■報告対象範囲
東レグループ
■目標値
2022年度 / 70%以上

実績値(2022年度)

88

東レグループのサプライチェーン

東レグループのサプライチェーンは世界のさまざまな国や地域に広がっています。2022年度の東レグループの事業拠点別の購買構成比率は、日本45%、アジア38%、米州11%、欧州6%となっています。また、事業分野別の購買構成比率は、繊維32%、樹脂・ケミカル23%、フィルム15%、複材12%、その他が18%です。

事業拠点別および事業分野別の購買構成比率(2022年度金額ベース)

事業拠点別 購買構成比率
事業拠点別 購買構成比率
事業分野別 購買構成比率
事業分野別 購買構成比率

東レグループにおけるCSR調達活動の推進

グローバルなサプライチェーンを構築する東レグループにとって、サプライヤーのCSR活動の状況を把握し、取り組みを要請していくことは優先すべき課題です。そのため、東レグループでは、CSR調達体制の構築、顧客からのCSRに関する要請への対応、サプライヤーのCSR取り組み状況の把握や教育、CSR調達アンケートの実施、「東レグループCSR調達行動指針」への遵守要請、当該指針についての同意確認書の取り付け活動を行うなど、サプライチェーンにおけるCSRの推進を国内・海外関係会社を含めたグループ全体で取り組んでいます。
なお、サプライチェーンに対しCSRへの取り組みを要請する活動を行っている東レグループの会社数は、対象会社数160社(生産活動による購買・生産委託を行う関係会社)のうち、2022年度で148社(93%)となりました。
また、CSR調達アンケートについては、独自のアンケート調査システムを用いて、サプライヤーにおけるCSRへの取り組み状況の定期的なモニタリング、グループ全体での統一的な基準による評価、サプライヤーへの評価のフィードバックと低評価企業へのフォローアップというPDCAサイクルの構築によって、サプライヤーの意識向上を図るとともに、サプライチェーン上でのCSRに関するリスクを効率的・効果的に把握・予防・低減しています。併せて、東レグループ独自の「サプライチェーンCSR推進ガイドブック」を作成し、サプライヤーへの教育資料として、CSR調達アンケートのフィードバック時などに定期的に配布しています。
これらの取り組みにより、東レグループとしてCSRへの取り組み状況の確認が必要であると設定した重要サプライヤーのうち、東レグループが要求するCSRへの取り組みに対応していることを確認できた企業は2022年度で88%となっています。

サプライチェーン・マネジメントのPDCAサイクル
サプライチェーン・マネジメントのPDCAサイクル
CSR調達アンケートの主要調査項目
CSR調達アンケートの主要調査項目

東レ(株)におけるCSR調達活動の推進

東レ(株)では、総購買額の9割をカバーする主要な調達・購買先、外注先、物流会社を対象として、CSR調達アンケートを原則2年ごとに実施しています。「東レグループCSR調達方針」および「東レグループCSR調達行動指針」などに沿った質問項目を設け、人権の尊重や、温室効果ガスの排出量削減、水資源や生物多様性への配慮とアセスメントの実施といった各種環境保全活動など、さまざまな社会的課題に対する取り組みを要請し、各サプライヤーでの対応状況を網羅的に確認しています。
2022年度は、主要サプライヤーに対してCSR調達アンケートを実施し、448社(原材料調達先137社、設備・資材調達先157社、物流会社40社、生産・加工委託先114社)から回答を得ました。その結果、東レ(株)が求める水準の取り組みができていると評価したサプライヤー(S、A、B評価※1)が99%、実態調査が必要と判断したサプライヤー(C、D評価)は1%でした。調査項目別では「環境保全」、「製品安全・品質保証」、「人権・労働」など、ほとんどの項目で448社の評価平均が前回比で向上しており、各サプライヤーにおいてCSRの取り組みを進めていただいていることを改めて確認しました。また、前回の調査でC、D評価となり、訪問・面談などで実態調査・改善要請を行った企業の80%が、今回の調査ではB評価以上に改善したことを確認しました。今回の評価結果は、分析内容とともに各社にフィードバックしています。2023年度はC、D評価であったすべてのサプライヤー(6社)を個別に訪問するなどし、実態確認や改善のための対策協議を行い、各社での対策実施状況も確認します。
なお、2020年度調査で低評価となった企業では、例えば、「CSRに関する企業方針を策定し自社のウェブサイトや二次サプライヤーに対する明示」「健康状態や家庭事情、社会情勢を考慮した就業規則の見直し」「災害リスクに備えて複数購買化を進める」など、さまざまな改善を進めていただきました。
さらに、CSR調達アンケートによる現状把握、評価、改善の取り組みと並行して、「東レグループCSR調達行動指針」についてサプライヤーにも理解と遵守を求めることで、サプライチェーン全体でのCSR推進をより一層強化し、CSRに関するリスク低減に努めています。本指針は、倫理とコンプライアンス、安全・防災・リスクマネジメント、環境保全、製品の品質と安全、人権推進などについて、具体的かつ詳細に定めた行動指針で、2022年度には主要サプライヤー476社に対して当該行動指針を提示し、理解と遵守を求めるとともに、当該行動指針に対して同意いただける旨の「同意確認書」を入手して確認する取り組みを進めています。
併せて、お客様からのCSRに関する調査に対しても対応ルールを定め、迅速かつ正確に回答すべく、体制を整備しています。

  1. ※1 回答結果を9つの調査項目ごとに10点満点で評価し、9項目の平均値を総合評価として、8点以上はS、6点以上8点未満はA、5点以上6点未満はB、3点以上5点未満はC、3点未満はDで評価。
東レ(株)が求める水準の取り組みができているサプライヤー(S、A、B評価先)
99%
2022年度東レ(株)CSR調達アンケート評価結果
2022年度東レ(株)CSR調達アンケート評価結果
2022年度 東レ(株)CSR調達アンケート回答結果分析
2022年度 東レ(株)CSR調達アンケート回答結果分析

東レグループ関係会社(国内外)におけるCSR調達活動の推進

国内外関係会社においても、各社にて社内体制やルールを整備し、サプライヤーへのCSR調達アンケート調査を実施するとともに、サプライヤーに対して「東レグループCSR調達行動指針」の遵守を求め、監査などを実施しCSRの取り組み状況の把握と要請を継続的に行っています。
海外関係会社では、各社にてサプライヤーへCSRの取り組み要請を行っていますが、要請ができていないサプライヤーに対しては、東レ(株)からCSR調達アンケート調査を実施するなど、海外関係会社のCSR調達を支援しています。また、2022年度は、海外関係会社80社各社が主要サプライヤー2,212社に対し、「東レグループCSR調達行動指針」を提示し、理解と遵守を求めるとともに、当該行動指針に対する「同意確認書」を取り付ける活動を開始しました。海外関係会社では今後も東レ(株)支援のもと、既存サプライヤーや新規サプライヤーからの「同意確認書」の取り付けを継続的に進めていきます。
国内関係会社においても、各社にてサプライヤーへのCSR調達要請を継続的に行っており、2022年度は、主要サプライヤーに対してCSR調達アンケートを実施し、466社から回答を得ました。アンケートを通じて各サプライヤーのCSR推進状況を確認するとともに、アンケートの評価結果を各サプライヤーにフィードバックし、実態調査が必要と判断したサプライヤーに対しては、各関係会社が実態調査・改善要請を進めています。また、2022年度は、国内関係会社41社各社が主要サプライヤー1,539社に対し「東レグループCSR調達行動指針」を提示して理解と遵守を求めており、当該行動指針に対する「同意確認書」の取り付け活動を今後も継続的に進めていきます。

サプライチェーンにおける人権尊重、環境保全

東レグループは、安定かつ持続可能な調達のためにはサプライチェーンにおける「人権の尊重」や「環境保全」は特に欠くことのできない重要な要素と考えています。「東レグループCSR調達方針」において人権や環境に配慮したサプライチェーンの構築に向けて取り組むことを宣言し、サプライヤーに対して「東レグループCSR調達行動指針」の遵守を求め、人権の尊重、強制労働・奴隷労働・児童労働・不当な低賃金労働の禁止や、GHG排出量削減、生物多様性保全などの環境保全の取り組みを求めています。
また、CSR調達アンケートにおいて、人権・労働および環境保全などに関するサプライヤーの取り組み状況を把握・評価し、サプライチェーンにおける問題の把握と予防に努めています。

人権尊重に関する2022年度 CSR調達アンケートの回答結果

2022年度に東レ(株)が実施したアンケートでは、人権および労働に関する13の調査項目のうち、二次サプライヤーへの要請に関する項目を除く12項目で、取り組み実施率が高水準であることを確認しました。そのうち、1年以内に対応する(下表の[1])、対応していない(下表の[0])と回答したサプライヤーに対しては、2023年度に個別に状況確認を実施し、対応を要請していきます。
また、2020年度のアンケートから、サプライヤーにおいて新型コロナウイルスの感染拡大によって発生しうる雇用・労働面の問題など人権に関するさまざまな問題に十分配慮し、適切に対応しているかどうかを調査する項目を加え、サプライチェーンにおける問題の把握と予防に努めています。

人権尊重に関する2022年度 CSR調達アンケートの回答結果

環境保全に関する2022年度 CSR調達アンケートの回答結果

東レグループは、温室効果ガスの削減や生物多様性の保全などを地球環境問題の重要なテーマと位置付けており、CSR調達アンケートを通じて、サプライヤーでの環境関連法への対応状況や、GHG排出量削減、生物多様性保全に関する取り組み状況などについても確認しています。2022年度に東レ(株)が実施したアンケートでは、環境保全に関する12の調査項目のうち、二次サプライヤーへの要請に関する項目を除く11項目で、取り組み実施率が高水準であることを確認しました。例えば、GHG排出量削減に向けた取り組みについては、主要サプライヤーのうち、84%で取り組みが進められていることを確認しました。アンケートの評価結果を各社にフィードバックするとともに、対応が不足している企業については、対応を進めるよう要請しています。
また、2023年度は、2022年度に実施したアンケートのうち、環境関連法への対応状況や、GHG排出量削減、生物多様性保全に関する取り組み状況などで、1年以内に対応する(下表の[1])、対応していない(下表の[0])と回答した企業に対して個別に状況確認を行い、サプライチェーン全体での環境保全の取り組み、および環境に配慮した原材料の調達を推進します。

環境保全に関する2022年度 CSR調達アンケートの回答結果

サプライチェーンにおける人権尊重や環境保全などを推進するため、ご相談をホームページ上で常時受け付けています。ホームページ上のCSRに関するお問い合わせフォームへ2022年度にいただいた合計279件のさまざまなお問い合わせやご相談などのうち、サプライチェーンにおける人権・環境関連のご相談はありませんでした。

委託先の警備会社における人権研修の実施

東レグループでは、拠点のある地域の状況に応じて、警備会社などに保安業務を委託しています。
委託に際しては守衛業務に関する研修を行うとともに、必要に応じて人権に関する研修も行っています。

紛争鉱物対応

東レグループでは、紛争地域および高リスク地域を原産国とし、紛争や人権侵害などへの関与が明らかな鉱物を使用しないことを「東レグループCSR調達方針」で定めています。
東レ(株)では、当社の全製品を対象に原材料および生産設備に紛争鉱物が使用されていないかを調査し、対象の鉱物が使用されている場合は、精錬所や鉱山の所在地などを確認しています。
2022年度においても、スズ・タンタル・タングステン・金の4鉱物が原材料として含有している製品を調査し、紛争地域産の原材料を使用していないことを確認しました。また、顧客からの紛争鉱物に関する調査依頼に対し、迅速かつ適切に回答できるよう社内の調査・回答体制を整備しています。

「CSRロードマップ 2022」におけるCSRガイドライン9「持続可能なサプライチェーンの構築」の主な取り組みはこちらをご覧ください。